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輝け! 黒の十四軍  作者: ぷぺんぱぷ
3-2.愛とは、心を受けるもの
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6.今、それはできない

「クロノ様、ようこそグランティーナ領へ」

「歓迎いたしますわクロノ様」


 グランティーナ子爵領、領館。

 正座したエルフィンを挟み、両親ダグラスとローザが大吉に頭を下げた。

 ふたりとも、顔にも服にも反転大吉様。

 エルフィン歓喜の大吉様スタンプを食らいまくった結果だ。

 そして子爵領のいたる所、大吉様の嵐。

 領館はもちろん町も街道も田畑も山も大吉様。

 さすが大吉様爆心地。すさまじい大吉様の猛威であった。


「すみません。会いに来ただけなのにすごい事になってしまって」

「いえ、うちの娘のせいですからお気になさらず」

「これではクロノ様のお父様が『眩しい』としか言わないのも仕方ありませんわ」

「すみません。喜びにはっちゃけてしまい本当にすみません」


 頭を下げる大吉に父ダグラスと母ローザが笑い、エルフィンが土下座する。


「それに悪い事ばかりではありません。町も街道も大吉様で新品同様、田畑は大豊作、山はトンネルが出来たり資源が採掘出来たりと良い事ばかりでございます」

「こんな事を気にしていたらこの子の親は出来ませんわ」

「……デスヨネー」


 さすが両親、太っ腹。

 あの大吉様すら公共事業扱いだ。


「なぜ我らは大吉様でこてんぱんなのだ!」

「フォルテ達は食らっても平気だったのに」

「俺なんてデカイから殴られまくりだ!」「痛いねにーちゃん」

「我ら、こてん、ぱん」

「そうですぞ! 我ら黒の十四軍の仲間ではございませんか!」

「すみません。日頃の恨みが乗ってしまいました」

「「「「「「ひどい!」」」」」」


 黒の十四軍の皆も反転大吉様。

 さらに怪獣組は大吉様プラスこてんぱん。

 騒ぐ怪獣組にしれっと答えるエルフィンだ。


「光の黒騎士エルフィン・グランティーナ。このグリード・エイブラム、再縁談を取り下げといたします。エイブラム王家の都合で色々と振り回してしまって申し訳ないが許して頂けるとありがたい」

「そんな事より大吉様! ようこそ我が家へいらっしゃいました!」

「そんな事!」

「まあ、トンズラだしな」

「ひどい!」


 そして土下座したグリード王子に正座したエルフィン、そんな事扱い。

 これでスッキリ円満破談。

 対応が失礼な気もするがこのグランティーナ子爵家相手に王家も何かしようとは思うまい。事を構えたら最後、空から落ちて来る大吉様でこてんぱんだ。

 元々エルフィン・グランティーナを取り込む為の縁談だったのだ。エルフィンが夢中なクロノこと大吉が現れれば取り込みから敵対しない方向に転換するはずだ。

 それよりも問題は……新たに生まれる縁談だ。


「ところでクロノ様、ここにいらしたのはエルフィンを妻に迎える為ですよね?」

「まあ! こんなふつつかな娘をありがとうございます!」

「まったく、本当に呆れたふつつか者「ブーリーリアントー」ひいいっ!」


 ぺっか、ぺっかぺっか。

 世界を渡って会いに来た大吉に、エルフィンも両親もすっかりその気。

 一家そろって輝き期待だ。

 が、しかし……大吉は首を振り答えた。


「いや……今、それは出来ない」

「「「ええっ!」」」


 大吉の言葉にエルフィン一家、驚愕。


「こ、ここまで来てなぜですクロノ様!」

「まさかエルフィンのあまりの輝きに愛想が尽きてしまったのですか!」

「そんな!」

「今さらそれはない……が、力の源を知ってしまったからな」


 大吉が使った力は、この世界を食って得られたもの。

 大吉がそうならエルフィン達もそうだろう。

 エルフィン達の力の源は間違いなく大吉達の世界を食って得たものだ。

 その力どこから来たと首を傾げた大吉に日頃の食事と答えたエルフィン。

 飲食の質量をすべてエネルギーに変換出来れば一日の飲食で史上最大の核爆弾のエネルギー以上になるだろう。

 物質の内包するエネルギーはとんでもない大きさなのだ。


「エクソダスの夢とは違い、俺が輝きを受け止めるだけであの大穴だ。結婚式をするだけで子爵領が見るも無惨な事になるぞ」

「た、たしかに。うちの娘は絶対に輝きまくりですからな」

「その後には初夜……ああっ! 考えただけでも恐ろしい!」

「「「「「「死ぬ!」」」」」」


 そしてこの世界は大吉の世界よりもろい。

 同じエルネギーを発生させるのに大吉の世界よりも膨大な量の物質が消費される事になる。

 その結果がエルフィンを受け止めた時の大穴。これ以上の行為に及んだら世界が穴だらけになるだろう。

 少なくともこの世界では無理だ……デタラメ過ぎて。


「そ、それなら大吉様の世界ならば!」

「少しはマシだと思うが、今の調子ではダメだろうな」

「くっ……師匠の言う通り、ダメ無限力!」

「師匠ではありません。フォルテで結構」

「ええっ!」


 そして大吉の世界はオカルトの良い所だけを見て絶賛しているが、オカルトが身の回りの物質を消していると知ったらどうなるだろうか……

 そもそもの発端はVRドリームインターフェース、エクソダス。

 そして秘密結社VOID。

 彼らはこの事を知っていたのだろう。

 そうでなければエクソダスなど作れない。異世界と夢でつなぐなど、家庭のコンセントで出来る訳が無いからだ。

 大吉はダグラスに聞いた。


「グランティーナ子爵。秘密結社VOIDの事を教えて頂きたい」

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