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ワールドフレンドウォーズ  作者: 冬こもり
最後の戦の準備期間
93/139

平穏を壊すチャンピオン

【始まりの街】


《育成センター》


「見つからないわ~」

「どうしたんだ?いなりのお嬢ちゃん」

「ヒデルさんか」

「そんなに伸びて…他のプレイヤーが居るんだ。チャンピオンらしくピンとしろ」

「えぇ~だって~イベントを終わらせる為のアイテム持ってるってプレイヤーが見付からないんだもん。沙葉は協力してくれないし」

「だろうな」


あれから顔のネットワーク使ってアイテムの持ち主を探しているけど4日経っても見つからない。


「どんなアイテムだ?」

「【太陽の天極玉】って言うアイテムよ」

「あれ?確かそのアイテムを誰かが売ろうとしなかったけ?」

「えっ」

「半年前に来たんだよ…誰だっけ?」

「思い出すのよ!上位鑑定士さん!」


う~んと唸っているが出てきていないようだ。


「ヒデルさん、上位鑑定士になられた時から書いている名簿を見れば宜しいのでは?」

「秘書の七海(ななみ)さんだ…そんなの作ってたの?」

「そうしないと誰がどのアイテムを鑑定しに来たかわからなくなってしまいます。それに今を見てください。忘れてますからね」

「たまにポンコツになるわよね」

「ですね。上位鑑定士じゃなかったあなたに鑑定を依頼するプレイヤーは少なかったので書く必要は無かったのですが。今は確実に必要ですからね」

「お前たちも大概キツいこと言って……………あっ!思い出したぞ!アイツだ!」

「アイツって誰よ」

「それは言えない…本人から口止めされてるからな」

「ここまで来てそれはないわよ~」

「ヒデルさんそれは本当に言えないのですか?」

「君までワシを責めないでくれ」

「ほら、喋った方が楽になるわよ」

「ちょびっと…ほんの少しで良いのです」


ヒデルは自身に向けられる数多の目線をその辺で休んでいるプレイヤー達から感じた「話してやれよ」や「チャンピオンが懇願しているんだから教えてやれよ」等々…。

持ち主を知っているヒデルは複雑である。スタンピードの出来事を聞いているからこそ少しソッとしてやりたいと思っていた。


「ワシ、持ち主から嫌われたくない」

「嫌われたくないって事はヒデルに良く鑑定を頼んでた人物ね」

「推理を始めるなチャンピオン」


名簿をペラペラ捲っていた秘書の七海も確認が取れた。名簿に書かれているプレイヤー名を見て七海も戦慄し(これは言ったらアカン)と思ったが…。


「どうしたの?七海さん、見つけたの?」

「……(考えても無駄ね。それに黙っていても確実にバレるだろうし…嘉帆ちゃん ご め ん な さ い)チャンピオンの知り合いよ」

「えっ知り合い?それなら確認した……あっ…唯一確認出来てないは………連絡が取れないのは嘉帆だけね」


ヒデルは七海の方を見ると能面の様な顔つきで話していたのを見てヒデルはソッとしてしておくことにした。

この場にいたプレイヤーたちも(御愁傷様…元ガルーダ使いちゃん)と下を向いていた。


「でも行方がわからないのよね~少し前までなら上級飛行乗りだったから目印が着いてたんだけどね。今はマップに載らないのよね。盗賊の副リーダーやってた時は隠蔽魔法が掛かって見れなかったけど。ヒデルさん、七海さん、ヒデルさんありがと、これから挂帆を探しに行ってくるわね」

「……おう、気を付けてな(すまん、嘉帆の嬢ちゃん)」

「見付けられると良いですね(さっきの自分を殴りたい)」

「えぇ、またね」


いなりは育成センターから出て行った。


「やべっちゃたな。秘書ちゃん」

「俺たちな」

「チャンピオン確実に傷口を抉りに行ったわ」

「うわ~…元ガルーダ使いちゃんにとって最悪のイベントが起きたんだな」

「最悪だ」






【始まりの街】


《上空》


「ロゼッタ、嘉帆を見付けるわよ」

「(゜д゜)」

「えって言われなくてもわかってるわ。あんな事が合ったのに「嘉帆、元気?」なんて会いに行くのは空気が読めない事はわかってるわよ。でも会いに行ってアイテムを貰いに行きましょう」

「( ノД`)…」

「あたしだって嫌よ。…稔姉さんの情報だと【ノースノエルランド】で嘉帆を見たらしいからね…周辺を捜索しましょう」



ロゼッタは【ノースノエルランド】の周辺に向けて出発した。








【結晶が降り注ぐ森】


《鏡面の泉》


「こんなにのんびり過ごせるなんてね…」

「(・ω・)」

「そうだね…眠くなってくるね…


釣糸を垂らしながらも眠りそうな雰囲気だったが…空から白い炎に包まれた5体のドラゴンが落ち巨大な水飛沫が上がった。


「…空からドラゴンたちが降って来るなんて…それに白い炎?」


ドラゴンが泉に落ちると泉がブクブクと泡が立ち始め足を浸けながら釣りをしていた嘉帆は慌てて泉から足を上げ。林に囲まれて秘匿度が高い桟橋から離れた。


「危なっ何が起きた!」


眠気が一気に覚めイルゼも速急に嘉帆の近くに戻ってきた。


「Σ(゜Д゜)」

「いっ泉が高温の温泉になった」


すると上空から自身の平穏な日常をぶち壊す人物の声が響き渡った。


『嘉帆~何処に居るの~少し話したい事があるのだけどー出て来て欲しいなー?』


嘉帆は戦慄した…すると自身を心配した人達からメールが沢山届いて居るのがわかった。

内容を確認すると「逃げろ」や「【太陽の天極玉】というアイテムを捨てろ」等々のメッセージが書かれていた。


(マジかっ!)

『ここに居るのはわかっているからねー』

(怖いよ!追跡者か己は!このアイテムを無理にでも鑑定士(ヒデル)さんに引き取って貰えば良かったよ!)


しかしどうだろう?いなりには場所はバレて居ないがロゼッタにはバレている様だった。


(ロゼッタ…敢えて見逃してくれてるのね。この場所から離れそしてこの森の名所の大きな切り株の所にアイテム放置しよう)


嘉帆はバレないようにそそくさとその場から離れて結晶が降り注ぐ森で一番目立つ大きな切り株に…ロゼッタにはバレているが向かい切り株上に【太陽の天極玉】を放置し盗賊時代に見付けたアイテム【隠者のマント】を装着して切り株から離れた場所で待機した。

暫くするといなりとロゼッタが切り株の所に現れた。


「こんな森が合ったなんて…幻想的で綺麗ね」

「( ・ω・)」

「…切り株上に【太陽の天極玉】…誰かから連絡が行ったのかしら?確かに受け取ったわ。残りは【深海の雫石】ね」

「(  ̄ー ̄)」

(頼む!この森から早く飛び去ってくれっ!)

「少し待って…何か音がしない?」

(えっ)


ドシン…ドシン…と地響きがしてきた。


(ヤバい!ヤバい!何か!何かが始まった!)


挂帆の勘が当たりアナウンスが流れた。

【高難易度イベント【結晶が降り注ぐ森の主の進撃】が発生しました。結晶の降り注ぐ森の環境を破壊した事でこの森の主が目覚め怒り狂いながら犯人たちの元に向かって居ます】

(えっもしかして巻き込まれた?今犯人たちって言った!?)

「達って事は嘉帆も何か破壊したのかしら?」

(やって無いわ!もしやってたら君たちが来る前にコレが始まってたわ!)

「どこかにいる嘉帆を回収しなくちゃ。それともあたしたちの他にプレイヤーが居るのかしら?」


(居ないわ!ここに来れるのは上級飛行乗りとこの森に来たことがある元上級飛行乗りだけだよ!地形を上空から見たんじゃないんかい!この森はとても高い山に囲まれて居るでしょうが!)と心でいなりに突っ込み嘉帆はその場から離れて走り出した。



「あっ!右の方から足音がしたわ!嘉帆かしら?あたしたちは空に上がりましょう」



ロゼッタに乗って上空に向かい西の方からドドドと土煙を上げる巨大で綺麗なダイダラボッチ見たいなのが走ってきているのが見え、空から嘉帆を捉えて確保しに向かった。




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