ピンチになった
「……嘉帆、大丈夫?」
「木製のトレイを使ってるけど…そろそろ噛み壊されるかも、ヒビが入ってきた」
「武治!どんどん登りなさいよ!嘉帆がゾンビになったらあなたの責任よ!」
「追い込むのは止めてくれー!」
あたしたちは今、狭い路地に入りゾンビも一体、一体と路地に入ってきているお陰か、挂帆は木製のトレイを迫ってきている先頭のゾンビの口にねじ込みどうにかこうにかなっている。
「どうして挟まるのかしら?」
「……本当に良い具合に挟まってるよな」
オウカが「テヘっ」とジェスチャーをした。
「もう…それにしても本当に抜けないわね」
「もしかして…嘉帆ちゃんは武治の事を見捨てれば登れるのか?」
「あっアニキ?」
「うん、挟まっている三間坂氏を無視すれば登れるよ」
「嘉帆もはっきり言わずにオブラートに包んでくれよ!」
「ねぇ、なんかゾンビゲーの巨体のゾンビみたいなのが迫ってきてるんだけど」
「「「「えっ」」」」
「……あっホントだな」
ガション、ガションと例の音を響かせながら巨体で大型のゾンビ×5体が路地の一番手前に現れた。
「ひぃ!?」
「なんでモザイク付いてるのに分かるんだよ!」
「だって肌の色とかが違うんだもの」
すると武治は反物を大量に召喚して先頭のゾンビたちを縛り上げ一斉にゾンビがドミノ倒しの様に倒れるとイルゼが嘉帆を浮かべあたしたちがいる高い建物の屋根に下ろした。
嘉帆とイルゼも加わり武治が痛がっていたが引っ張ってどうにかこちらに寄せることが出来た。
「(・_・)ノ」
「おっアルタイル帰ってきたな、どうだった?」
「(T_T)」
アルタイルとロゼッタは空を飛べるので偵察して貰っていたのだ。
アルタイルはゾンビの大群がそれぞれ纏まって動きこちらを目指して行進していると報告してくれた。
「マジか…ゾンビの大群がこちらに迫ってきてるだと……このまま進むしかないのか」
「空の上は平気なの?アルタイル」
「( ・ω・)ノ」
「そう、鳥のゾンビは飛んでないのね。ならどんどん進んじゃいましょう!」
「武治、これに懲りて自分の足で走りなさいよ」
「わかってるよ」
あたしは屋根の上まで出るとそこには…。
「「「「!?」」」」
「ぎゃぁあ!!もう既に最終形体になってる!ゾンビゲーのラスボスみたいなのが最終形体になってる!」
「武治詳しいな」
「昔からの名作だからとおれの従弟の兄ちゃんがやってたんだよ!おれがビビっているのを楽しみながらな!」
「最終形体の姿はゾンビゲーとは違うわね」
「それは著作権とかあるもの…いなりも知っているのね」
「えぇ、あたしの従姉がゾンビ系とかホラー映画とか大好きだからやってるのをあたしは隣で見てたのよね」
「こういったのに耐性が有るわけだ」
「逃げるぞ!」
一斉に逆の方向に走り出そうとしたが巨体のゾンビ✕5体が屋根の上に現れていた。
「ひゅっ」
「うっ…挟み撃ち」
「……なんか知能高くない?」
「まだ倒せないのか」
「とにかくコイツらと違う方向に走るぞ!」
あたしたちは今度こそ一斉に走り出した。




