欲しがりお爺さんの悲劇
【封印の間】
「……どうしましょ?」
「ご老人だな」
「意識あるのか?」
「……うぅ」
「うぉお!爺さんが目覚めたぞ!」
「誰か…水を…水をくれぇ~」
「ひぃ!妖怪水寄越せ爺さんだぁ!」
「水を渡してみようか」
嘉帆がリュックから水を取り出すとイルゼが自分が渡すとジェスチャーして挂帆がイルゼに水を渡した。
お爺さんはイルゼから水を受け取ると物凄い勢いで水を飲むと今度は…。
「さっ酒をくれぇ~!【清水の竜の涙】という名の酒をくれぇ~!」
「今度は酒を寄越せですって。そんな名前の酒なんて見たことないわね」
「…どんどんエスカレートしそうなんですけど」
「いったん引きそうか?」
と弥一郎さんが言ったがまたまた嘉帆がリュックをあさっていると見たこともないツボの様な物を取り出した。
「まさかこんな所で使うことになるとは」
「持ってたんかい!」
「今さっき言ったけど。とある村でここの財宝使ったって言ったでしょ?そのお礼で【清水の竜の涙】という地酒を貰ったんだよ」
「……地酒か…だとすると度数が高いな」
「おぉ!?それは!はよう!くれぇ!!」
お爺さんが元気に動きじゃらじゃらと鎖が鳴り響きハッスルし出した。
「イルゼまたお願いできる?」
「( ・ω・)」
お爺さんはイルゼからツボを受け取るとそのままゴキュッゴキュッと勢い良く酒を浴びるように飲み尽くした。
「カァ!これよ!これよ!久し振りに飲む地酒は良いぞぉ~!次は【トロピカルジュース】を持って参れ」
「流石にトロピカルジュースは持ってないよ」
「それならレシピに合ったわよ」
「えっ」
「料理を作りまくっていたら覚えたのよ」
「流石オカンだな」
「そのオカン呼び止めてくれるかしら?…ちょっと待っててどうぐが無くても作れるから」
すると沙葉は目の前で様々な果物を手袋した手で握って果汁を搾るとトロピカルジュースが出来たと言ってきた。
あたしも作ってみようかしら?
「………まぁ確かにトロピカルジュースになってるけども」
「手搾りトロピカルジュース…」
「ドロドロしてないか?」
「手搾りだからドロドロしてるわよ」
「あたしも出来たわ!」
「「「「えっ」」」」
四人がこちらを向いた。
「いなり……お前が持っているのはなんだ?トロピカルジュースなのか?」
「えぇ。沙葉の真似をして作ってみたの」
「ドロドロした真っ黒い液体がトロピカルジュース…?」
「飲ませてみれば良いのよ!」
あたしは手に持っていた容器に入った液体を老人の口に突っ込んだ。
すると老人がピクピク震えギョロッと白目になりその場に崩れるように倒れビクンビクンと体を硬直させた。
「いなりちゃーーーーん!?」
「お爺さんが……!」
「老人監禁部屋が殺人現場になったぞ!」
「………」
「あり?」
暫くしてお爺さんの意識が戻った。
「天から迎えが来る手前まで行ってたみたいだ」
「汗で着ている服の上半身がびっしょりしてるな」
「トロピカルジュース飲んで落ち着いて貰いましょう」
またまたイルゼが沙葉からトロピカルジュースを受け取ると老人に渡した。
「あっありがとよ…」
老人はイルゼからトロピカルジュースが入っている容器を受け取ったが受け取った手がガクガクと震えて容器からトロピカルジュースが溢れている…それを口元に持って行き飲みそして飲み干した。
「……これで喉の渇きが潤った旅人よ感謝する」
「いえ…(笑っては駄目よ…笑っては)」
「さてここには一体何の用で来たのだ」
「バンディラスの住人のゾンビ化の解き方を知りたいんだ(服と口元にトロピカルジュースが溢れた後が)」
「ほう…ゾンビ化の解き方とな?………ならば【ー」
あたしは老人が何かを言う前にあたしの手作りの料理を老人の口にねじ込むとあたしの手作りジュースを飲んだ時と同じ反応をした。
「はぁ…はぁ……ゾンビ化の解き方を知りたくば【ビー」
「チェスト!」
「はぐぅ!」
「またヤってる…」
「ご老人が天に召されないと良いが…」
「容赦ないわね」
「…イベントを正当の方法で進まないのか?」
「ビーフと名の付くあたしが作った料理をねじ込んで入るだけよ」
「ただの拷問じゃねぇか」
武治が拷問していると言うので虫の息のご老人にどんなものを欲しがっているのか聞いてみることにした。
「はぁ…はぁ…婆さん…ワシも、もうすぐそちらに逝きますじゃ」
「悟りを開かせちゃったよ!」
「何かご老人を光の柱が包んでる?」
「やっやばい!お爺さん!どうしたらバンディラスの人たちを救えるんだ!」
「なんだったかのう?どうやったら救えるかー」
「お爺さん、あたしの手作りビーフシチューもっと食べる?」
「【ビール】と【ビスマルクピザ】が食べたいのじゃ」
「ご老人の求めていた料理が全く違う料理だった」
「ふっ……」
「ビールは俺が持ってるよ」
「成人してるプレイヤーが居なければクリア出来ないんだな」
「ビスマルクピザは私の知っているレシピにないわね」
「それならわたしが作れるよ。石窯がないからイルゼに協力して貰うけど」
「あっ…料理が作れるプレイヤーがもう一人居たわ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お爺さん、いい加減教えてくれても良いんじゃないか?」
「そうじゃな…ここまでして貰ったんじゃ、教えてやろう」
お爺さんは震えながら教えてくれた。
「このバンディラスが呪われている理由は大昔コロッセオで行われた試合にて沢山の魔物と人間が死んだ事にある。呪いを解きたくば…コロッセオの地下深くに眠る【呪いの根源の思念体】をこの地から引き離し倒すことじゃろうな」
「お爺さんはどうして閉じ込められていたの?」
「ワシは…」
お爺さんが何かを喋る前に光の柱がカッとお爺さんを包みキューピットが現れるとお爺さんの口元を両手を使って塞ぎ喋れなくしてそのまま天に拐って行った。
「「「「「えっ」」」」」
あたしたちはこのまま少しの黙り込んでいたが…何事もなかったかの様にお爺さんが閉じ込められていた部屋を調べて更なる隠し部屋への道を見つけそちらに向かって行った。




