第27話 恐怖! 黒い悪魔
現在、俺は両脇をホールドされて延々と歩かされていた。
「一同整列! ここから先はデンジャーゾーンである。各々、気を引き締めよ」
「サー! イエッサー!」
ザザっと一糸乱れぬ整列を見せたのは屈強な黄色いカボチャたちである。
危険地帯だと……!?
「なぁ、何するつもりなんだ?」
「口を開くな!」
「ぐぼへっ!」
兵士のひとりに腹パンを食らった。
めっちゃ痛い。
街中で捕まって強制連行された俺は途中で合流したベジを含めて10ベジ程の兵士に周りを囲まれていた。
そしてやってきたのは郊外だ。
「軍曹! その人間を投げろ」
「うわっ! ちょったんま! ……ぐほ」
俺は手足を縛られて放り投げられた。
当然、そんな状態では受け身なんて取れず、もろに地面に突っ込む。
「笑えることにこの下等な生き物は我らの同胞を食おうと思ったらしい」
「「ハハハ」」
「軍曹! お前ならどう落とし前を付けさせる?」
軍曹と呼ばれたベジが一歩前に踏み出した。
「私たちを食おうとした。それであれば己が食われればいいと愚考します!」
「それはいい考えだ。皆もそう思うだろ?」
「「ハハハ」」
嘲笑が俺を包む
「軍曹! アレを持って来い」
「サー! イエッサー!」
軍曹が手渡したのは、白いポリバケツのようなものであった。
「お前の末路を教えてやろう。お前はこれから『生き地獄! 黒い悪魔に食べられるの刑』に処されるのだ。フハハ」
「何だそりゃ!? うわ、やめろ! ぺっぺ」
隊長っぽいベジはポリバケツの中身を俺にブッかけてきたのだ。
それは粉状の何かだった。
「これは野菜のエキスを凝縮して作った魔法の粉だ。普段はスープや炒飯に入れると美味しい主婦の味方だが、郊外でこれを使うとどうなるか……ほれ人間、お友達のお見えだ」
空が黒く染まった。
「マジかよ、嘘だろ……」
黒い悪魔の意味が分かった。
それは数十羽のデカいカラスだった。
「さあ人間よ。楽しませて貰おうか」
「嫌ぁああ!! 止めてくれぇええ!!」
◇
「まずい、まずい、まずい」
あまり認めたくないが、こいつらはあのカラスの群れに俺を食わせるつもりらしい。
なんてクレイジーな奴らなんだ。
「フハハ。どうだ食われる側の気持ちは?」
ふざけやがって。
そっちがその気なら、こっちにも考えがあるぞ。
「ファイア……」(ボソッ)
「どうした? もう諦めたのか?」
俺は奴らに気付かれないように生活魔法の【ファイア】を唱えた。
手足を縛る縄を焼き切るのだ。
アツツツツッ、熱いなおいッ!!
「哀れな最後だ。抗うことさえ……なっ!? なんだと!? こっちに来るな!!」
「死なばもろともじゃぁああああ!!」
俺はカラスを引き連れてベジたちに突っ込んだ。
そして野菜の粉を全力で奴らに擦り付けてやったのだ。
「「「ぎゃぁあああああああ」」」
その場が阿鼻叫喚の渦に飲み込まれた。
◇
「アムルくん、何だい、この惨状は?」
「痛いよぉ、助けてくれ~」
クロノスたちが駆けつけた時、俺と兵士たちは皆仲良くボロボロになって地面に転がっていた。
「カボロット少佐! 勾留所に記録が無いと思ったら、私刑に処すとは何事か! この者は農耕神クロノスさまの従者だぞ」
「殿下!?」
そしてクロノスたちがカボッチ王子を連れて来てくれた。
こういう時は権力で解決か。
いつの間にかクロノスの従者にされているけどグッジョブだ。
「貴様ら黄色の兵士の問題行動は目に余る。戻ったら厳罰を覚悟しておけ」
「……恐れながら、我々の行動は全て国を思うがゆえ……」
「法を守らぬ者が愛国を語るでないわ!」
あれ、カボッチ王子かっこいい……
さっきまで馬やってたのに……
「アムル・ベルといったな。此度のこと誠に申し訳ない」
そういってカボッチ王子は深々と頭を下げた。
「いっ、いえ。こっちも誤解を招くようなことを考えたのがいけないので!」
さすがに王子さまにそこまでされると申し訳なさがある。
「そうか。そう言って貰えると助かる」
「いや~万事解決っすね。それじゃ俺たちはじゃがいもの試練に……」
ガチャリ。
「え……?」
見ると手錠を掛けられていた。
「君にはこれからちゃんとした取り調べと裁判を受けてもらう。クロノスさまの従者ということで見逃そうとも思ったのだが、厳正かつ偉大なる神クロノスであれば、そんな不正は望まないだろう。そうですよねっ、クロノスさま!?」
「え?」(俺)
「え?」(クロノス)
「え?」(カボッチ王子)
「いや~えへへ、勿論さ。法は大事だよね~」
「おいッ! そこで流されるなよ!!」
嘘だろ? 解決の流れだったじゃねーか!?
「ですよねっ! さすがクロノスさまっ! よし連れていけ」
「解決のぉぉ! 流れだっただろぉぉぉぉ! 誰か助けて下さぁぁぁぁい!!」
次回に続くッ!




