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銀河連邦惑星特殊調査官  作者: 白猫
7/10

赤い髪

短すぎました。

 「今度は俺たちの報告だな。」



 カイとユーレイカは街にはいった。

 地上には都市が点在していた。都市は街も含めて城塞で囲まれており、外敵というのを前提とした造りが主だった。

 潜入する都市にはほどほどの規模を選んだ、首都では警戒が厳しいだろうし、小さすぎても異邦人は目立ってしまう。

 言葉も通じない状態で門から入ることができない二人は、城壁に沿って歩いき門番の目の届かいところに行くと、重力反発装置で城壁を乗り越えてはいった。

 二人は大通りへと出る。

 なかなかの賑わいだ。これなら、二人もそれほど違和感なく人ごみのなかに溶け込める。

「反応は?」

「いくつかあります。隔離されているといった状況ではありません。自由に活動しているみたいです。」

「そうか。」

 広場にあったベンチに腰を下ろす。

 周囲を見回すと、同じようにくつろいでいるカップルがいる。

「こちらもデートに見せたほうがいいですよね。」

 言い訳のように言ってユーレイアが寄り添ってくる。

「そ、そうだな。」

 うろたえ気味にカイは周りを見回す。

 派生人種で身なりの良いものが歩いているし、店の主人も人・派生人種入り混じっている。

 カフェのようなところでお茶を飲んでいるものも、特段に席の住み分けをしているわけではない。

 つまり、自然体だ。

「前方より近づいて来ます。」

 そっと囁かれて、ドキッとする。

 気を取り直して示す方を見る。

「もしかして・・・・」

 視線の先に赤い髪の男が歩いてくる。

 カイのいた世界には、赤い髪の人間は一人しかいない。

 キサラだ。

 この世界では赤い髪は珍しくないかもしれない。

 しかし反応している個体ならば、キサラのような能力を持っているという可能性はある。

「間違いありません。」

 見ていると赤い髪の男のもとに、違う黒髪の男が近づき話しかける。赤い髪の男も声をかけた男も笑顔だ。そして二人連れ立って店へと入っていった。

 周りの反応は全くない。注目を集めていない。

「ほかには?」

「にしの方に二つあります。」

「行ってみよう。」


 そこには少年が五、六人ほど、ボール遊びに興じていた。その少年たちのうち一人が赤い髪だった。

 そのそばに女性がいて、赤子をあやしている。

 その母親も赤い髪だった。

「男、子供、女性。世代と性別をまたがって赤い髪が出現しています。」

「赤い髪と特異パターンは一致するが、ここでは珍しいものではないということか。」

「・・・カイ。キサラの前では言いにくかったので言わなかったのですけど、ここでの反応パターンはキサラのそれにかなり類似していたのです。」

「ユーレイア、それを言っておいて欲しかったな。」

「すみません。」

「言い出せない気持ちはわかるが、任務だ。私情を挟むな。」

「キサラの精神にあまり負担をかけるわけには行かなかったので。」

 カウンセラーとしての判断なら仕方がない。


「こっちはDNAサンプルと取るわけにも行かないからな。そんなところだ。」

 キサラは目を見開いている。ショックだったようだ。

「映像が有りますか?」

「今映す。」

「・・・・」

「・・・・」

「・・・馴染んでますね。」

「ふつう?」

「キャプテン。私も街に行きたい。」

 キサラの強い視線がカイに向けられる。

 物心ついた時から、キサラは自分と世界がへだったっていることを知っていた。

 だが、映像では同じ赤い髪の人たちが友と遊び、子を産んでいるのだ。

「考えておく。」


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