中央都市バンディラス攻防戦 その2
バンディラス管制塔から第一陣のムーヴが終わり休憩時間を取るようにと放送が流れ……。
「あれ?なんか空が暗く……!?」
空を見上げるとこれまでにない程の大きさのドラゴンゾンビがバンディラス上空を覆った。
「あれってエンプレスオブセイントドラゴン?」
ダンジョンコアを返したセイントドラゴンが大量の血や皮膚を垂れ流しながら状況を旋回している。
「ゾンビ犬見たいに目が飛び出している…それに所どころ骨も飛び出してるわ」
とてつもないほどの巨大な淀みのオーラが漏れ出ていて近付いたその辺に居るドラゴンがドラゴンゾンビに変化しているのが見えた。
「あれを倒さないと終わりそうにないわ」
『お前達聞たちこえるか!』
ヤチヨ教官から突然連絡が来た。
『ドラゴンゾンビが特性を変化させやがった!青雀と水色雀は一度そちら系のモンスターに出会っている筈だ』
『…まさか!狂気種のファンキーベアキングでありますか!!』
『そうだファンキーベアキングだ!ここに来るまでに変化したみたいだ、お前たちはコロッセオの周辺のモンスターを一掃を中心に行え!コロッセオ以外の建物を守ろうとするな!今回はホントに街がほぼ無くなるのを覚悟しておけ!』
上空から奇妙な鳴き声が響き渡ると空から数多のドラゴンゾンビがこちらに向かってやって来た。
『結界の準備が整いました、皆さん一旦コロッセオの内側に戻って休憩を取ってください!我々の相棒の結界を発動します!』
内側に戻り結界が発動して近付いてきたドラゴンゾンビが結界の光によって浄化されたが数が多過ぎて結界が血に染まった。
「ここまで凄いとは思わなかったわ」
「いなりちゃん平気か?」
「恐ろしいです」
「俺もまさかここまでになるとは思わなかったよ…恐ろしいな」
『次のムーヴ来ます!気を付けて下さい!』と管制塔から連絡が来た。
「ロゼッタ、あの技を準備するわよ」
「あの技?」
ロゼッタは【蒼天空の白き焔】の準備に掛かった。
「またとんでもない技が来そうだな、邪魔をしないように持ち場に戻るな」
弥一郎さんはそう言うと持ち場に戻っていき、そして結界が切れるカウントが始まった。
『残り10秒…9…8…7…6…5…4…3…2…1…0!皆さん敵が来ます!』
結界が切れるとあたしの目の前にはドラゴンゾンビの【ボス】がロゼッタのようにブレスを近くまで降りてきて準備をしていた。
「ロゼッタ!」
ほぼ同時にブレスと白き焔がぶつかり合った!
『周りのドラゴンゾンビは俺たちが何とかするから気にせずドラゴンゾンビの親玉に集中しろ!いなりちゃん!』
ブレスと焔は前の時みたいに均衡していたがロゼッタが負けじと体を奮い起たせるとさらにパワーアップしドラゴンゾンビのブレスを押しきって見せドラゴンゾンビに直撃し消滅が始まった。
『ありがとう人の子よ…これでようやく眠る事が出来る…ワタシの判断でダンジョンコアを返還させたが…間違った選択だったようです…謝らせ…てくだ…さい…』
ドラゴンゾンビの親玉を倒せたと思ったが…もっと恐ろしい存在が上空に君臨していた。
「何なのよあれ!」
「良く見たらとみさんが戦ってないか?」
とみさんは相棒のドラゴンと共に噛み千切ったりしているが一切のダメージが入ってなさそうだった。
「ロゼッタ行ける?」
「((‘д’o≡o’д’))」
ロゼッタはドラゴンゾンビの親玉とのブレス対決でほとんどの力を使いきり浮かんでいるので精一杯だった。
『お前たち聞こえるか!』
「マム!」
『ドラゴンゾンビの親玉を一撃で倒せたのは良いが、厄介なのが現れた』
「あれは何のモンスターでありますか!」
『上からの情報だとあのモンスターの名は【虚無の王ソウルスピリット】今回の襲撃はアイツも絡んでいたみたいだ!母上が戦って居るがどうやらダメージが入ってないらしい、そしてあれがこの場にいる限り何度でもボスクラスのモンスターが無限に湧くみたいだ!』
教官が言ったその時にロゼッタが倒した意思のないドラゴンゾンビが再生を始めた。
「再生がもう始まってる!」
『東の本土でもボスが何度も再生が繰り返されそれぞれの街や村が壊滅的になっていると連絡が入った!今から作戦を変更する!周辺のモンスターを狩るのを止めコロッセオの結界の維持を優先しろ!何度でもモンスターを再生させる元凶を我々がこの地から離れさせる!良いな!コロッセオを絶対死守せよ!』
プッと教官からの連絡が切れた。
『いなりちゃん行くぞ!』
「………」
ロゼッタと一緒に上を見上げて居た。
『コロッセオに仕掛けられている魔法陣を発動させるためにお戻り下さい!』
『お嬢ちゃんも早く入れ!』
『そのままコロッセオの中心に来てちょうだい!』
「わかったわ!」
ロゼッタと一緒に【コロッセオ】の《闘神の間》に向かった。
少し時間を遡り…【秘密の庭園】
「泰帆ちゃん…準備を」
「はい」
秘密の庭園にゴテゴテの衣装を来た高貴そうな人が従者ふたりを連れて現れた。
「やはりこの場を防衛している者が居ましたか」
「あなたが今回の指揮官ね」
「初めましてワタシは西の王アレキサンドルと言います…ワタシの後ろに居るふたり…いいえ2匹はワタシ従者でありモンスターでもあるゴンザーとハガルだ」
『『どうぞよろしくお願いいたします』』
「ご丁寧にどうも」
「あなた方の後ろにある封印の祠に入られせ貰っても宜しいですか?」
「申し訳ないですが…それは難しいお話でございます…」
「私たちを説得なさってくださるかしら?」
西の王の従者はモンスターの姿に変身しゴンザーは【アーマードゴリラ】にハガルは【ダークネスドラゴン】になった。
「あら…ちょうど良いウォーミングアップになるわ」
「ゴンザー!ハガル!やってしまいなさい!」
「イルゼ【吹き荒れる風の刃】!」
「ピュアートちゃん【病魔の魔風】!」
ふたつの風が合わさり2匹のモンスターが西の王様を守っていたが狭い場所等の条件が重なり秘密の庭園から勢いよくビュン!と飛び出して行った。
「あら、飛んで行っちゃったわ」
管制塔から第一陣のムーヴが終わりのサイレンが流されたが…
「とみさん空の様子が…」
「え?」
庭園から見上げる空は雲の隙間から現れる巨体なドラゴンゾンビが中央都市バンディラスの上空を覆った。
『エンプレスオブセイントドラゴン…聖属性を極めた癖にドラゴンゾンビに成り下がるとは…嘆かわしいものだ』
「……やっぱり喋るんですね」
「ふふふ…この子ぶっきらぼうで無口な子なの、でもそこが可愛いの」
『……我が主よ…命令を』
「まって…あの大きなドラゴンゾンビはコロッセオに向かったわ、それに良く空を見て靄みたいなのが現れたわ!」
『母上!泰帆!無事か!』
「えぇ…西の王様を風で吹き飛ばしちゃったけどね」
『やはり来て居たか…それも王族が直々に来たか』
「どうする?ヤチヨちゃんドラゴンゾンビが飛び去った辺りに変なのが居るけど」
『!…あれは何だ?…しばらく庭園で…ザザ』
「あらあら~通信が……泰帆ちゃん!」
さっきまで空に居たのに泰帆の近くに靄が現れた。
『小娘…貴様が持つ鍵を寄越せ』
「無理っ」
泰帆は後ろに下がったが靄が泰帆を掴んだ。
「泰帆ちゃん!」
「イルゼ!わたしごと風で吹き飛ばして!」
戸惑うこと無くイルゼは強風を巻き起こした。
「うぐっ!」
庭園の冊に捕まり風が過ぎるのを待ったが靄が離れる感じが見えなかった。
「鑑定!」
種族名 虚無の王ソウルスピリット(狂気種)
レベル????
始めに狂気に染ましり精霊が進化したモンスター。
全ての狂気種に染まりしモンスターたちの親でも王でもあり全て。
「これ以上の説明は必要ないって事か…」




