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銀河連邦惑星特殊調査官  作者: 白猫
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ギルド

 アリスはマーリアの一人娘だ。本人に年を聞くと片手をパーにしたので、五歳だろう。同じ色の髪で親近感が増すのだろう。ブーリという果実を食べたあとも、まだ持ってくるかとかネルというお菓子をたべるか(アリスが大好きらしい)とか窓からとなりの犬が見えるとか話しかけてきた。キサラはほっといてもらいたいとはじめは思っていたが、少女の無邪気な好意は暗い方に行きがちな意識を浮上させるのに役立った。

「アリス!ごめんなさいね。この子の相手で疲れたでしょう?」

 マーリアが上がって来る頃アリスは最近おぼえた歌を披露している時だった。

「お風呂ができたからはいって。」

「一緒に入っていい?」

「だ~め。カレンちゃんが遊ぼって誘いに来たわよ。」

「じゃ!行ってくる!おねえちゃん後でね。」

 と手を振るとパタパタと階段を下りていった。

「助けてくれてありがとうございます。いろいろお聞きしたいことがあるです。」

「夜には主人も帰ってくるから、その時話しましょう?」

「はい。・・・少し外に出てもいいですか?」

「それはいいけど・・・一人で大丈夫?」

「はい。」




 街はそろそろ夕方の喧騒をまとい始めた頃だ。こんなに多くの人を見るのは久しぶりだ。

 行き交う人を目と耳で観察する。

 話を聞くにもするにもキサラの今の言語変換機能では、語彙が少なすぎる。

 そこで外に出て、情報収集することにしたのだ。


「安いよ~」

「でね、ハーシュたらね、今度デートしようって」

「はい!1ダナーのお釣り。おまけしといたよ!」

「ありがとう」

「ぶつかるぞ!気をつけろ!」


『自動翻訳機能生活言語補完しました。』


 ダーウィンの影響で人の中に派生人類が混じっている。ざっと見て人5に対して1くらいか。人主体の街なら多い方だろう。人と派生人種はこの星では対立していないようだ。どの顔にも緊張がない。

「すみません」

「なんだい?」

 呼び止めた羊派生人種の男に、役所や図書館などの場所を聞く。

「この街ははじめてかい?もっと大きい街に行かないとそんなもんはないぜ。みんなギルドで済ますんだ。」

 ギルドとは、役所の出先機関の集約施設のようなものらしい。

 改めてギルドの場所を聞き、礼をいって別れる。



 大きく開けられた扉の建物に人がひっきりなしに出入りしている。ここがギルドらしい。

 役所というには、兵士いやもっと統一感のない武装をしているので傭兵の割合が多い。

 中は奥にカウンターがあり、窓口のように係員が並んだ傭兵たちをさばいていた。

 (なるほど、役所だ)

 キサラは隅に置かれている椅子に腰掛けて眺めることにした。


「ゴブリン討伐ですね。確認します。・・・はい、確かに・・・では10ダナートの報酬になります。次の方どうぞ。」

「でなっ、黄鉄鋼の採掘所でハーピーに合っちまってあん時はマジでしねかとおもったわ。」

「明日もこの依頼を継続します。依頼人には確認済みです。」

「魔法階梯がアップしているので、個人ランクを挙げられますが、どうしますか」




「・・・もしもし・・もしも~し・・・聞いていますか?」

 肩に手をかけられてビクッとして椅子から飛び上がり身構える。

「聞こえてなかったんですか?」

「あっ・・はい。何か?」

 キサラに声をかけてきたのは、20歳ぐらいの女の人だった。

「さっきからずっとそこに腰掛けているけど、用があるなら並ばないといくら待っても、順番はこないよ?」

 どうやらギルド職員らしい。顔をまじまじ見てしまった。

「お~い。きこえてますか~。」

 テクワに似ている。耳こそ違うが顔はそっくりだ。

「聞こえています。すみません。図書館みたいな調べ物ができる所は有りますか?」

「図書館は王都にしかないよ。この付近の魔物の情報とかなら2階で見れるよ。」

「ありがとうございます。」

 キサラは礼を言うと、立ち上がる。

「もうすぐギルドの窓口も閉まるから、今日は行けないよ。また明日ね。」

 う~ん。声も似ている。性格はちょっと違うみたいだが・・・

「分かりました。明日また来ます。」

 文字の翻訳機能についてはまだかかりそうだ。


 『自動翻訳機能補完しました。』


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