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輝け! 黒の十四軍  作者: ぷぺんぱぷ
3-3.世界が二人を分かつまで
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11.バカのついでに……

 ばーか! ばーか!!

 べちこーん! べちこーん!!


 黒島、地下九十九階。

 エルフィンとオルタは史上まれに見る低レベルな戦いを繰り広げていた。


「くっ! バカバカバカバカ!」

「このぉ! バカバカバカバカバカ!」


 自分で自分を罵る、天に唾するが如くバカげた戦い。

 しかしバカでも超絶デタラメ。おかげで黒島……いや、地球は超大変だ。


「まぶしい!」「超まぶしい!」「タスケテ!」


 全世界、あまりの眩しさに阿鼻叫喚。

 エルフィンとオルタのバカ輝きで地球は夜も昼も無く、ただ眩しい。


「すげえ、空が眩し過ぎて太陽がどこにあるかわからねぇ……」


 輝きで天井が吹き飛んだ地下九十九階、白く輝く空を見上げて大吉は呟く。

 しかし眩しさに叫ぶ世界の人々は、この輝きの嵐がバカを賭けた戦いだとは思うまい。

 人は様々な物事に意味を見出そうとする生き物。

 そして手の届かない物事に意思を感じる生き物でもある。だから太古から天変地異や天体現象に神や運命の姿を垣間見るのだ。


「あなたの顔のバカが私より一つ多い! バーカ!」

「一文字一文字心を込めた私のバカの方が達筆! バーカ!!」


 しかし今の天変地異、バカ合戦のとばっちり!

 オカルト頂上決戦なのに驚きの低レベルだ。


「「バーカ! あいたっ! バーカ! あいたっ!」」


 エルフィンとオルタ、双方全身バカまみれ。


「なんてバカなんだ……」


 そんな二人? を見る大吉、呆れて頭を抱える。


「さすが大吉様でございます!」

「デタラメ一号オルタも大吉様には遠慮するです!」

「でもバカリードされてるでしゅ!」「がんばれです!」「負けるなですぅ!」

「エルフィン、一発バカ逆転のチャンスを狙っていますね」

「あっはっはー。わてらバカな会話しとるなぁ」『『『マッタクダー!』』』


 大吉の後ろに隠れた者、無傷。


「「「「「あいたっ! あいたっ!!」」」」」


 大きくて大吉に隠れられない怪獣組、こてんぱん。


「いぇい!」


 エルフィンとオルタの間でコタツミカンなあやめ、これまた無傷。

 そして……


「ぎゃああああああああっ! ぐぅああああああああっ!」


 そして、この場にいる最後の一人は、激しいこてんぱんにもがき苦んでいた。

 秘密結社VOID代表、Vだ。

 Vとオルタはエルフィンと怪獣組とは違い敵対していた訳ではない。

 なので怪獣組のようにオルタにちょっかいを出してこてんぱんな日常など送ってはいない。打たれ弱いのであった。


「ぐぅあああああっ……な、なんという重く鋭い攻撃だ! これが黒の十四軍第一軍、近衛軍団長たる光の黒騎士エルフィン・グランティーナの輝き!」

「我らのこてんぱん耐性を見たかV! あいたっ!」

「デカイ口叩いておいてへなちょこだなてめぇ! あいたっ!」

「世界を渡る事だけが上手でこてんぱんは素人か。あいたっ!」

「ざまぁ、あいたっ!」

「このくらいはまだまだ序の口こてんぱんですぞ! あいたっ!」


 こてんぱんな怪獣組、こてんぱんなVを笑う。

 しかしV、これでも世界を渡った最初の一人。

 痛みにのたうち回りながらも輝いた。


「輝き、追放!」


 ぺっか! Vが輝く。

 こてんぱんの嵐が吹き荒れる中、Vの周囲だけが静かとなった。

 エルフィンの輝きをVが輝き追放したのだ。

 こてんぱんから逃れたVが怪獣組に勝ち誇る。


「見たか私の輝き追放! 貴様らとは年季が違うのだ!」

「「「「「ずるいぞ! あいたっ!」」」」」

「どんな輝きでも当たらなければどうという事は……ぎゃあああああああっ!」


 しかし……ぺっか。

 コタツミカンが輝くと、再びVがのたうち回る。


「あやめ君! スルーはやめたまえスルーは!」

「すみませーん。諜報軍団長としてそろそろ活躍しないと肩身が狭いんですぅ」

「「「「「クロマメ!」」」」」

「いぇい!」


 輝き追放、あやめの輝きスルーで無効化。

 怪獣組、あやめを大絶賛だ。


「さあVよ、正々堂々こてんぱん対決だ! あいたっ!」

「ガチ対決といこうぜ! あいたっ!」

「最初の一人と我ら黒の十四軍、どちらが勝つか勝負! あいたっ!」

「まけ、ない、あいたっ!」

「バカ対決のついでに倒されるがいい! あいたっ!」

「「「「「やっちまえエルフィン! あいたっ!」」」」」


 バーカ! バーカ!! べちこーん! べちこーん!!


「「「「「あいたっ! あいたっ!!」」」」」

「ぎゃあああああああっ! ぐぅああああああっ!」


 怪獣組の煽りにエルフィンとオルタのバカ輝きが激しさを増し、怪獣組とVがこてんぱんにのたうち回る。


「……まあ、いいか。別に格好良く倒す必要は無いし」


 と、サンドバッグのように輝きにぶちのめされるVを見て呟く大吉だ。

 そもそも大吉、はじめから黒の十四軍まかせで見てるだけ。

 今さら格好良さも何もあったもんじゃない。バカ対決のついででいいやと考えていた。


「井出大吉君! 君はこれでいいのか! こんな決着で満足なのか!」

「いやぁ、俺は皆を信じてますから」

「ぎゃあああああああっ!」


 大吉、煽るVをスルー。

 やがてVが倒れ、怪獣組が倒れ、双方ともにピクリとも動かなくなった頃……

 大吉がエルフィンの前に出た。


「ついに大吉様が、動く!」


 鉄壁大吉シールド、ついに動く。

 大吉シールドに守られたエルフィンが叫び、オルタが慌てる。


「だ、大吉様を盾にするなんてずるいですよエルフィン!」

「それが大吉様のご意志!」

「大吉様にもしもの事があったらどうするのですか!」

「貴方がバカなら万事解決! くらえ輝き大吉様のご意志!」

「ついでに輝きスルーッ! いぇい!」

「くううっ! バカに、バカに圧倒される!」


 バーカ! バーカ!! べちこーん! べちこーん!!

 エルフィンの輝き、大吉をスルーしオルタをこてんぱん。

 そしてオルタの輝き、大吉に配慮した結果エルフィンに届かない。

 大吉隠れ組のフォルテらが叫んだ。


「バカの均衡が、崩れた!」

「バカ逆転です!」

「反撃でしゅ!」「バカバカです!」「さすが大吉様ですぅ!」

「さすがは大吉様。オルタもタジタジ」

「このままこてんぱんやでーっ!」『『『サスガーッ!』』』


 静かに近付く大吉に、オルタは涙目タジタジ。

 しかしエルフィンは攻撃出来ても大吉は攻撃出来ない。

 オルタはエルフィンの夢『クロノ様のお嫁さん』をあきらめる為にエルフィンが号泣輝き分割した思いの結晶だからだ。


「ええっ! こてんぱんですか? 私が大吉様にこてんぱんなのですか?」

「そんな事するか。お前もエルフィンだからな」

「はうっ……」


 大吉は涙目のオルタを優しく抱きしめた。


「ほら、バカな一人ケンカはもう終わりだ」

「ですがこのままでは私がバカに。クロノ様、いえ大吉様への思いの結晶である私がバカに」

「バカならいいんだよ。愚かじゃなければ」

「……バカ、ばんざい!」


 ぺっか。

 オルタ、大吉の腕の中でニッコリ敗北バカ宣言。

 バカ対決、ここに決着。

 優しい抱擁に悔しがるのはバカ勝負に勝ったエルフィンだ。


「なんてラブラブ! バカに勝って勝負に負けた気分です!」

「合体すれば勝ちも負けもないだろお前ら。とっとと合体してドローにしちまえ」

「光と黒が両方そなわるのですね!」「最強に見える!」「では私が黒で」「私が黒です!」「どっちでもええわい!」「「ええっ!」」


 エルフィンとオルタが大吉を挟みぺっかぺっかと輝く中、無傷の大吉隠れ組が倒れるVを取り囲む。

 怪獣組が倒れてもエルフィンがイチャコラに夢中でもまだまだ戦力てんこもり。

 これが黒の十四軍。重厚布陣だ。


「動きませんが念のため、無傷の私達でトドメを刺しておきましょう」

「ダメ押しこてんぱんです!」

「やるでしゅ!」「やるです!」「やるですぅ!」

「念入りこてんぱんですね」

「輝き酒瓶でブン殴るでぇ!」『『『ヤッチマエーッ!』』』


 べべべべべべべっかーっ!

 べべべべべべべちこーんっ!


「ぎゃああああああーっ!」


 V、バカ対決のついでに倒される。

 まるで打ち切り漫画のようだ……と、ダメ押しのこてんぱんを受けるVを見て、大吉は何とも切ない気持ちになるのであった。

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