偽ディオニシウスの『天使の階級(九位階)』
天使の階級論。
起源は5〜6世紀頃に成立したとされる著作
『天上位階論』(ラテン語:De Coelesti Hierarchia / 英語:The Celestial Hierarchy)。
著者は長らく使徒時代の「ディオニシオス・アレオパギテ」と誤認されていたが、現在では後世の匿名神学者と考えられているため、「偽ディオニシウス」と呼ばれる。
■ 第一階層(第一三位階)
最も神に近い。神の意志そのものを観照。
1. 熾天使 (セラフィム)
原語)Seraphim(ヘブライ語:שְׂרָפִים)
語源) 「燃える者たち」
属性) 炎・純粋光・愛
神との距離) 最も近い
外見) 六枚翼、多眼、炎
役割) 神への絶対的賛美
象徴色) 白金・紅蓮
関連元素) 火
有名描写) イザヤ書6章
イメージ) 神の愛そのものに燃える存在。後世では「最高位天使」の代名詞。
2. 智天使 (ケルビム)
原語) Cherubim
語源) 「知識に満ちた者」説
属性) 知識・叡智・記録
外見) 多翼・多面体・車輪付き
役割) 神秘知識の保持
象徴) 星・書物・眼
関連) 元素空・光
イメージ) エデンの園の門を守った存在として有名。ルネサンス以降の「幼児天使」のイメージとは本来かなり異なる。
3. 座天使 (スローンズ)
原語) Thrones
別名) Ophanimと結び付くことあり
属性) 神の玉座・法
外見) 車輪・無数の目
役割) 神の裁きの媒介
象徴) 円環・法輪
関連)エゼキエル書
イメージ) 人型より「神の機構」に近い。後世SF的な「機械天使」の原型にも。
■ 第二階層(第二三位階)
宇宙秩序の維持。力・法則・天体管理。
4. 主天使 (ドミニオンズ)
原語) Dominions / Dominations
ラテン語) Dominationes
属性) 支配・秩序
役割) 下位天使への命令
象徴) 王笏・宝珠
性格傾向) 冷静・威厳
イメージ) 宇宙行政官のような存在。感情より秩序を優先。
5. 力天使 (ヴァーチャーズ)
原語)Virtues
語義) 「徳」「力能」
属性) 奇跡・自然法則
役割) 奇跡の執行
管轄) 星・季節・自然現象
象徴) 光輪・杖
イメージ) 世界法則を動かす“運営側”。
6. 能天使 (パワーズ)
原語) Powers
別訳) 権天使
属性) 防衛・封印
役割) 悪魔勢力との戦闘
象徴) 武具・鎖
性格) 厳格・軍務的
イメージ) 「天界軍」の中核。悪魔侵入を阻止する防壁。
■ 第三階層(第三三位階)
人間世界に近い。人類・国家・個人への干渉。
7. 権天使 (プリンシパリティーズ)
原語) Principalities
別訳) 権勢
属性) 国家・民族
役割) 王国や都市の守護
管轄) 国・宗教・文明
象徴) 王冠・旗
イメージ) 国家単位の守護天使。「ローマ担当天使」のような概念も。
8. 大天使 (アークエンジェルズ)
原語) Archangels
語義) 「高位の使者」
属性) 啓示・伝令
役割) 神託伝達
有名個体) ミカエル、ガブリエル等
象徴) ラッパ・剣
有名天使) ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエル
イメージ) もっとも「人間と接触する重要天使」。
9. 天使 (エンジェルズ)
原語) Angels
語源) Angelos(使者)
属性) 伝令・守護
役割) 個人守護
管轄) 人間個人
象徴) 羽・白衣
イメージ) 一般的に「天使」と呼ばれる存在。守護天使概念の中心。
■ 階級構造の特徴
神から遠いほど「人格的」
上位存在ほど、
・人型ではない
・概念的
・光学的
・幾何学的
・多眼・多翼
になり、
下位ほど人間的になる。これは非常に重要な特徴。
■ 後世作品への影響
九位階は後世の神秘思想・文学・ゲームへ膨大な影響を与える。
神学・文学)
神曲
トマス・アクィナス
近現代作品)
女神転生シリーズ
Diablo
Bayonetta
Evangelion(使徒デザインへの間接影響)
Dungeons & Dragons
など。




