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プロローグ
魔王が世界に対して宣戦布告した。その噂は大陸の端にあるのどかな片田舎にさえ届いた。その片田舎に住む農家の三男に生まれた俺が・・・まさか噂の魔王と戦う運命を背負ってるなんて。世の中わからないものである。でも、不思議と戸惑いは少ない。
俺を勇者と認めた聖剣『シュトラウス』を目の前に掲げてみた。手に入れてからまだ三日と経っていないのに俺の手によく馴染んでいる柄。刀身が青白く光っているこの聖剣を見ているとやる気がみなぎってくる気がする。
「・・・よし・・!」
ゆっくりと腰の鞘にしまってから顔を上げる。
そして俺は、この世界を守るための一歩を踏み出した。