第14話 魂のセッション
「そのスコップ、かっこいいでやんすね! 買ったでやんすか?」
俺は涙ながらに一連の出来事を説明した。
「ほう。妖スコップでやんすか。それはまた面白そうなものを手に入れたでやんすなー」
「こちとら全然面白くないよ」
「まあまあ。そんなに落ち込むこともないとおもうでやんすよ。餅は餅屋。農具であればクロノスのお嬢がなんとか出来るんじゃないでやんすか?」
確かに! その手があったか!
すげーぜ、地獄丸さん!
◇
「ぼくを誰だと思っているんだい? クロノスさんだぞ?」
「「「おー(ブヒー)」」」 パチパチパチ
俺たちはジャケットをバサッとやってポーズを決めたクロノスに拍手を送った。
「こういう妖スコップには中の人がいるものなんだよ」
そう言ったクロノスはポケットから小さな鍵を取り出して【牛若丸】に差し込んだ。
すると時空が歪み、別空間への入口が生まれたのだった。
「何だこれ?」
「これはね、このスコップの精神世界だよ。さ、付いてきてよ!」
「?」
よく分からないまま、クロノスを先頭にしてぞろぞろ入ってゆくと、辺りは霧に覆われて、どこからともなく笛の音が聴こえてきた。
ピーヒョロロピー♪
「多分あの子がスコップの中の人だよ」
目を凝らすと橋の欄干に横笛を吹く子供が腰掛けていた。
子供は極東風の衣装に薄い羽衣を纏い、背中には見覚えのあるスコップを背負っていた。
多分、こいつが【牛若丸】本人なのだろう。
俺はズシズシと強そうな感じを出しつつ【牛若丸】と対峙した。
物事は最初が肝心なのである。
「俺はあんたの所有者であるアムルというものだけれど」
ピーピロリロリー♪
「アムルというものだけど」
ピーピロロリー♪
「……なあクロノス、あいつが何て言ってるか分かるか?」
「分からないけど、多分馬鹿にされてると思うよ」
「奇遇だな。俺もそう思う」
笛の音補正はあるにしろ、多分馬鹿にされてるな。
「待つでやんす。オイラに任せるでやんす」
そう言った地獄丸は胸元から太鼓を取り出すとおもむろに叩き始めた。
ドドン! ピーロロッロ♪
ドンッドドッド ドンタカドッド!
ピーーロリッロ ピーロロロッロ♪
何だとっ!?
音楽で通じ合っている!?
ふたりは演奏の終わりに拳を合わせた。
「ナイスセッションでやんす、マイブラザー!」
「ピーロ♪」
「また一緒にセッションするでやんすよ! それじゃあバイバイでやんす!」
「ピーロピーロ♪」
言い出せない!
この場で俺のスコップスキルの件などっ!
言い出せないっ!
そしてふたりの友情に心を温めた俺たちは元の場所に戻り、めでたしめでたしであった。
「あっ、坊ちゃんの用事をすっかり忘れてたでやんす」
「いいんだよ。友情こそが全てだから」
「おおっ! 名言でやんす!」
「いいんだよ。友情こそが……ッウ(泣)」




