第一章 ひき逃げ犯
ねぇ、貴方は誰?
今なにしてる?
なにを思ってる?
誰のこと想ってる?
貴方が誰だかわからないけど、
貴方に会いたいの……
側に居たいの……
このキモチ、気づかないうちに捨てられる…と思ったけど、無理ね……。
誰だかわからない貴方が好き。
早く取り戻したい……記憶を…………。
第一章 ひき逃げ犯
私は、水無月優奈、17歳…らしい。
何故はっきりしないかって?
それは、……記憶がないから。
私は、五日前、交通事故にあった。
最近高校生の女の子ばかりを狙うひき逃げ犯が、高校帰り横断歩道を渡っていた私に、信号無視でぶつかってきたの。
そして、ほとんど外傷が無い代わりに、記憶が無くなったの。
みんなはそのほうが死ぬよりましというけれど、私は、どちらも同じくらいだと思う。
だって、自分が誰なのかもわからないなんて辛いじゃない?
私は今、恋してるの。
誰だかわからない人に。
名前も顔も覚えていないの。
…でもなんだか懐かしいようなキモチに時々なるの。
思い出しそうなんだけれど、頭がズキズキするの。
きっと素敵な人なんだろうな……。
いつか思い出したい……
そしてその人に会って話がしたい。
ごめんなさいね、私のことばかり言ってしまって。
でも聞いてほしかったの。誰かに。
家族でも友達でもない誰かに……。
誰でもそういう時ってあるでしょう?
私、言ってること変かな……。
変でもいいわ。
最後まで聞いてくれてありがとう。
誰だかわからないけど、ここまで読んでくれてありがとう。
「優奈……」
そうこれは、優奈の日記。
優奈はこれを書いた二日後に亡くなった。
ひき逃げ犯が、顔を見られたと思い、散歩していた優奈を狙い、そして記憶がないまま優奈は死んでしまった。
「あぁ……優奈…優奈ぁ………!」
この人は優奈の母親の、優里。水無月優里。
ちょうど遺品を整理していたのだ。
「優里……泣いても優奈は帰ってこない…そうだろ?」
この人は優奈の父親の、優樹。水無月優樹。
17歳の優奈。
まだまだ若いのに死んでしまった優奈。
誰も悪くないのだ。
悪いのはひき逃げ犯。
そのひき逃げ犯も、昨日捕まり、母親の優里と父親の優樹が犯人と警察で面会した。
いままではどの人もひき逃げに失敗し、初めてこのひき逃げで死んでしまったのが優奈だった。
「どうして……優奈を……?!」
「…別に理由なんてないさ……。むしゃくしゃしてた……ただそれだけさ。」
「それだけで優奈を……!優奈を返してよ!優奈ぁ……!」
優里はその場に泣き崩れた。
犯人の名前は、佐々木満。歳は46歳。無職。
最近リストラにあったそうだ。
誰が優奈を殺せと言ったのか。
誰もそんなこと言ってないし、望んでもない。
?むしゃくしゃしていた。?
ただそれでけの理由で優奈は殺されたのだ。
このお話は、そんな優奈の天国でのお話。
〜作者から〜
貴方の瞳に導かれて・・・が完結しないうちに新連載してしまったのですが、いいのでしょうかね?
許してください。
貴方の瞳に導かれて・・・は名探偵コナンのファンフィクションでしたが、これは、“切ない恋”をテーマにしてみます。
こういうの書くの初めてなので、変なところもありますが、ご了承ください。