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銀河連邦惑星特殊調査官  作者: 白猫
6/10

食欲魔人

 先に帰還したのは都市部の探索に出たカイキャプテンたちだった。

「おかえりなさい。」

 キサラは出迎えた。

「ただいま。」

「ミナトたちはまだか?」

「ええ。まだ帰ってないです。」

「・・・ハンティングしているな。」

「え~と。手こずっているのかも?」

 キサラが一応フォローしておく。

「モリソン。本部からの定時連絡はきているか?」

「記録してある。」

「じゃ、見てくる。」

「ユーレイアお疲れ。お茶飲む?」

「ありがとう。ちょうど喉渇いていたの。

 美味しそうなジュースも売っていたのだけれど、下界したで飲むわけにはいかないから。」

「でも、ミナトたちなら飲んでると思う。」

「そうだね。」



「遅いな・・・・・」


「連絡は?」

「異常なし。引き続いて探索するって。」


「・・・・・」

「ユーレイア、二人を呼び戻せ。」



 ミナトとテクワは床に正座させ得られていた。

「お前たちをペアでだすとストッパーがいなくなるということは重々解っていたのだが・・・。」

「すみません。でも連絡はきっちり入れておきました。」

「成果も十分です。」

 二人共反省させられているはずなのだが、悪びれていない。

「成果って、情報か?それとも肉や果実か?」

「「両方です」」

「お前ら~!」


 キサラはまだまだ続く説教をあとにして厨房室に入る。

 料理好きのモリソンがミナトとテクワの成果を検査している。

 検査がパスすれば、ありがたく食卓に登る。

「モリソン。どう?」

「大丈夫なようだ。今夜の食事は久しぶりに合成食から解放されそうだ。」

「手伝おうか?」

 キサラの申し出にモリソンがあわてて

「い、いや。せっかくだけど手伝ってもらうことはないよ。」


 その日の夕食は、モリソンが腕を振るった肉の塩釜にフルーツの酸味を生かしたソースを添えたものと、デザートに果実のコンポートとが出た。

 ミナトとテクワは合成食だ。恨めしそうに食卓を見ている。暴走の懲罰として、自分たちの収穫の味見はお預けになったのだ。

「い、いや・・・匂いがたまらん・・・」

「少し残る?少し残る?・・・少し残して~!」

「ミナト。狩猟だけでなくちゃんと調査をしましたということを証明しないと、明日もモリソンの手料理はなしだ。」

「ええっ!」

「その上キサラの手料理付きにしょうか。」

「すみません!もう寄り道はしません!」

 テクワとミナトはキャプテンに平謝りする。

 キサラは憮然とする。

「すみません。なんで私の手料理がなにげに罰ゲームっぽくなっているんですか?」

「それはだな、【ウィレン星系でのクルー全滅事件】を思い出せ。」

 ミナトの言葉になぜか皆涙目になって上の方を見る。

「あの時はマジでピンチだった。」

「私の自慢の羽毛も抜けました。」

「ウン・・・いや、もう思い出すのはやめておこう。」




 二人を除いて夕食を堪能すると、みんなはブリーフィングルームへ移動する。

 ミナトとテクワの気合がすごい。

「キャプテン!まず、我々の調査結果の報告からでいいいか?」

 普通のチームなら最前の会話や今のような言葉遣いはしないだろう。

 だがカイは最初から戦闘時の復唱と命令の順守さえ守れば、細かいことはいわなかった。

 チームとして互の垣根を低くすることに主眼を置いていたのだ。

「期待しているぞ。」

「「明日の食事のため!」」


 ミナトとテクワはまず平原に降りた。森や山にもパターンの違う反応は存在していたが、平原の方が観測しやすいからだ。

「とっとと終わらせんぞ。」

「もしかして考えていることは同じ?」

「同じだ。検査キット持ってきたのをみているんだぞ。」

「えへ。」

「反応は二次の方向2キロ。こちらに向かってきている。」

 スコープをテクワがのぞく。

「まだ見えない。ほかは?」

「そいつら以外は近辺にいない。近寄ってみるか?」

「単体?」

「単体だ」

「なら、もし魔人でも二人掛りなら、いけるね。」

「この文明程度なら、楽勝だろう。だが油断するなよ。」

「お楽しみもあるもんね。」


 スコープに四足歩行の動物らしきものが見えてきた。

「魔人ではないよ。動物っぽい。」

「獣人系か?」

「見てみる?」

「貸してくれ。」

 ミナトはテクワからスコープを受け取る。

「動物だな・・・もっと近づいてみよう。」

 こちらに気づかれないように風下に回る。

 ミナトは狼が先祖だし、テクワもうさぎが先祖。

 本来の先祖の特質から、‘狩り’は得意だ。気づかれるようなへたは打たない。

 近づくと、バーファローのような動物だとわかる。分析した数値を見るなりテクワが興奮を隠せない口調でミナトにいう。

「ちょっと見て!これって、ただのバーファローもどきの数値じゃない。」

 ミナトたちの知っている動物の基本的能力を上回っているのだ。

「どちらかっていうと、魔人よりだな。」

「ブッフォ!」

 バーファローモドキが向きをかえる。

「気づかれた!」

「なんで!」

 足音も消していたし風下から近づいたはず。

 モドキは逃げるどころか攻撃する気満々で体制を低くして蹄で地面を掻いている。

「どうする?」

「あいつ、食べれそうか?」

 ミナトの犬歯が見える。

「分析中。」

「とりあえず、運動能力とか見てみますか。」

「了解。」

 目はモドキに注がれたままだ。

 テクワがモドキをさそう。

 モドキはそれを隙と見て突進してくる。二人共最小限の動きで避けようとしたが、モドキのみのこなしが早く、さらによけざるを得ない。

「早い!」

「やるじゃないか。」

 地面のうえに刻まれた蹄のあとで脚力のつよさも相当なものとわかる。

「これは、どのみちDNAサンプルをとったほうがいいようだな。食えればそれにこしたことないが。」

「分析できたわよ。可食ですって。美味しいかは別だけど。」

 二人共余裕だ。モドキの攻撃力はかなりだが、彼らには及ばない。まぢてや、この星の科学力を大きく上回る武器もある。




「そのバッファローもどきの分析がこれだ。」

「魔人のデーターでしょ?」

「でも動物の外観だった。」

「味も牛ぽかったし。」

「もしかしてさっき食べたのは?」

「そう。人化していないから動物扱いでデーターが出た。」

「どうりで、調理するときやけに皮が硬いと思った。包丁が入らず、ソニックナイフで解体するしかなかった。」

「知性は?」

 キャプテンが聞く。

「獣だね。魔人ほど凶暴じゃない。せいぜい好戦的程度。そのあとも何種類か似たような反応の胴縁を見たけど、全部が全部こっちを襲ってくるってわけではなかったよ。」

 テクワが答える。一応任務は忘れていなかったらしい。

「その段階で止まっていれば殲滅の対象からは外しても良さそうだな。」

「そう思う。」

「で、キャプテン!」

 揉みて状態の二人。

「モリソン、明日は二人分追加で。」


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