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第13話 妖スコップ


「あれ? アムルさん。どうされました?」


 翌日、俺は農業者ギルドを訪れていた。

 ちなみに納屋はギルドから借りていたものだが、今回の一件は隠し通すことに決めた。


 なぜかというと絶対に怒られるからだ。

 怒られるのは嫌なのであった。


 今日来たのは新しいスコップ調達に関するものだ。


 すると受付にいたのは、ちょっとヤバイお姉さんでお馴染みのエレナさんだった。


「実はスコップが壊れてしまって(ドロドロに)新しいものが欲しいんですけど」

「ああ、なるほど。今、農具屋さんの場所をメモしますね。……。はいどうぞ!」


 差し出されたメモに手を伸ばすと、さっとメモが引っ込んだ。


「500ゴールドです」

「やっぱりですか……」


 渋々、お金を出してメモを受け取ると、メモには「となり」とだけ書かれていた。


「となり……?」

「お隣さんです」

「……っ、なぜ気付かなかったのかっ!?」


 俺は血の涙を流した。





 農具屋に入ると様々な農具が置いてあった。


「おや? 見ない顔だぁ。アンタ、ルーキーだねぇ?」

「どうも。隣のギルドから紹介されてきました」


 そして、そこにいたのはローブを深く被ったしゃがれ声のお婆さんだった。


「ヒヒ。何をお探しだい?」

「スコップを」

「そうかい、そうかい。ヒヒ。あんたにおすすめのスコップがあるよぉ」


 そう言ってお婆さんが奥から持ってきたのは、漆黒のスコップだった。


「ヒヒ。これは名工ボウザンが打ちし妖スコップ【牛若丸】だ」


 妖スコップ? 妖刀みたいなもんかな?


「このスコップはねぇ、どんな衝撃を受けても人の手にある間は決して壊れないし、ましてや欠けもしない。今なら10万ゴールドにまけておくけど、どうするね?」


「お婆さん、それ本当?」


「あたしゃ、農業者ギルドのとなりで商売してんだ。そこからの紹介で来たもんに嘘なんてついたら、干されちまうさ」


 それもそうか……

 幸いにして今は懐も温かい。


「そのスコップ買った!」

「ヒヒ。毎度ありぃ」


 おっ! なかなかしっくりくる。

 さすが妖スコップ!……妖スコップ?


「お婆さん、これ妖スコップって言ってたけど、もしかしてヤバイやつじゃないよね?」

「ヒヒ。なぁに大したことはない。スコップ関係のスキルが使えなくなるだけだ」


 ……え?


「おっと返品はできないからねぇ。適当にそこにあるスコップを持ってみなぁ」


 指さされたのは、粗悪品の投げ売りコーナーだった。

 言われた通り、一本選んで持ち上げると、そのスコップは粉々に砕け散った。


「【牛若丸】は嫉妬深いからねぇ。アンタは死ぬまで他のスコップを持てないよぉ」


「いやいやいや! おかし「ヒヒ。1500ゴールドだよぉ」

「え?」

「今、アンタが壊したスコップの値段さぁ。1500ゴールドだよぉ」

「……くそっ! くそぉおおお!!」


 俺は本日二度目となる血の涙を流した。





「こんな店二度と来るか!(泣)」


 店の外に出て悪態をついた。


 まさかパワースコップが日の目を見ることなく封印されるとは。

 ギルドカードを見ると本当にスキルから消えていた。

 これでまた補助なしの土掘りに戻ってしまった。


「あれ? アムルの坊ちゃんじゃないでやんすか?」


 肩を落として歩いていると、後ろから声を掛けられた。

 そこにいたのは地獄丸だった。


「ちょうど坊ちゃんたちの所に行こうと思ってたんでやんすよ」

「なんかしたのか?」

「何言ってるでやんすか? 昨日の夜にオイラが納屋を建ててあげるって約束したでやんしょ?」


 マジかよ!? 酔ってたからか全然覚えてない。


「もーしっかりするでやんすよ! 友達が寒空の下に放り出されて黙ってるオイラじゃないでやんす! ちゃちゃっと建てるでやんすよ!」


 うわーこれは本当にありがたい。

 地獄に仏ならぬ、地獄に地獄丸さんだった。


『【ふわふわヒツジ】に転生したので、狩られないようSランクモンスターを目指します。』という作品も書き始めました。もし宜しければそちらもよろしくお願いします。

https://ncode.syosetu.com/n6075fg/

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