ビックフッ…
「うへぇ~…寒っ!家のなかに居てもこんなに寒いのね!」
「(´・ω・`)」
「えっ昨日よりかは寒くない?」
トントンと誰がドアを叩いているみたい…窓から覗いてみるとビックフッド達がふたりのテントの前に立って見ているのとあたしの家のドアの前に立っていた…リーダーぽいのがなんか指示だしてる!
「なっ何あれ!怖っ!」
「(;・ω・)?」
「ヤっとく?じゃないわよ…ロゼッタ」
テントの中から様子を見ているであろうふたりも大人しくしている。
「何なのよ、これだと外に出られ………」
様子を見ているとズドドドドとファンシーな熊がやって来てリーダービックフッドに飛び蹴りをかました。
「えっ山の麓の方角からなんか来た!」
「(゜ロ゜;」
「まっマウントを取ってる!」
リーダーらしきビックフッドに股がりゴッゴッと殴っている!他のビックフッドたちは逃げていっていた。
「ヽ(ヽ゜ロ゜)」
「何か恨みでも有るのかしら…ヒィ!血が!」
この光景が10分ほど続き辺り一面に真っ赤な血が出ているであろうモザイク加工されていた。
モザイク加工されても隠しきれてない!それにふたりのテントが血に染まってる…。
あたしはガラス越しから見られない様に隠れた。
ドジドジと家やテントを叩いているみたい!なに!このホラー展開!聞いてないわ!ロゼッタも震えている…。
マップを開き外がどうなっているか確認した。
「……あのファンシーな熊が赤い点って事は敵よね?…ふたりも大人しくテントの中に居るのね…それにしても何なのよ」
【外に居る敵を鑑定してみますか?】
「えっ出来るの?マップの赤い点を調べるの」
【マップ機能が拡張された事で出来ます】
「お爺ちゃんありがと!さっ早速やってみましょう」
種族名 クレイジーベアキング(狂気種)
レベル???
狂気種と言われる現在は関わっては行けないヤバい種族の中でもキング種。
【狂気種】は全てのダンジョンまたは全てのフィールドに現れる可能性があり出会ったら脱出用のアイテムを使ってすぐにダンジョンを抜けるべし。
テントや家の中に入って遭遇したのであれば大人しく居なくなるのを待っている事、なかなか居なくならないために忍耐強さが必要です。
「これだと外に出られないわね…今何時かしら?」
【AM3時15分】
「早っ…まだ夜中じゃない…寝ても良いわよね?………でも興奮してきて寝られないわ」
ぐらぐらと家が揺れてるわ~クレイジーベアにガンガンされてるぅ~。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
揺らされる事3時間経過
【諦めて去って行ったようです】
「マジで時間が掛かったわ」
「(-""-;)」
「げっそりしてるわねロゼッタ…あたしも疲れたわ」
家から出て見たらテントを片付けながら弥一郎さんと泰帆もげっそりしていた。
「見たかアレ」
「………ヤバかった」
「テント平気だった?」
「ビックフッドリーダーの血でべったりだったぞ…」
「なにクレイジーベアって…」
「さぁ」
ようやく消えたクレイジーベアの事を気にしないように支度をした。
「朝ごはんどうする…」
「インスタントラーメンで良いんじゃね?」
「凍ったおにぎりと唐揚げもあるよ?」
「あっそう言えば雑貨屋さんの所で買ったのがあったんだ」
「食べられるだけまし…」
「だな」
温めると言う思考がなぜかこの時は抜けていた、バリバリと凍ったおにぎりと唐揚げを食べて出発した。
ヒュォオオと吹雪が吹雪いてる。
「ねぇ!綺麗なお姉さんが居るわ!」
「いなりちゃん、それ雪女だ見るな」
「……………………」
「泰帆ちゃん喋らなくなったな」
「…そろそろ8合目に着くから少し休憩しよう…そうすれば夜までに着くよ」
【サンゼアル天山】
《8合目》
「ふぅ…もう少し…もう少しで山頂…」
「何か自分を洗脳してるみたいで怖いわ」
「温かい飲み物作ろうか……」
泰帆がコッフェルに火を付けて鍋にチョコレートと凍った牛乳を入れて温め出した。
「はい……出来た」
泰帆はマグカップをふたつ寄越してきた。
「ありがと」
「サンキュー」
「これ飲んだら…行こう…」
ホットチョコレートを飲んで一息着いた所に例のファンキーな熊がジャンプしてやって来た。
ドシーーーーン!!
「!?」
「来たぁああ!!」
「何で!?」
マグカップを3人同時に落としてほぼ同時にファンキーな熊に背を向けて走り出した。
「にげろぉおおお!?」
「ふぉお!」
「やばっ!」
残りの体力全てを使い果たすつもりで動き出した。
残りの2000メートル
うぉぉおおお!!と叫びながらあたしと泰帆の腕を掴み必死に走り出した弥一郎さん、泰帆は無理やり足を動かしている。
「ヒィ!こっち来てる!あたし泰帆の背中を押して手伝います」
「頼めるか!」
フォーメーションを組み直してスピードアップを図り成功した。
「どうにか距離を稼げたわ!」
「左!左!雪崩が!」
「丁度良いな!これ使うぞ!確か…爺さんがくれたアイテムの中に合ったよな!」
「「雪崩避け」」
「一斉に使うぞ!」
だが何を焦って居たのか…慌てん坊の一面を見せてくれた泰帆は違うアイテムを取り出していた。
「なっ何やってんだ!泰帆ちゃぁああん!」
「NOOOO!」
泰帆は「あっ」と言って雪崩に巻き込まれた…その周辺に居たビックフッドらしき生物も「えっ」と言う表情とクレイジーベアと共に雪崩に巻き込まれ雪の中に消えた、直ぐにサクサクと雪の上を教官が歩いてこちらに向かってきていた。
「騒がしいと思ったら…貴様らが【狂気種】に出くわすとは…運が良いのか…悪いのか」
「マム!」
「貴様らが言いたい事はわかっている、だが貴様らだけでも山頂に迎え」
「ひとり置いていくのは無理であります!」
「良いから行け!【強制指示】」
「「YES!マム!」」
かっ体が勝手に動き出しそのまま残りの1000メートルを歩き続け山頂に夜になる前に着いた。
【サンゼアル天山】
《山頂》
「…捜索したいのに……体が動かないわ」
「……情けない……俺も動かない」
「着いたな…どうだここの景色は」
夕焼け綺麗ね~なんて言えません教官殿……疲労困憊で無理です。
景色見る余裕ありません…それにひとり犠牲者が出たのでお天道様を眺められません。
「さて…今回も時間前に着くことが出来たな、評価を上げ貴様ら3匹はトンボから卒業し雀になったぞ、喜べ」
「マム……ひとりここに居ないであります…」
「間抜けをかました緑雀ならここに居るぞ」
顔を上げるとそこには教官殿の相棒に首根っこを掴まれてぷらーんと顔色を真っ青に染めながらぶら下がっている泰帆が居た。
「「マム!」」
「最後のは目を瞑ってやる、歩く災害との遭遇は今回の訓練に入って居なかったからな、ここはセーフゾーンだ…敵意や悪意を持つ者は入ってこれない…筈だ…貴様らはここで一晩泊まれ、下山したらそのまま飛行場に来い」
「「YES!マム!」」
「もし下山が無理そうであれば【緊急脱出アイテム】を使って下山してモンスターに乗って戻ってこい」
「「えっ」」
そう言って教官殿は泰帆をその辺に転がして下山して行った。




