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輝け! 黒の十四軍  作者: ぷぺんぱぷ
3-3.世界が二人を分かつまで
130/142

5.黒の十四軍は、私だけではありません

「「「「「「「「「ギガ、パーンチ!」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「ギガ、キーック!」」」」」」」」」」


 地球の陸で、海で、空で……

 ギガ放題の戦いは続いていた。

 光の黒騎士エルフィン・グランティーナと黒曜の騎士O。

 黒の十四軍のデタラメ対秘密結社VOIDのデタラメのデタラメ頂上決戦だ。


「光の黒騎士、これで私が十五億三千万の勝ち越しです!」

「くううっ!」


 しかし互角であった戦いは、O有利の戦いになりつつある。

 輝き転送と輝き異世界転送では『異世界』の分だけ輝く輝き異世界転送の方が不利。攻撃側のエルフィンの方が防御側のOよりも輝いている分不利なのだ。

 エルフィンは輝き異世界転送する度に輝き転送で現れるOにこてんぱん。大吉のツッコミ負け越しを挽回するどころか悪化させていた。


「さすがO。父上やあやめがデタラメと評するだけの事はありますね」

「輝き異世界転送などしなければ今も互角だったでしょうに。まあ、貴方が完全にこちらの世界に移ってもVが即座に排除するので無意味ですが」


 べちこーん!

 Oがエルフィンをこてんぱんにぶちのめし、エルフィンの負けがまた一つ増える。


「ふふ、わかっていませんねO」


 しかしエルフィン、十五億超の負けでも不敵な笑みだ。


「私は貴方に対するだけで良いのです。不利な戦いでも貴方を釘付けにしておけばそれで良いのです!」

「……」


 無言のOにエルフィンは続ける。


「黒の十四軍は私だけではありません。大吉様の号令に全軍団が続々と秘密結社VOIDへの攻撃を開始しているのです……あ、今はボでしたね」

「……ボは格好悪いのでやめてください」

「しかしDの父上とIのあやめがいない今はVO、ボではありませんか。私を負け越しにするのは大したものですが貴方とVだけで他の軍団まで防ぎきれるのですか? 協力するオカルト達が黒の十四軍と渡り合えるとお思いですか? 大吉様が統べる我らに烏合オカルト衆が戦えると?」

「……そんな事は、わかっています」


 べちこーん!

 Oがまたエルフィンをぶちのめす。

 敗退し退場していくエルフィンに向かい、Oは言った。


「それをわかっていないのは私ではありません。Vです」




『ワタッター』『ワタレター』『バンザーイ』


 ぺっか、ぺっか。

 エルフィンがギガ放題で負け越している頃、エルフィンや黒軍の派手な輝き異世界転送にまぎれて輝き異世界転送している者達がいた。

 機械妖精グレムリンだ。

 エルフィンや黒軍、黒の艦隊の攻撃に便乗して世界を渡ったグレムリン達は派手な攻撃に隠れて世界全体にくなまく拡散し、数億もの攻撃目標に接近する。

 彼らの攻撃目標はVRドリームインターフェース、エクソダス。

 使用者を食らう秘密結社VOIDの切り札だ。


「行くでしゅ!」「エネルギー炉解放です!」「フルパワーですぅ!」

「全艦エネルギー全開放、ならびにグレムリンを輝き異世界転送!」

「トホホ。わての秘蔵コレクション、派手にばらまくでぇ!」


 べべべべべっかーっ!

 アイリーン、マリー、エミリ、セカンド、ミリア。

 機械妖精グレムリン使いの五軍団が激しく輝く。

 グラン、アクア、ウィンザー、そして黒の艦隊のエネルギー炉が解放され、グレムリン達がエネルギーを手に世界を渡る。

 グレムリンで動くロボや艦隊のエネルギーは……酒だ。


『イラナイモノ、モラウ』『アセ、モラウ』『ビョウキ、モラウ』『イロイロ、モラウ』『タイチョウ、バンゼン』『アシタモ、ゲンキ』『ガンバレー』……


 エクソダスの中で働くグレムリン達に魅惑の誘いがぺっかと輝く。


『イイサケアルデー?』『イッパイ、ドウダイ?』『ウマイデェ?』

『『『サケ?』』』


 ぺっかぺっか。

 エクソダスの中で働くグレムリン達の近くで酒を手にグレムリン達が囁けば、エクソダスもぺっかと輝く。


『ウマイサケ!』『『ウマイサケ!』』『『『ノムーッ!』』』


 様々な物を食べるグレムリンだが一番好きなのは酒。

 これまでもユーザーの不要物から酒を作り飲んでいた彼らだが、酒は美味ければ美味いほど良い。たちまちエクソダス内部で酒盛りの始まりだ。


「ぬあっ、なんか酒臭えっ!」

「俺のエクソダスが酒でびしょ濡れだ!」

「誰だよ! 電化製品に水気は厳禁だろうが!」


 エクソダスが酒盛りを始めたので、全世界のエクソダス総ダウン。

 酒に濡れた電化製品を使おうとする者などいない。接続がいきなり切れたユーザーはベッドから飛び起き、濡れたエクソダスをタオルで拭いてドライヤーで乾かす。

 ハイテク製品は熱をもつので放熱のために細かな穴が多数あり、水や酒が入り込んだらすぐに乾かすのは難しい。

 当たり前だがエクソダスのような精密電化製品は分解したら保証外。

 これまでも分解したユーザーが永久追放になったりしているのでユーザーはサポートに電話したりメールしたりと阿鼻叫喚だ。


「やったでしゅ!」「酒つよいです!」「へべれけですぅ!」

「これでエクソダスはしばらく使えない」

「わての秘蔵コレクションもこれですっからかんや……良い子のみんなは電化製品に水や酒はあかんで! グレムリンが暴れるからなぁ!」

「誰に言ってるんだミリア?」

「これはお約束やでぇ!」


 首を傾げる大吉に、秘蔵の酒コレクションを全て失ったミリアが涙目で叫ぶ。

 ともあれ黒の十四軍は最大の障害を排除した。

 大吉は命令を下す。


「黒の十四軍全軍、輝き異世界転送!」

「大吉様、目的地は?」


 エルフィンが聞き返すが、皆どこに攻め込むのか分かっている。

 見つめる皆に大吉は頷き、言った。


「俺達の島、黒島だ」

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