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輝け! 黒の十四軍  作者: ぷぺんぱぷ
2-1.大吉、南国黒島スローライフ
57/142

5.黒島支店、業務順調?

「荷物を持って来ましたー!」

「あ、ありがとうございます……」


 ずどん!

 平日昼、黒島自衛隊駐屯地。

 大砲の音が響く中、大吉は基地の荷物受付に笑顔で頭を下げた。

 仕事は順調。

 自衛隊員が慣れてきたせいか、それとも覚悟を決めたのか、最近はネット通販で買った品の配達も増えてきた。

 黒島のネット環境は現在オカルト。

 輝き転送ゲートから何本もLANケーブルをひっぱってハブで分岐させている。超巨大な組織内ネットワーク、イントラネットといった感じだ。

 なので輝きが消えたらアウトだ。

 オカルトではない通信は現在自衛隊の持つ装備でのみ可能。

 海底ケーブルを敷設する計画があるらしいが利用者が見込めないため着工すらされていない。

 なにせ住民のほとんどが輝き一発で何でもしてしまう。

 だから電線も電話線も必要無く、スマホなどの運用に必須の基地局の計画も無い。北海道よりデカい黒島は駐屯地とトラックターミナル付近以外は電気も電話も無い超ド田舎なのであった。

 そして荷物も現在オカルト。

 荷物を大吉アパートに確保した自衛隊黒島駐屯地東京出張所に送ると輝き転送ゲートを通じて黒島に運ばれる。手紙や書類も同様だ。

 自衛隊の輸送艦はあまり来ないのでなかなか重宝されている。

 なお、配達できるものは個人あての小物のみ。配達物の価格に制限アリ。


「ゲートを大きくすれば戦車でも船でも運べますのに」

「これが限界だろ。今だって谷崎さん渋顔なのに」


 当たり前だが本当は国際条約違反。

 黒島限定で個人あて。怪獣達の厚意に文句を言ってやぶへびになったら怖い。

 そんな理由で見逃してもらっている状況だ。

 しかし大々的に利用を始めたら各国も黙ってはいないだろう。このあたりが限界であった。

 大吉は配達を終え、自衛隊から頼まれた配達物をぶるるんに積む。

 当然荷物は小物のみ。

 昔の支店でクソ重い荷物をひーこら言いながら運んでいたのに比べれば楽なもの。

 エルフィンを輝かせる事もなくひょひょいと積んだ大吉は、駐屯地のすぐ近くにあるトラックターミナルに戻った。

 荷物を輝き転送ゲートで東京出張所に運び込み、荷物のデータを入力する。

 駐屯している兵員が少ないせいだろう。集荷の仕事はあっという間に終了した。

 あとは店からここにやって来る集荷の車におまかせだ。

 大吉が再び黒島に戻ると、ブリリアント達がトラックターミナルで遊んでいた。


「バックオーラーイ、オーラーイ」

「おらぁ荷物を仕分けるぜ!」

「しわけ、るー」

「雑に扱うと壊れますのでご注意下さい」


 トラック、ブリリアント。

 作業員、ガトラス。

 ベルトコンベア役、ボルンガ。

 荷物、ビルヒム。


「楽しそうですね大吉様」

「そうだな」


 そして大吉はスルー。

 はじめは屋根が壊れると慌てたものだが屋根が自動で高くなるのでスルー安定。

 トラックターミナルもオカルト驚異のメカニズムだ。

 ブリリアント達は立場を変えて何度か同じ事を繰り返した後、我々もそろそろ業務が出来るなと談笑しながら大吉のもとに寄ってきた。


「大吉様、我らが手伝える事は何かありますでしょうか?」

「昼の仕事がちょうど終わったところだ。ところでお前ら畑仕事はどうした?」

「終わりました」

「……ブリリアント、お前南国だとほんと眩しいな」


 南国太陽ギラリ。

 ダイヤの鱗が太陽を乱反射して輝かなくても眩しいブリリアントだ。

 こいつらは眩しい。眩しすぎるほど眩しい。

 だから畑仕事などぺかっと輝いただけで終わってしまう。

 なんかおかしな事を言っていると思うだろうが本当に輝くだけで終わってしまうのだから仕方がない。

 耕すのも種をまくのも水をまくのも畑の手入れもすべて輝き。

 作物の受粉なども輝きでやってしまう事だろう。

 そういや黒豆の受粉は虫なのか? 風なのか?

 と、大吉が調べたところ黒豆は大豆の仲間で自家受粉という、自分自身で受粉できる植物らしい。

 黒豆ができないと嘆き悲しむ事はないようで安心な大吉だ。


「我らが黒豆を収穫したあかつきには、大吉様にぜひ配達をお願いいたします」

「輝き転送でやってくれ」

「「「「えーっ!」」」」


 北海道よりデカい黒島を大吉のぶるるん一台で配達しろとかムリである。


「それに料金払えないだろ。輝き現金はダメだからな。ついでに物納もダメだ」


 犯罪行為もイカとか黒豆とかの物納もお断り。

 と、大吉が言うと自慢げに胸を張る皆である。


「我ら最近、標的仕事で時給を頂いているので現金収入はあるのです」

「ヒマな時間に歩いてるだけで時給千二百円! 夜間なら千五百円だぜ!」

「もう、かる」

「ついでに銃砲弾と空薬莢の回収も行っております」

「……いや、その仕事出来るのお前らだけだから」


 砲弾をキャッチ&リリースするだけの簡単な仕事です……いやいやナイナイ。

 ここの自衛隊、まんま怪獣映画。

 順応の早さに呆れる大吉であった。

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