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第15話 家が建ちました


「いや嬉しい。嬉しいけど納屋じゃなくね!?」


 なななんと! 昨日まで納屋の残骸が悲しく転がっていた場所には、立派なウッドハウスが建っていたのだった。

 しかも2階建てである。


「オイラが本気を出せばこんなもんでやんす。2LDKでやんす」

「ブヒ!(夢のマイホーム!)」


 基礎工事段階ですでに「あれ? 広くない?」とは思っていたが、まさかこんなことになるとは想像していなかった。


 地獄丸が建設に着手したのは昨日の昼、牛若丸の中から帰ってからの事だった。


 まさかのハイスピード。

 まさかのオーバークオリティである。


 それもそのはず、俺がちまちま土を掘っている横で「ドゴォオン(数十本の木が倒れる)」「ゴゴゴゴゴ(魔法で基礎工事)」「ポン! ポン! ポン!(木が積みあがる)」という感じで物凄かったのだ。


 正直なところ「何じゃそりゃ!?」という感じだ。


 そして、農地に目を向け、ウッドハウスに目を向けるとそこに存在する差に愕然とした。


 圧倒的! 作業効率の! 格差! が発生していたのである。


 俺だってパワースコップさえあればあのくらい出来たさ。

 そうさ。あーあ、パワースコップがあればなー。


「ブヒ(元気出して)」


 おっエンチョもそう思うか。

 そう。そうなんですよ。

 不可抗力なんですよ。

 別に俺が劣ってるとか、そういう話にはならないと思うんですよね。


「ブヒ(泣かないで)」


 あれ……おかしいな……

 目から汗が流れてきちゃった。


「あれ? アムルの坊ちゃんどうしたでやんすか? 早く早く、中に入るでやんすよー」

「うっす! いやー地獄丸さん、さすがっすねー! えへえへへ」





「この部屋ぼーくのっ!」

「あっお嬢ずるいでやんす。オイラも狙ってたでやんす」


 ふたりとも楽しそうだ。

 というか地獄丸も住むつもりなのか?


 まあいいか。

 俺は角部屋にしーようっ!


 部屋の割り当てがある程度決まった頃、俺はある重大な問題に手を付けるか否かを真剣に悩んでいた。


 しかしながら、これ以上の自己肯定感の低下は心に破綻をもたらしかねない。


 良心に従え! 頑張れ自分!

 よし! 俺は意を決した。


「……なあ地獄丸。この家、幾ら払えばいいだろうか?」

「何言ってるでやんすか。友達からお金なんて貰う訳ないでやんすよ」


 地獄丸は両手をブンブン振った。


「いや、金の切れ目が縁の切れ目。ここは俺を立てると思って払わせてくれ。相場でいい。俺のなけなしの誠実を受け取ってくれ」


「そっそうでやんすか……? 相場だったら1000万ゴールドぐらいでやんすかね?」


 1000万ゴールド……


「本当に無理しなくていいでやんすよ?」

「ありがとう大丈夫だ。無利子10年ローンでお願いします」


 ああ、良心に従うのは気持ち良いな。

 いや、気持ち悪い。吐きそうだ……


 そんなこんなで俺は1000万の借金を抱えてしまったのであった。


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