表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/28

第14話 魂のセッション


「そのスコップ、かっこいいでやんすね! 買ったでやんすか?」


 俺は涙ながらに一連の出来事を説明した。


「ほう。妖スコップでやんすか。それはまた面白そうなものを手に入れたでやんすなー」

「こちとら全然面白くないよ」

「まあまあ。そんなに落ち込むこともないとおもうでやんすよ。餅は餅屋。農具であればクロノスのお嬢がなんとか出来るんじゃないでやんすか?」


 確かに! その手があったか!

 すげーぜ、地獄丸さん!





「ぼくを誰だと思っているんだい? クロノスさんだぞ?」

「「「おー(ブヒー)」」」 パチパチパチ


 俺たちはジャケットをバサッとやってポーズを決めたクロノスに拍手を送った。


「こういう妖スコップには中の人がいるものなんだよ」


 そう言ったクロノスはポケットから小さな鍵を取り出して【牛若丸】に差し込んだ。


 すると時空が歪み、別空間への入口が生まれたのだった。


「何だこれ?」

「これはね、このスコップの精神世界だよ。さ、付いてきてよ!」

「?」


 よく分からないまま、クロノスを先頭にしてぞろぞろ入ってゆくと、辺りは霧に覆われて、どこからともなく笛の音が聴こえてきた。


 ピーヒョロロピー♪


「多分あの子がスコップの中の人だよ」


 目を凝らすと橋の欄干に横笛を吹く子供が腰掛けていた。


 子供は極東風の衣装に薄い羽衣を纏い、背中には見覚えのあるスコップを背負っていた。

 多分、こいつが【牛若丸】本人なのだろう。


 俺はズシズシと強そうな感じを出しつつ【牛若丸】と対峙した。

 物事は最初が肝心なのである。


「俺はあんたの所有者であるアムルというものだけれど」


 ピーピロリロリー♪


「アムルというものだけど」


 ピーピロロリー♪


「……なあクロノス、あいつが何て言ってるか分かるか?」

「分からないけど、多分馬鹿にされてると思うよ」

「奇遇だな。俺もそう思う」


 笛の音補正はあるにしろ、多分馬鹿にされてるな。


「待つでやんす。オイラに任せるでやんす」


 そう言った地獄丸は胸元から太鼓を取り出すとおもむろに叩き始めた。


 ドドン! ピーロロッロ♪

 ドンッドドッド ドンタカドッド!

 ピーーロリッロ ピーロロロッロ♪


 何だとっ!?

 音楽で通じ合っている!?


ふたりは演奏の終わりに拳を合わせた。


「ナイスセッションでやんす、マイブラザー!」

「ピーロ♪」

「また一緒にセッションするでやんすよ! それじゃあバイバイでやんす!」

「ピーロピーロ♪」


 言い出せない!

 この場で俺のスコップスキルの件などっ!

 言い出せないっ!


 そしてふたりの友情に心を温めた俺たちは元の場所に戻り、めでたしめでたしであった。


「あっ、坊ちゃんの用事をすっかり忘れてたでやんす」

「いいんだよ。友情こそが全てだから」

「おおっ! 名言でやんす!」

「いいんだよ。友情こそが……ッウ(泣)」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ