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2話目:世界の入り口は何処に。

文章力…文章力が欲しいでげすよ…

精一杯の拙い文面、お楽しみいただけたらなと、心より思っております。

夢から、覚めた。

やっぱり夢だったのか…

安心感に包まれながらもやはりどこかに払拭しきれ

ない不安を感じる…。

夢の中で蜈蚣に這われた全身は健全のようだ。

それにしても…あんな悪夢は初めて見た。

今まで、人に追いかけられたりとか、崖から落ちる

とか、そういったありがちな悪夢は見たことがあるのだ。

しかし、今回のはあまりにも、異様すぎる…

それに、五十嵐と似ている目を持っていたあの髑髏

はいったいなにを伝えようとしていたんだろう…

いや…ただの呪い…?

どこか現実離れをした考えであることは自覚して

いた。

日頃からあまり人と関わらないし、怨みを買うようなことはしてないはずなんだけどな…

などと思っていながらも、自分の心の中ではどこかわかっている部分がある…。

しかし、それを認めてしまうのは怖い。

だから、逃避的な考えに走ってしまうのだろう…

これからもこういう夢を見るのは嫌だなー。

やっぱり、聞くしかない。怖くてもだ。


そう、この時ぼくは、これから起こってしまう

「戦争」に巻き込まれ、さらにその中心人物であるということを、知る由もなかったのである。


学校行って話をするしかないか。



ーーー五十嵐と。




学校では、当たり前だがみな、いつものように登校し、いつものように下らない話をし、また、いつも

のように、薄っぺらい再生紙に自分の価値を体現

させるかのように文字や数字を書き殴っていた。

そんな様子を見てぼくはどこか、少しホッとしたのかもしれないな。

恐怖、そして逃亡欲らと必死に戦い、ぼくは学校中、五十嵐を探し回った。

そういえば、あいつのクラスはどこなのだろうか?

いや、そもそも学校に来るのだろうか…?

高1の学年全てのクラスを周り、放課後、なお部活

などのために開放されている理科室、音楽室、

図書室、体育館、もちろん校庭を含めて、全ての所を探し回った。

けど、あいつはいなかった。

やっぱり、学校には毎日来ないみたいだな。

はぁー…今日も、あの夢をまた見てしまうのかな…

徒労に終わってしまった探し物の疲れを取るために、

校庭に備えられているベンチに腰掛ける。

どうしよっかなー。

溜まるいっぽうの憂鬱を存分に含んだ息を吐き出し、

ずっと神経が張りっぱなしだった脳を休ませ、

ぼんやりと、どうやら練習試合を行なっている野球部を眺めていた。

ピッチャーが投球フォームを構え、腕をしならせながら球を放つ。そして、バッターボックスに立つ野球部員は、豪腕をもってして、ぼくから見たら豪速球で

ある球を勢いよくかっ飛ばした。

おぉー。

かすかな感心を含む声を漏らしながら、放物線を

描いている野球ボールを目で追いかけた。

そして、上に凸な放物線の、その最大値に達したボールの先に、ぼくはじっとこちらを見つめている

人影、のようなものを視界に入れた。

今まで気付かなかったな…。あの人、こっちを見てるのかな?

音もなく前からじっと見つめられていたことに不気味さを感じ、ぼくはベンチを離れようとした。

しかし、…

待てよ…

胸の中に静かに、そしてずっしりとした感情を感じた。

いわゆる、胸騒ぎというやつだ。しかし、恋の予感

とかではなく、暗くて深いような、そんな不安に似たものを感じる。

いてもたってもいられなくなり、ぼくは人影を見た

屋上へと、足を運ばせた。

長い階段がとても焦れったい。速く胸に刺さる棘を

抜き去りたい。速歩きなのがいつの間にか小走りに

階段を駆け上がっていて、息が上がってしまう。

最後の三段を飛ばして上り、辿り着いた屋上へのドアの前で乱れた息を整える。

深呼吸を繰り返すが、乱れは収まらない。多分これは疲れではなく、別の何かが心情に作用し、心臓の鼓動を速めているのだろう。

ごくり。

乾ききった口から、空唾を飲み込む。ドアノブに手をかける。

そして、勢いよく開からた屋上の扉の先には…


「彼」がいたのだった。




「五十嵐…なのか…?」


問いかけるその背中は、返事をしない。


「おい、五十嵐なんだろ?さっきぼくのことを

ずっと見てたのか?ずっと屋上にいたのか?」


しかし、今度もリアクションを起こす様子がなく、

丸で自問自答しているような心持ちがした。そして

ただでさえ速まっている脈と相まって、ついイライラした声音を出してしまった。


「おいなんとか言ったらどうなんだよ!

今日一日中探してたんだぞ!!」


黙ったまま屋上の転落防止の欄柵に両手をかけている五十嵐にズカズカと歩み寄り、肩を掴む。


「おい!!いい加減答えろ!!」


しかし怒鳴った僕に対する五十嵐の反応は、恐ろしく気味が悪いものであった。


「れ……じ…ょ…う…が…がががが…」


「は?お前何を言って…」


さらに怒りを爆発させようと息を吸い込んだその時、

どこかで似たような台詞を聞いたら気がした…

どこか…どこかで…どこでだっけ…

五十嵐の肩に手を掛けたまま、口の中で今に言葉を

反芻してみる。


「れ…じょう…が…?」


…っ!!


背中に冷や汗が滲み出た。

これは…この台詞は…

夢の中に出てきたものと、一緒だ…。

丸で、ぼくの中で起きたことを全て見透かしたように、五十嵐が突然笑みを浮かべ、それを声に変え、

喉を震わせ、狂ったように笑い出した。



「ハァーーーッハハハハハァアアアア!

アハハハハーーー!!ギャハハハァー!!!

ねぇ成瀬…気づいちゃった…?クックククク…

ならしょうがないね…」



初めて聞いたような気がする声に今は驚いている場合ではない。



「気づくって…何に?しょうがないって、何がだよ…!」



「アッハハハァー…気づいてるんでしょ…?

自分でもさぁー…?」



夢か?夢のことなのか…?あの夢がやっぱり五十嵐と何か関係があったということなのか。

そこまで考えた時、一瞬重力から体が開放された気がした。そんなはずは…まさか…

目の前には、恐ろしく近いところに五十嵐がいる。

そして何故か、5階建の校舎がどんどん上がっているように見える。


あ、そっか。校舎は動くはずないか。ぼくが、

屋上から、五十嵐と一緒に、落ちているのか…。




ーーーヨウコソコチラノセカイヘ、ナルセクン。

最後に聞いたその言葉を境に、ぼくの記憶は、

途切れた。



グシャッ。

屑木です。

お疲れ様でした!

と、読んでくださった皆様にいうのも変な話ですけど…

でも、絶対にもっともっと読みたい!と言わせるいうな小説に書き上げますのでご期待を。

今回は、いよいよということで、ついに日常を飛び出す回でしたね。と言っても最後にちらっとですけど。

次回から、本格的に、劣情の存在を明らかにさせたいと思いますので、またおつきあいのほど、宜しくお願い致します。読んでくださった皆様、誠に、ありがとうございました。

それでは、お暇頂戴。

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