143カラットのダイヤモンド 2
メスリーヌは、143カラットのダイヤモンドを盗むと決めてから3日がたった。バトラーはいつ、メスリーヌが決意を決行するか気になっていた。メスリーヌは既に準備を終えていたが、実行に移すのはまだ先のことと考えていた。
143カラットのダイヤモンドが見つかった時、それを買い取ったのはイタリアの大富豪であった。その大富豪は名をジョバン=メディチと言った。彼が、そのダイヤモンドを買ったのにはある深い理由があった。メスリーヌは、それを掴むまでは盗みを実行する気はなかった。
―80年前
1915年に生まれたジョバン=メディチは、20歳で事業に成功し、俗に言う大富豪に成り上がった。学力も優秀。1000平米の豪邸に住む絵に書いたような成功した人生だった。しかし、メディチはその生活にどこか物足りなさを感じていた。メディチは、素晴らしい人生に必ずある何かが自分の人生には欠落している気がしてならなかった。メディチがそれに気づいたのは手遅れになる一歩手前の三十路前半のことであった。メディチの人生に足りないものそれは愛だった。そんな中、メディチの元に驚くべき情報が舞い込んできた。143カラットのダイヤモンドが発掘されたというものである。メディチは、どんな手を使ってもそれを手に入れようと思った。それさえあれば、世界中のどんな女性からも愛される。そういう理由だ。三十路になり、体も衰え始めたメディチはお金の力にものを言わせるしかなかった。メディチは、ダイヤモンドについての情報が漏れないようメディアをおさえ、裏で誰にもダイヤモンドが発掘されたとバレぬうちにダイヤモンドを買った。その、3ヶ月後の事だった。メディチは、自宅に世界各国のメディアを呼び、大々的にこう言った。
私の、伴侶を募集する。婚約に当たって私が用意したのはこれ143カラットのダイヤモンド。その原石です。もちろん、私の伴侶となる人が求めるならしっかりと、加工します。8ヶ月後、私の家で伴侶を決めます。希望する人がいるならば、その日にここに来てください。
メディチの発言は世界中に広がり、遥か海の向こう極東の地まで轟いた。しかし、メディチのお金さえあれば女は手に入れられるという発想を嫌った世界は、メディチを遠ざけ、結局メディチは独り身のまま、死んだ。
メディチが、143カラットのダイヤモンドを買った理由はあくまで一般的にはそう認知されていた。しかし、メスリーヌは、メディチが、そんな人間であるとは思えなかった。
もし、メディチがそんな人間であったならば、メディチは143カラットのダイヤモンドを買うはずが無かったからである。
しかし、メディチについての歴史が、一般的に認知されているものとは全く違うものと気づいたのはのはあとにも先にもメスリーヌだけであった。
メスリーヌは、メディチの過去について、メディチの本当の過去を知っている、メディチ家のひとから探り出そうとしていた。
バトラーに何もしてないように写っていた、3日間、メスリーヌはメディチ家に近づき、情報を得るための工作をしていた。それから、二ヶ月がたったある日のことメスリーヌは遂にメディチの本当の過去を掴んだ。
次の話はメディチの本当の過去についてです。




