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輝け! 黒の十四軍  作者: ぷぺんぱぷ
1.我ら黒の十四軍、ブラックフォーティーン
1/142

プロローグ.その世界で、僕は彼女と結ばれ……なかった。

 00:01:59


 視界端のカウンターが二分を切った。

 大丈夫。まだ……まだ間に合う。

 僕は彼女と並び、式の進行を待つ。

 苦難を共に乗り越えた彼女と決めた最期の時。

 僕と彼女の、結婚式だ。


「病める時も健やかなる時も、互いを思い、互いに寄り添う事を誓いますか?」

「「誓います」」


 神官の言葉に僕が誓い、彼女も誓う。

 僕と彼女の誓いを聞いた神官は笑顔で頷き、僕と彼女を祝福した。


「神の祝福が二人の道を明るく照らしますように。世界が二人を分かつまで」

「「世界が二人を分かつまで」」


 00:00:29


 カウンターが時を刻む。


「クロノ様。わたくしは、エルフィンは幸せでした。もし願いが叶うのならばもう一度巡り会い、共に歩みたく思います」

「ありがとう。僕もだよ」


 僕は頷くが、その時が二度と来ない事を知っている。



 だってこれは、ゲームの世界なのだから。



 サービスを終了したゲームが復活する事は非常にまれだ。

 だから彼女と僕は二度と会う事は無いだろう。

 これは僕と彼女の別れの儀式。二人で決めた夢の終わりだ。


 00:00:09


 カウンターが十秒を切り、世界が色あせ始める。

 夢の、終わり。

 世界が終わる時が来た。

 あらかじめ告知されていた事。僕も彼女も分かっていた事だ。


「それでは、誓いの口づけを」


 神官の言葉に僕と彼女は頷き、唇を近づけて……

 触れる前に、世界が闇に包まれた。


 00:00:00


「あぁ……」


 僕はベッドの上、途切れた夢に力無く呻く。

 僕と彼女の世界は、こうして分かたれたのだ。


 この時は。

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