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縁結びの神様のご加護付き!  作者: 赤式
1章「転生、チュートリアル」
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4話 紫 凛

更新が遅れてしまう…

俺は凛について陽に話し始めた。


陽が引っ越しをした後、凛は元気を無くしてたんだ。でも、それは一時的なものですぐ元気になった

あいつはあいつでかなりショックを受けていた。

同い年だったから、学校でも同じクラスになったりはしたのだが、元気はなかった。

それでも、数年は陽がいなくても一緒に遊んだりはしていた。

でも、いつ頃からか笑う機会が減って行った。

そう、段々と話をしていても上の空の状態になったりしていた。

だから、どんどん周りから浮いていってしまった。見ていて何とかできないかと思って凛から話を聞こうとした。


でも、何を聞いても凛は大丈夫しか言わなかった。


でも、ある時凛の家で勉強しようってなった時に原因が分かった。


凛の兄貴が、一目見ておかしいと思える人物だったからだ。たまたま凛の家の廊下ですれ違ったんだけど、髪の毛とヒゲは整えてなくて、何もしていなくても人の部屋の壁を殴って来たりした。


髪の毛はぐしゃぐしゃで、ヒゲは数年分は剃ってないレベル。

そして、すれ違った時の風呂に入ってない時の独特な体臭。


でも、凛はいつもの事だから大丈夫だって言って平気そうにしていた。

凛の両親は家にあまり居ないみたいで、だから尚更そんな状況が毎日だったのだと思う。


そして、中学に入ったある時に、凛の顔にアザが出来ていた。

当時は学校の先生なんかが騒いでいた。

だが、誰も何もしようとはしなかった。


誰にやられたのかすぐ聞いたら、凛の兄貴だった。だから、なんとかしたいと思って、その日から凛を家に連れた来たり、逆に凛の家に行ったりする回数を増やした。


なんとかしたいと思っても、できる事は限られていた。だが、それでも俺は行動した。


それが数ヶ月は続いた。最後の日、俺は凛の家にいつも通り勉強を教わりに行っていた。

でも俺は家に忘れ物をしたから家に戻ってきた。


そして、事件は起こった。


俺が忘れ物を帰ってきてから探している間に、あいつの家が燃えていた。


俺はすぐに気がつかなかった。忘れ物を見つけて外をみたら、凛の部屋の窓から炎が出ていた。


今もその光景はハッキリと思い出せる。

忘れはしない。


すぐに母さんに声をかけた。

そしたら、近所の誰かが通報したらしく、消防車や救急車がきて鎮火活動と救助活動をしていた。


俺は何も出来ずに、それを野次馬の人達の後ろでただ見ることしか出来なかった。


自分の無力さと、助けに行こうとすらできない自分が情けなかった。



そして、凛の部屋からは凛と、凛の兄貴の死体が見つかった。

見つかった時にはもう時既に遅く、見るも無残な姿をしていた。

後々わかった事だが、出火元は凛の部屋だったらしい。



「大体はこんな感じ」


俺は話終えてから陽の顔をみた。

ひどくショックを受けている様子だった。

それを見て、俺は陽を一人にさせた方がいいと思い、無言で部屋を出て、玄関に向かった。

そして、すっかり暗くなった外へと歩き出した。





「はぁ」


家から30分程歩いた所の神社にあるブランコで揺られながら、ため息を吐いた。

ポケットの中では、時折スマホが振動しているが反応する気にはなれなかった。

陽に話をしていて、あの時の光景が頭に浮かんできてしまった。


「はぁ……」


深く溜息を吐いて、ブランコで揺れる。

すると、何者かの足音が近付いてきた。

その方へ顔を向ける。


「や」

「瀬川?」

「うん」


そこに居たのは、数時間前までクラスメイトだった女子、瀬川 そらだった。

クラス委員で、少し変わった人物である。


「片手君がこんな所にこんな時間にいるだなんて珍しいね」

「まぁ、色々あってな」

「……確かに、どこか元気ないな」

「いつものことさ」


少しだけ心配そうに瀬川が顔を覗き込んでくる。

俺は何事も無いと言うふうな素振りをするが、それでも心配そうにしている。


「瀬川こそ、こんな時間に何をしているんだ?」

「散歩だよ」


ニッと笑顔を浮かべて、俺の目の前に立つ。

そしてそのまま俺の顔を覗き込んでくる。


「なんだか顔色が優れないようだけど、大丈夫かい?」

「大丈夫ではないな」

「何があったか分からないが、元気を出して行こう」


瀬川はそう言うと、ポケットから飴を取り出して俺に投げてきた。


「疲れた時は甘い物が一番だよ」

「……ありがとう」


俺がその飴を口に含むと、いきなり俺の手を掴んでブランコから立たせる。


「おっとと……」


そしてそのまま、その神社の賽銭箱の前へと連れて行かれる。


「困った時は神頼みだ!」

「ええ……」


何とかして元気付けようとしてくれるのだろうが、胸を張ってそれを言われるとおいおいとつっこみたくなる。

だが、そこまで心配してくれての行動だと思うと、無下にもできずに、財布から小銭を取り出して賽銭箱に投げいれる。


『もしも出来るなら、過去をやり直したい』

「彼女が欲しいです!……かな?」

「ちょっと待て!」


人が願いを祈っていると、いきなりそんな事を言い始める。


「違うの?」

「いや、違うんだが……」


と、そこで。

いきなり何者かの視線を感じるとともに、ゾワッという寒気が体を襲った。


「!?」

「?」


それは瀬川も感じた様で、二人揃って同じ方向を見る。


「今のは?」

「見たところなにもないから気のせいじゃないかな? とりあえず、もう結構遅い時間だ。もう帰った方がいいかもね」

「そうするか……」


そして、2人とも首を傾げながらもそれぞれ帰宅する事にした。

家に帰ると、母・いずみが玄関で仁王立ちしてプリプリ怒っていたのはまた別の話。

瀬川さんの声は茅〇愛衣さんの落ち着いた声のイメージです!


次回、激動の第5話(大嘘)

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