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輝け! 黒の十四軍  作者: ぷぺんぱぷ
1-1.光の黒騎士、現る
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2.もっと、もっとガチャを!

「疲れた……どうでもいい事ですげぇ疲れた……」


 夜。大吉の住むアパート。

 仕事を終えた大吉はぐったりと、エレベータを待っていた。

 集荷に配達にと走り回る仕事はいつも通り疲れたが、今日の疲れは一味違う。

 ガチャのせいだ。


『金剛竜ブリリアントが馳せ参じました! 無料ガチャ券をゲットしました!』

「へ?」

『銀狼の聖女エリザベスが馳せ参じました! 無料ガチャ券をゲットしました!』

「へ?」

『要塞世界樹バウルが馳せ参じました! 無料ガチャ以下略!』

「へ?」


 ピロリン、オンリーワン、無料券、ピロリン、オンリーワン、無料券……

 ずっとこれである。


『竜軍二万が馳せ参じ……ちまちま面倒くさいので全軍もってけコノヤロー!』

「へ?」

『無料ガチャ券でガチャ、ガチャです! さあガチャしましょうひゃっほい!』


 ピロリン、ピロリン、ピロリン、ピロリン、ピロピロピロピロピピピピピピ……


「……やかましい」


 画面もやかましければ効果音もやかましい。

 あまりのウザさにアプリを閉じて午後の仕事に出発すれば、今度は登録メルマガのメール爆撃だ。


 ぽーん……ぽーん、ぽーん……ぽぽぽぽぽぽーぽぽぽぽぽぽぽぽぽ……


「やかましい!」


 スパムかよ。ウザい。ウザすぎる。

 あまりのひどさにスマホの電源を落とし、今に至る大吉だ。

 電源入れるのが……怖い。

 無料ガチャしただけなのにウィルスか? まさかの公式ページがウィルス汚染か? 携帯電話会社に相談か?

 エレベータを待つ大吉はポケットに入れたスマホを手でさすり、どうしようと思案する。

 あの人に相談してみようか……

 そう大吉が考えた時、背後から声がかかった。


「あら大吉さん。おかえりなさい」

「おかえりなさい。あやめさん」


 クール美人な大吉の隣人、五月あやめだ。

 スタイリッシュな黒のスーツで流れるように歩く姿はモデルかと思うほど。

 そして左手に提げた近所のスーパーのレジ袋が何とも家庭的でアンバランスだ。

 あやめは到着したエレベータに大吉と共に乗り込むと、笑顔でレジ袋を掲げた。


「今日もちょっと買い過ぎてしまったので、あとでお裾分けしますね」

「いつもありがとうございます」


 あやめは適当自炊な大吉の食生活の救世主。

 そして大吉が相談しようと思っていた『あの人』だ。


「そういえば大吉さん、今日は何かお疲れですね?」

「ええ、まあ……あやめさんはフラットウェスト社にお勤めでしたよね?」

「はい。『エクソダス』のゲームを開発している第一開発部です」


 そう、あやめの勤務先はフラットウェスト社の開発部門。

 まさに苦情を言うにふさわしい。

 大吉はポケットからスマホを取り出し、無言で電源を入れた。


『ガチャを! ガチャをガチャガチャガチャガチャ……』

「あらあら」


 ぺっかぺっかぺっか……ピロピロピピピピピピぽぽぽぽぽぽぽーん……

 画面も音もやかましい大吉のスマホ惨状だ。

 しかしスマホ惨状をしばらく見つめたあやめは、にこやかに頭を下げた。


「いつも我が社のゲームをプレイして頂き、ありがとうございます」

「えーっ……」


 いや、今そこどうでもいいから。

 無料ガチャ券をしこたまゲットしたんですが?

 ハマったゲームのオンリーワンキャラを昼休みにフルコンプしたんですが?

 スパイゲーのキャラが知らない間に追加されているのですが?

 他人事ですが御社はこれで儲けが出るんですか?

 と、言いたい事は色々あったが今はスマホを鎮めねばならない。

 大吉は笑うあやめに懇願した。


「いや、それよりも今の状態を何とかして下さい」

「えーと、無料券が尽きるまでガチャを引けば良いと思いますよ?」

「どんな理屈ですかそれ?」

「きっと皆さん、遊んでくれた大吉さんに恩義を感じているんですよ」

「どんな理屈ですかそれ!」


 オカルトだ。オカルト過ぎる。

 それが今をときめくVRゲー開発部門の言う事か。


「ですからプレイしていた頃のように語りかけてあげれば、喜ぶと思いますよ?」

「それは嫌です」


 こっ恥ずかしいので。

 大吉はブンブンと首を振った。

 ゲームとは現実からの離脱。

 だからはっちゃけ半端無い。

 夢の世界を使うVRゲーム機器であるエクソダスは特にその傾向が強く、それを現実世界で行う事は黒歴史の暴露と同じ。周囲の目が痛くてたまらないのだ。


「それにそのゲームは第二開発部の担当ですから、うちじゃないんですよね」

「えーっ……」

「ですから私にもわかりません。とことんガチャしましょう!」

「ええーっ……」


 そりゃないよあやめさん。

 と、呆れ半端無い大吉だ。

 しかし他にスマホを鎮める方法が無いのも事実。大吉は無料券が無くなるまでガチャを引いて引いて引きまくり、あやめのお裾分けをやけ食いして不貞寝した。

 次の日。

 起床した大吉が恐る恐るスマホの電源を入れると、画面も音もいたって正常。


「おお!」


 どうやら鎮まったらしい。大吉は歓声を上げた。

 あやめ様々、オカルト様々である。

 また変な事にならないだろうな……大吉がスマホゲーのアプリを開くと、目に飛びこんで来たのはお詫びの文言。


『お詫び。昨日から開始したコラボガチャにて確率その他に問題がありましたので、緊急メンテナンスを行います』


 あ、さっそく行政から指導受けた。

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