その頃の西の陣営
【西の陣営】
《本部》
「お前たち…どう言う事だ？」
「どういう事とは？」
「しらを切ってんじゃねぇよ！」
「こちらのワールドアイテムのひとつをお前たちだけで使いきったと聞いているんだが？」
「早い者勝ちと言ったのはジニスさんじゃないですか」
「それとこれとは違うだろう！」
「さっきから煩いわよ？雑魚の分際で、虎の威を借りた狐の癖に」
「なっ！この！」
「１度もアタシたちに勝ってないのに生意気じゃない？」
「いい加減に！」
「黙れ」
現在の西の陣営のトップが発した言葉によって静かになった。
「確かに西のトップである俺が「どんなアイテムも早いもん勝ちだと」言ったからな…今回の事は流してやるがイベントで相手にダメージを与えることも出来ず全てのアイテムを回収されおめおめと戻ってきた落とし前としてワールドアイテムを使って捕まえた貴様らのモンスターを何体か寄越せ」
「…………わかった…ここで断ったら上位プレイヤー限定の狩場独占出来なくなりそうだしね…真弥さんたちも良い？」
「別に構わないわ…いい加減風呂に入りたいし」
「………………はぃ…」
「…僕としては納得行きませんが…仕方ありませんね」
「畏まりました」
「そうだ…真弥、お前が今日奪った鯨は確実に寄越せ」
「どうしてよ…てかどうして知ってるのよ」
「どうしてだろうな？その鯨はオレが使わせてもらう」
「せっかく妹から貰ったのに～」
「良いな？」
「……わかったわよ、了承するわ」
「ならこの話は終わりだ…お前たちも精々俺の寝首を掻く積もりで登ってくるんだな」
志織たちは捕まえたきりで使っていないモンスターをトップに渡し去って行った。
「親分！そんなんで良いんですか！」
「戦いから抜けられたら困るからな…それに強いものを擁護するのは西の陣営では当たり前だろうが…お前が今回のミスをしていたら擁護はねぇからな、せめてこの５人に勝てるようになってから生意気な口を叩け…目障りだ」
「おっ親分……っ」
「それにこれで俺もさらに強くなれるだろう…くっくくく…余った奴は上位プレイヤー配るとするか」
「あっあっしは」
「貴様に渡すモンスターはない」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「本当に疲れたわ…持っていかれたわね、天使型と人魚型は取られなくて良かったわ」
「真弥様にお似合いのモンスターですからねっ！」
「……これだけの処分ですんだんだ儲けものだよ」
「もし…お三方」
「どうしたのかしら？セバスチャン」
「私目と坊ちゃまは今回の件でこのパーティーを抜けさせていただきたいと思っております」
「何でよ」
「貴女方と共にいたらどんなことに巻き込まれるか分かったもんじゃないですからね」
「そう後悔しないなら良いよ」
「おや…随分と素直ですね」
「君たち以上に強いのは居るから」
「そうですか…行きますよセバス、もうこんなところに居る筋合いはありません」
「皆様今までありがとうございました」
ペコリと執事だけは礼儀をもってふたりは出ていった。
「志織君は随分と簡単に手放すのね」
「あのふたりは西のトップであるジニスにボクたちの情報を売ってパーティーに入るつもりなんだろうからね」
「！…だからアタシが鯨を捕まえたって知ってたのね…あんの執事とボンボンさらっとなに食わぬ顔してたけど…とんだ腹黒じゃない」
「ボクたちはこのまま上位プレイヤーを維持して居よう…もう目立たなくても良い…付け入る隙が出来るまで大人しくしてよう。
つかかってくる馬鹿をボコボコにする日々がしばらく来るだろうけどね」
「仕方ないから従ってあげるわ今のところはね…もしかしたらアタシも抜けるかもね？」
「そうなったらそうなったでボクはボクなりになっていくよ…(所詮ゲームなのに何でこうも人間って…考えるだけ無駄か……いなり…ボクが口にしていた事は本気だから)」
こうして西もいつもの蹴落とし合いの日常に戻っていくのであった。
