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輝け! 黒の十四軍  作者: ぷぺんぱぷ
2-2.黒の十四軍、オカルトを討つ
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8.大吉、お出かけを決める

「今日は皆さんでお出かけしませんか?」


 日曜日、朝。黒島大吉アパート大食堂。

 始まりはあやめの言葉だった。

 大吉アパートが黒島に引っ越してもあやめはご飯タイムに必ず現れる。

 そして肉を奪ったりぬか漬けを押しつけたりと今でもやりたい放題だ。

 お出かけを提案するあやめに周囲の軍団長達が注目する。

 東京ではエリザベスの部屋にあった食堂は黒島大吉アパートでは大食堂。ブリリアントやガトラス、ボルンガでも食事出来るゆったりサイズとなっている。

 大吉達のテーブルはブリリアントやガトラス、ボルンガが使うテーブルの上。今も周囲で巨大な口が豪快にご飯を食べている。

 なお、バウルはムリだったのでアパート前の広場から枝葉だけの参加だ。

 はじめは「俺ら踊り食いの食材みたいだ」と思った大吉だが今はすっかり慣れたもの。もっしゃもっしゃと周囲でご飯を食べる音が響いても平常心だ。


「お出かけ?」

「ほら大吉さん、最近休日はずっと黒島じゃないですか。というか皆さんと遊びに行くとかしてました?」

「……じいさん家と花火大会くらいか? あとは黒島と宇宙か」

「それ、最近じゃないですよね?」


 あやめの言葉に大吉がうーんと考える。

 まあこれらは遊びというより用事。

 考えてみればあまり無いなぁと、皆と出会ってからを思い返して唸る大吉だ。


「エリザベスは毎日散歩してもらってるです! 犬散歩毎日楽しいです!」

「散歩はお出かけとはちょっと違う。そしてお前狼だろ?」

「ええっ!」


 犬の散歩をお出かけとは言わない。黒の銀狼だが。


「私は毎日大吉様とお出かけしてましたけど」

「ぶるるんで荷物を配って回るのは仕事だ。お出かけじゃねえ」

「ええっ!」


 そして仕事は当然お出かけではない。


「ぐぉんとマンションから出るでしゅ!」「大吉しゃまに手を振るです!」「いってらっしゃいですぅ!」

「ありがとう。でもそれはお見送りだ」

「「「あれぇ?」」」


 地下から地上に現れただけでも当然お出かけとは言わない。


「クーゲルシュライバー内部の案内はお出かけになりますか?」

「いやぁ、違うんじゃないかなー?」


 直径六百キロであらゆる設備を持っていてもお出かけとは違う気がする。


「私もありませんね」

「わても無いなぁー」

「すみません。色々ご苦労をお掛けしてすみません」


 フォルテとミリアは交渉と生産に尽力してもらっている。

 頭を下げる大吉だ。


「我らもあまり無い!」

「そうだぜ大吉様」

「あそ、ぶー」

「大吉様、ここはあやめ殿に従いパーッとお出かけ遊びましょう!」

「このバウルとも是非!」

「いや……お前らとは毎日遊んでる気がするなぁ」

「「「「「ひどい!」」」」」


 大吉、しれっとトラックターミナルの皆を遊びと評する。

 なお、Aはテーブルに席は用意したが常に空席。

 皆の発言を聞いたあやめは話を続けた。


「ほら、大吉さんみんなをこき使って何もしてあげてないじゃないですか。サービスですよサービス!」

「こき使われてるのは俺の方な気がするが……」

「大吉さんだって身の回りの物とか色々欲しくはないですか?」

「それは全部わてが作っとるー。オーダーメイドや」『『『サケーッ!』』』

「ブランドとか使い心地とか色々あるじゃないですか」

「サンプルくれればバッチリコピー「やめれ」ええっ!」


 胸を張るミリアを止める大吉。

 さすがは生産軍、言えば出来る。

 何でもアリだ。


「娯楽とかも月日と共に移り変わっていくものですよ?」

「クーゲルシュライバーにはあらゆる娯楽が装備されている。お望みならば地上の娯楽を宇宙からのぞき見複製する」

「わてが言えた口じゃあらへんがそれはアカンでセカンドはん。娯楽泥棒はピーポー頭の警官が来るでぇ」

「そんなの返り討ち「やめれ」宇宙だし黙ってれば「やめれ」ええっ!」


 そして押し切ろうとするセカンドも止める大吉。

 まあ、黒島もだいぶ落ち着いて来た。

 そして世界も黒島とオカルトに慣れてきた。お出かけするのもよいだろう。

 大吉はお出かけを決める。


「じゃ、行くか」

「そうです大吉さん! サービスです! そしてデートです!」

「デート!」

「ぬおっ、眩しっ!」


 べっかーっ!

 エルフィンの輝きが大吉の目に突き刺さる。

 相変わらずエルフィン眩しい、超眩しい。


「あ、大吉さん目がくらみましたね。ぶぶ漬けどうぞ!」

「いらん!」


 あやめがいつもの行動に出る。

 しかし大吉、ひょいひょいとあやめの箸をガードする。

 いつものぶぶ漬け交換を全て防がれたあやめが叫んだ。


「これは……第三の目、サードアイ!」

「ねぇよそんなもん。慣れだ慣れ」


 言うなれば輝き耐性。

 あまりに眩しい周囲に身体が慣れてしまった大吉だ。


「大吉さん、すっかり人間離れげふんげふん、上手になりましたね」

「人間離れ言うな。あと、二人も連れていこう」


 本土と黒島を行き来する大吉はとにかく雄馬と竜二は娯楽に飢えていそうである。

 なにしろ黒島はオカルトの島。人間向けの娯楽なんぞ無い。

 人間向けの普通の売店は自衛隊駐屯地の中だけ。トンズラした身としては買い物もストレスというものだ。

 何かやらかすかもしれないが、エルフィンがいれば止められるだろう。

 大吉は二人も連れて行く事にした。

 自衛隊の皆さんはバレたら問題になりそうなのでスルー。

 ごめんなさい自衛隊の皆さんと、心で謝る大吉だ。


「しかし、バウル達も連れて行くとなると場所がかなり制限されるな」

「大丈夫です」


 なにせサイズが違う。違い過ぎる。

 しかし大吉の言葉にエルフィンは自身満々、胸を張る。


「私の輝き圧縮があれば!」

「「「「「死ぬ!」」」」」


 ブリリアント、ガトラス、ボルンガ、ビルヒム、そしてバウル。

 巨大組は今回のお出かけを辞退した。

誤字報告、感想、評価、ブックマーク、レビューなど頂ければ幸いです。


夏に向けて仕事が忙しくなってきました。

力仕事でマスクは苦しいねw

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