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輝け! 黒の十四軍  作者: ぷぺんぱぷ
3-3.世界が二人を分かつまで
134/142

9.バカは全てをもっていく

「……エルフィン?」

「はい」


 Oが頷く。

 兜を抜いだOの顔は、エルフィンとうり二つ。

 いや、エルフィンそのもの。

 皆が叫んだ。


「エルフィンが二人?」

「今でもデタラメなのに二人もいるのかよ!」

「ダメ無限力×2ですわ!」

「どっちのギガ放題もエルフィンなのか!」

「ギガ、放題、二ばーい」

「あっちもこっちもデタラメはエルフィン!」 

「デタラメ三号は実はデタラメ一号でした!」

「そっくりでしゅ!」「見分けつかないです!」「困ったですぅ!」

「輝き偽装の可能性ゼロ。生物情報はエルフィンと完全に一致します」

「さすがエルフィン、デタラメやでぇ」『『『デタラメーッ!』』』

「そろそろ私のスルーも解除してくださーい」


 皆、驚愕。そしてあやめはスルー。


「O! 貴方はエルフィンだったのですか!」


 Vも驚愕。

 張本人のエルフィンも驚愕だ。


「私のクローンが敵側に! 王道! まさに王道パターン!」

「いや、普通に考えて輝き分割だろ」

「ええっ!」


 あれだけギガ放題しておいて今さらクローンとかないわー。

 というかエクソダスの夢でデタラメになった後天的デタラメのエルフィンのクローンを作って互角の強さはありえんわー。

 と、思う大吉だが当のエルフィンにはさっぱり憶えがないようだ


「ですがあんな輝き分割をした憶えがありません! 私と互角ですよ? 五割ですよ? そこの怪獣組だって一割でこてんぱんなのにどうしてそんな大盤振る舞い輝き分割をする必要があるのですか!」

「「「「「ひどい!」」」」」


 怪獣組、もはやベンチマーク対象。

 漫画やアニメで『○○よりずっと強い』とライバルキャラを比較対象にするような強さ比較をするエルフィンの疑問に答えたのはOだ。


「エルフィン、六年前に宇宙を切り裂いた事を憶えていますか?」

「苦渋の夢の下方修正を忘れるわけがありません」

「その時の貴方の思いが宇宙を切り裂き、クロノ様に届けた貴方の諦めきれない心が私です……まあ、後で渡ってきた貴方にクロノ様が名乗るまで、見つける事は出来ませんでしたが」

「やはり輝き分割か」


 泣きわめいたはずみで輝き分割、さらに輝き異世界転送。

 さすがはエルフィン、六年前からデタラメだ。


「今にして思えば見つからないのも当然です。その頃クロノ様はクロノ様ではなかったのですから」

「別のゲームにハマっていたからな」


 だからクロノで見つかる訳がない。

 あやめが見つけられたのは途中で大吉がリタイアしたからであり、もし大吉が別のゲームでリタイアしていればあやめも見つける事は出来なかっただろう。

 エルフィンの輝き異世界転送のひっかかりに出来たのも納得だ。

 元が一つのエルフィンなのだから出来て当然。分割したOと合体しようとしていただけの事である。互角のOが拒否したので合体は出来なかったが。


「これで信用して頂けましたでしょうかクロノ様、いえ大吉様。この私がいる限りVが好き勝手出来ないという事を」

「……まあな」

「では……」

「ダメだ」


 大吉はOの言葉を遮り、答えた。


「俺がお前らの世界で真実に気付いたように、いずれ誰かが食われている事に気付く。そして隠していた事を咎める。都合の悪い事を隠していた相手を誰が信用するんだよ。信用を築くのは大変でも失うのは一瞬。お前らは最初から俺達を裏切っているんだよ」

「……」


 大吉の答えにOが黙り込む。

 静寂。

 しかしここで怪獣組が、どうでも良い事で騒ぎ出した。


「しかし、我らは奴をどう呼べばいいのだ? ボ・エルフィンか? ボエーッ」

「もしくはエルフィン・ボか? ンボーッ」

「むむむ、どっちも甲乙付けがたく格好悪い!」

「困った、迷う」

「それでは二つを重ねてボ・エルフィン・ボといたしましょう」

「「「「「ボエーンボーッ!」」」」」

「……その呼び方は却下します」


 べべべべべちこーん!


「「「「「あいたっ!」」」」」


 怪獣組、Oにこてんぱん。

 お前ら本当に懲りないな……こてんぱんにされた怪獣組に大吉は呆れ、Oに聞く。


「じゃ、どう呼べばいい?」

「エルフィン・オルタナティブ。エルフィン・オルタとお呼び下さい大吉様」

「オルタ?」

「私はエルフィン・グランティーナから六年前に分割した別存在。Oは黒曜のオブシディアンであり、オルタナティブのOでもあるのです」



 ……ん?



 ひっかかりを感じた大吉はスマホを取り出し検索する。

 ピコピコピピピ……スマホ検索を終えた大吉は皆の前で、何ともすまなそうにエルフィン・オルタに告げた。


「すまんエルフィン・オルタ……オルタナティブの頭文字は『A』だ」

「えっ?」

「オルタナティブだと秘密結社VAIDになってしまうぞ」

「ええっ!」


 ああ、こういう所は本当にエルフィンだなぁ……素っ頓狂な声を上げるエルフィン・オルタに大吉が呆れて笑う。

 こてんぱんから復活した怪獣組は大騒ぎだ。


「つまりVOではなくVA!」

「秘密結社、バ!」

「ボではなくバか!」

「バか、バカ」

「バーカ! バーカ!」

「「「「「決定! バカエルフィン!」」」」」

「はあ!?」


 べべべべべちこーんっ!


「「「「「あいたっ!」」」」」


 エルフィン・オルタが怪獣組を再びぶちのめす。

 頭文字を間違えた程度でエルフィン・オルタの実力が変わる訳ではない。怪獣組は怒りのエルフィン・オルタのパワーで頭を地に叩き付けられた。


「ブリリアント、ガトラス、バウル、ボルンガ、そしてビルヒム……今の言葉を訂正なさい」


 力で屈服させられた怪獣組にエルフィン・オルタが言い放つ。

 しかし怪獣組、こてんぱんでもエルフィンには容赦無い。


「ぐぬぅおおお、我らを侮るなよバカエルフィン!」

「何度お前のこてんぱんを食らったと思ってやがる!」

「その通り。この程度のこてんぱんなどすでに日常!」

「なめ、るな」

「しかし訂正しろと言うなら訂正しましょう! そう、丁寧に!」

「「「「「アタマが、お悪うございます!」」」」」

「はあ!?」


 べべべべべちこーん!


「「「「「あいたっ!」」」」」

「お前ら、バカだな……」


 どんな強固な堤防も小さな穴から崩壊するという話を大吉は思い出す。

 エルフィン・オルタのうっかりのせいで世界の命運をかけた先程までの緊迫感はまるで無い。

 あやめはもちろんVすら空気。大吉もこれには苦笑いするしかない。

 そして自らの分身の所業にエルフィンは涙目半端無い。


「大吉様! 私をあんな、あんなバカと一緒にしないで下さい!」

「いやぁ……エルフィン、事前にちゃんと確認しよう。な?」

「なぜ私に言うのですか!」


 いやぁ、あっちもエルフィンだし。

 そんな事を思っている大吉にエルフィンがにじり寄る。


「大吉様には私とバカが一緒に見えるのですか!?」

「……騎士を意味するナイトの頭文字は?」

「Nです!」「Kだよ」「ええっ!?」

「偉そうな事を言ってそのザマですか! バーカ! バーカ!」


 間違えたエルフィンをエルフィン・オルタが指差し笑う。

 エルフィン・オルタ、怪獣組と自分には容赦無い。


「六年も前にこの世界に現れておきながら大吉様を見つけられなかった貴方に言われたくはありません! バーカ! バーカ!」

「貴方も見つけられなかったではありませんか! バーカ! バーカ!」


 そしてエルフィンも怪獣組と自分には容赦無い。

 両エルフィン、煽り煽られヒートアップ。

 やがてエルフィンとエルフィン・オルタが共に叫んだ。


「貴方に笑われる事だけは我慢なりません! 勝負ですエルフィン・オルタ!」

「それはこっちの台詞です! この場で白黒つけようではありませんか!」

「勝者が黒と大吉様を、敗者がバカの名を得るのです!」

「いいでしょう! 最大の敵は自分とは良く言ったものです!」

「いや、それ絶対意味違うから」


 エルフィン対エルフィン・オルタ。

 ギガ放題第二ラウンド、始まる。

 まさか最後の戦いが、こんな目くそ鼻くそを笑うが如き戦いになってしまうとは思わなかった……

 と、二人? を前に大吉はただ呆れるのであった。

ばかばんざい。

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[良い点] お待ちしてました バカ万歳!
[良い点] やった!待ちに待った更新だ! そして例のごとくシリアスさんは息してないしVが空気!
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