第15話 家が建ちました
「いや嬉しい。嬉しいけど納屋じゃなくね!?」
なななんと! 昨日まで納屋の残骸が悲しく転がっていた場所には、立派なウッドハウスが建っていたのだった。
しかも2階建てである。
「オイラが本気を出せばこんなもんでやんす。2LDKでやんす」
「ブヒ!(夢のマイホーム!)」
基礎工事段階ですでに「あれ? 広くない?」とは思っていたが、まさかこんなことになるとは想像していなかった。
地獄丸が建設に着手したのは昨日の昼、牛若丸の中から帰ってからの事だった。
まさかのハイスピード。
まさかのオーバークオリティである。
それもそのはず、俺がちまちま土を掘っている横で「ドゴォオン(数十本の木が倒れる)」「ゴゴゴゴゴ(魔法で基礎工事)」「ポン! ポン! ポン!(木が積みあがる)」という感じで物凄かったのだ。
正直なところ「何じゃそりゃ!?」という感じだ。
そして、農地に目を向け、ウッドハウスに目を向けるとそこに存在する差に愕然とした。
圧倒的! 作業効率の! 格差! が発生していたのである。
俺だってパワースコップさえあればあのくらい出来たさ。
そうさ。あーあ、パワースコップがあればなー。
「ブヒ(元気出して)」
おっエンチョもそう思うか。
そう。そうなんですよ。
不可抗力なんですよ。
別に俺が劣ってるとか、そういう話にはならないと思うんですよね。
「ブヒ(泣かないで)」
あれ……おかしいな……
目から汗が流れてきちゃった。
「あれ? アムルの坊ちゃんどうしたでやんすか? 早く早く、中に入るでやんすよー」
「うっす! いやー地獄丸さん、さすがっすねー! えへえへへ」
◇
「この部屋ぼーくのっ!」
「あっお嬢ずるいでやんす。オイラも狙ってたでやんす」
ふたりとも楽しそうだ。
というか地獄丸も住むつもりなのか?
まあいいか。
俺は角部屋にしーようっ!
部屋の割り当てがある程度決まった頃、俺はある重大な問題に手を付けるか否かを真剣に悩んでいた。
しかしながら、これ以上の自己肯定感の低下は心に破綻をもたらしかねない。
良心に従え! 頑張れ自分!
よし! 俺は意を決した。
「……なあ地獄丸。この家、幾ら払えばいいだろうか?」
「何言ってるでやんすか。友達からお金なんて貰う訳ないでやんすよ」
地獄丸は両手をブンブン振った。
「いや、金の切れ目が縁の切れ目。ここは俺を立てると思って払わせてくれ。相場でいい。俺のなけなしの誠実を受け取ってくれ」
「そっそうでやんすか……? 相場だったら1000万ゴールドぐらいでやんすかね?」
1000万ゴールド……
「本当に無理しなくていいでやんすよ?」
「ありがとう大丈夫だ。無利子10年ローンでお願いします」
ああ、良心に従うのは気持ち良いな。
いや、気持ち悪い。吐きそうだ……
そんなこんなで俺は1000万の借金を抱えてしまったのであった。




