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輝け! 黒の十四軍  作者: ぷぺんぱぷ
2-3.オカルト、ぞくぞく
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3.恋はさめるもの(1)

「店長。倉庫の整理と確認終わりました」


 昼、東京都黒島港町二の一黒島支店。

 朝の自衛隊駐屯地配達を終えて戻ってきた大吉に、雄馬が報告した。


「午後には輸送艦が入港するそうですよ」

「ありがとう。今日は普段より忙しくなるぞ」

「わかりました」


 今日は輸送艦の到着日。黒島支店で配達する品物の入庫日でもある。

 港から陸揚げされた各種品物をトラックターミナルにある倉庫に納め、必要な時に自衛隊駐屯地へと届ける。

 谷崎に頭を下げて貰った仕事にすっかり慣れた皆である。


「雄馬さんはすっかり仕事上手になりましたね」

「たくましくなったなぁ」


 初めて黒島に来た時よりもがっしりとした雄馬に感心する大吉とエルフィン。

 最近は竜二と共に自衛隊の訓練にも参加し身体を鍛えているらしい。

 竜二は黒島動画配信者として黒島の様々な場所や怪獣と肉弾取材を行う為、雄馬はその助手をする為に今のままでは体力不足と努力しているのだ。


「竜二様も雄馬さんもここ最近の男力の成長著しいです」

「本当ですか? 雄馬様の男力も急成長ですか?」

「はい。大吉様とご一緒させて頂いたデートのおかげですね!」

「ステキ!」


 おかげでノエルとリリィの熱視線もアツアツ。

 サキュバスの眼力はアタックすべき男力とライバルを見極める女力を計測できる。

 サキュバスであるノエルの計測では男力の成長めざましいらしい。

 仕事して人に評価されている自覚が出来たんだなぁ……と、率先して仕事をこなす二人にニッコリな大吉だ。

 しかし雄馬と竜二が努力を始めたのは、大吉が思っているような理由ではない。


「あのデートを見ればなぁ……」

「ああ。ナメた仕事してたら俺らもオカルトにやられる」


 黒島は黒の十四軍の本拠地。そこら中に大吉配下のオカルトがいる。

 そのような者達に囲まれて大吉に迷惑をかければどんな災厄がやってくるか分からない。新しい入植者とは違い輝き召喚や輝き返却で連れてこられた二人は大吉と黒の十四軍に対する恐れが段違いなのだ。

 出来る事を地道にこなし、活躍の場を増やす。

 それが結果として二人の男力を向上させていた。


「それで雄馬、今回は乗ってるのか?」

「はい。挨拶をお願いしますって谷崎さんが言ってました」

「うわぁ……」


 やっぱり乗ってたかと、大吉は頭をかく。

 最近本土から来る輸送艦、必ず入植者を連れてくる。

 今回は何組だろうかと唸っているのと、雄馬がさらに大吉に言ってくる。


「なんか店長みたいなのが来るって谷崎さんが言ってましたよ」

「なにそれ?」

「来てのお楽しみだそうです」

「……ま、食事にするか」「はい」


 今、気にしても仕方が無い。

 大吉はエルフィンと雄馬と共にボルンガレストランに行くと、そこで働くリリィが元気に挨拶してきた。


「いらっしゃいませ。ようこそ『偉大なる黒の十四軍の長たる我らが黒、井出大吉様のボルンガレストラン』へ!」

「やめて」


 ボルンガ、お前喋るの遅いのに長い名前付けるなよ。

 というか来店しているみんなにこの挨拶してんのリリィ?

 と、赤面する大吉だ。

 最近は人間も増えたおかげでまともな料理もかなりある。大吉はカレー、エルフィンはイカスミパスタ、雄馬はカツ丼を注文する。


「かしこ、まりー」


 料理風景はこれまでと全く変わらない。

 ボルンガが食材を飲み込み、体内で料理する。

 どぷん、ぺっかー……


「今です!」


 ぼすん! リリィがボルンガに腕をつっこみ、ボルンガが炭にする直前の料理を引きずり出す。

 美味しそうな料理が大吉達の前に並んだ。


「へい、おまち」

「どうですか大吉様、炭にする寸前に取り出す私の料理の腕は!」

「それ料理の腕じゃないから」


 餅つきの返し手のようなもんだよそれ。

 普通に料理する事を期待していたら妙な技能を身につけてしまったリリィは普通に見えてやっぱりオカルト。普通に料理するエルフィンの方がまともだ。

 そして大吉達が昼食を食べ始めればリリィが聞いてくる。


「そういえば、なんか大吉様みたいな方がいらっしゃるって聞きましたよ?」

「……だから、なにそれ?」

「さぁ?」


 ここでも雄馬と同じ話。

 二度も言われるとさすがに気になる大吉だ。


「俺と同じというと……軍団かな? 黒軍みたいなの連れてくるのか?」

「そういえばサキュバスはいても世界樹とか竜とか巨人はまだ来た事ないですね」

「それを言ったら宇宙船もロボもまだですよ」

「エルフィンみたいなデタラメ一号も「はい?」申し訳ありません眩しいっ!」


 大吉、エルフィン、雄馬、リリィはそんな会話をしながら昼食を済ます。

 そして午後、大吉が港に行くと何やら港が騒がしい。

 黒島歓迎音頭とは別の、戸惑いのどよめきだ。

 雄馬が輸送艦の降り口を指さす。


「あれ……ですかね?」

「……うわぁ」


 すげえ。

 ハーレムだ。ハーレム男が入植してきた。

 十名もの女性とイチャコラしながら、男が輸送艦から下りてきた。

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