3.この祈りが届くように
また、リスナの視点に戻ります。
契約を破棄したら、ユーシアは一瞬きょとんとした顔で私を見つめ、出て行った。
やはり、忘れてしまった。
それでも、私がユーシアを好きな気持ちは変わらない。
私の気持ちも消えてしまえば良いのに。
「死ぬ前に失恋するなんて」
と、誰もいない部屋で一人呟く。
だんだん意識も薄れてきた。
一酸化炭素を吸いまくってるから当たり前だけど、と心の中で笑う。
どうせなら、死ぬまで一緒にいてくれても良いのに、とユーシアに対して、少しだけ恨めしく思う。
ユーシアが生きていられるようになって、少しは心が楽になったのか、気持ちが明るくなってくる。
最後にあんな醜い私のまま死ななくて良かった。
昔を思い出せて良かった。
と、前向きになる。
これもユーシアのおかげ、と、いつもユーシアに助けてもらっていることに対して、自嘲する。
ユーシア、ユーシア、ユーシア。
愛してる。
ユーシアのことを考えると、止まらなくなる。
想いが溢れてくる。
ユーシアの顔を見ながら死にたかった、と欲がわいてくる。
本格的に頭がボーとしてきた。
考えがまとまらない。
視界に靄がかかる。
耳が、ドアを開けるような音をわずかに拾う。
「――・ス――」
誰よりもよく知っている声が、聞こえた気がする。
何か暖かいものに触れられたような気がしたところで、意識が途切れた。
「―――ナ」
誰かが叫んでる。
「――ス・!」
だんだん大きくなる声。
「リスナ!!」
私はようやく重たいまぶたを開けた。
目の前にはユーシアの顔。
驚いて体を起こそうとすると、足に痛みが走った。
「―――っ!」
声にならない悲鳴が口から漏れる。
「大丈夫?」
ユーシアが労わるように聞いてくる。
「なんでユーシアがいるの!」
「いちゃ悪い?」
「そういう意味じゃなくて!!戻ってきたの!?」
「そうだよ。思い出したんだ」
その言葉にハッとして、口を閉じる。
「好きだよ、リスナ。この気持ちは契約だからじゃない」
私も好き、と言いたかったが声が出なかった。
私にその言葉を言う権利はない。
「どうして助けたの?」
代わりに出たのはそんな言葉だった。
「リスナに生きていて欲しかったからだよ」
ユーシアの真剣な顔に気圧されて、私にそんな資格はない、という言葉はのど元で消えた。
いいのだろうか、生きていても。
私の心を読んだように、
「いいんだよ。リスナは生きていて」
ユーシアは私の目を見つめながら、言った。
「他の人が許さなくても、俺が許すよ。リスナは俺のために生きて」
許されていいのだろうか。
「失敗したらやり直せば良いじゃん。もう一度、やり直そうよ」
やり直せるのだろうか。
もう一度―――最初から。
「リスナはどうしたい?」
そんなの決まっている。
「ユーシアと生きたい!やり直したいよ!!」
「それならいいじゃん」
もう一度だけ。もう一度だけチャンスを。
今度は間違えない。
ユーシアと一緒に光の道を歩いて進みたい。
「ユーシア、愛してる」
「俺もだよ、リスナ」
もう一度、あの頃の幸せな時間を。
今度は永遠に。
私達は今度こそ二人で幸せになる。
FIN
この話でwishは終わります。
ここまで読んでくださった方、有難うございました。
感想がいただければ、それだけで泣いて喜びます!
では、また他の作品(書ければ^^;;)でお会いできることを祈りつつ・・・・・・本当に有難うございました<(_ _)>




