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戦国新選組 最速×最速 -斎藤一が織田信勝に逆行転生した天下統一最速理論【首狩り外交編】-  作者: 五平


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第九話 本願寺、仏敵の末路は首で知る

信長の天下布武は、信勝の「首外交」によって、もはや誰もが想像しなかった速度で進んでいた。今川、六角、浅井、朝倉、武田、上杉、そして徳川。本来なら何年もかかったであろう戦いが、わずか数ヶ月で終わった。信長は、この勝利を喜ぶべきなのか、それとも、この恐ろしい弟に戦慄すべきなのか、わからなくなっていた。


次の標的は、石山本願寺。信長にとって、これは単なる軍事的な問題ではなかった。強大な宗教勢力との戦いは、信長の権威を揺るがしかねない、複雑で長期にわたる問題だ。信長は、本願寺を力で屈服させるため、軍勢を動員する。


信長は、苛立ちと焦りを募らせながらも、次の手を打った。だが、信長の脳裏に、不穏な予感がよぎる。


(まさか……)


信長は、すぐさま信勝の居所を探させた。だが、信勝の姿は、すでに城内にはなかった。信長の予感は、的中した。信勝は、またしても、信長の思惑など知る由もなく、自らの判断で行動していた。


その日の夜、信勝は、夜の闇に紛れ、ただひたすらに本願寺へと向かっていた。彼の顔には、疲労も、感情もない。ただ、次なる「任務」を遂行する、冷徹な仕事人の顔があった。


石山本願寺。


そこは、堅牢な城郭と、信仰という名の強固な壁に守られていた。本願寺の主、顕如は、信長からの攻撃に備え、門徒たちに檄を飛ばす。


「信長は仏敵じゃ! 阿弥陀如来の御加護あらば、我らは決して敗れぬ!」


門徒たちは、顕如の言葉に熱狂し、武器を手に信長軍を迎え撃つ準備を整えていた。祈り、経文、そして熱狂的な門徒たちの声が、城内に響き渡る。その異様な熱狂が、信長軍を迎え撃つ最大の武器だった。


その時だった。


顕如の部屋の襖が、音もなく開いた。そこに立っていたのは、一人の男だった。彼の姿は、まるで夜の闇そのもの。だが、その男から漂う、生々しい血の匂いに、顕如は全身の毛穴が開くのを感じた。


顕如は、その男の顔に、覚えがあった。織田信長の弟、織田信勝。信勝は、一切の返事をせず、ただ静かに一歩、また一歩と、顕如に近づいてくる。顕如の顔から、血の気が引いていく。その男の瞳に宿る、無感情な光。それは、今川義元、武田信玄、そして上杉謙信の命を奪った、死神の目だった。


信勝は、顕如の前に来ると、懐に手をやった。顕如は、思わず身を固くする。次の瞬間、血に濡れた首が転がり出てくる。そう、誰もがそう思った。だが、信勝は、何も取り出さなかった。


信勝は、静かに、そしてゆっくりと、顕如に告げた。


「顕如殿。このままでは、多くの門徒が死にます。それは非効率的です」


その言葉は、顕如の脳裏に、雷鳴のように響いた。


(この男は……信仰を、ただの……非効率なものと見ているのか……?)


信勝は、静かに首を傾げた。


「信仰? 神仏の力? それらは、無駄な手間です。敵将の首さえ獲れば、すべてが解決する。そう、判断しました」


その言葉に、顕如は震えた。信長ならば、仏教を否定し、力で屈服させようとする。だが、この男は違う。この男は、信長の弟という顔をした、感情を持たない「死神」だ。


信勝は、懐から小さな布包みを取り出し、卓の上に置いた。包みが開かれ、中から現れたのは、血に濡れた、本願寺の重臣たちの首級だった。


顕如は、息をのんだ。つい先ほどまで、共に阿弥陀如来の御加護を信じていた男たち。彼らは、いつの間に……。熱狂していた門徒たちの声が、一瞬にして、静寂に変わった。その異様な静けさに、顕如は心底震えた。


信勝は、静かに刀を抜き、その刃先を、顕如の喉元へと向けた。


「顕如殿。あなたは、兄に従いますか? 物言わぬ首になりますか?」


その言葉に、顕如は震えた。


(わしは、ただの……飾りだったのか……? 阿弥陀如来の御加護も、この男には通じないというのか……)


顕如は、信勝の瞳に、ほんのわずかな感情もないことを悟った。彼の命は、信勝にとって、従属か、排除か、その二択でしかなかったのだ。


「……従おう。織田殿に、従おう」


顕如は、絞り出すような声でそう告げた。信勝は、無言で一礼し、踵を返した。去り際、顕如に、静かに一言付け加えた。


「……賢明なご選択です。宗教戦争は、時間がかかりますから」


信勝が去った後も、顕如は、震えが止まらなかった。彼は、信勝という存在が、信長という男を遥かに凌駕する「怪物」であることに気づいた。信長は、権威を尊重してくれる。だが、信勝は違う。彼は、ただ、命令を遂行するだけの、冷たい「仕事人」なのだ。


信長の天下布武は、もはや信長自身の力で成し遂げる夢ではなく、信勝という名の「死神」が、ただ黙々とこなしていく、冷たい「仕事」になりつつあった。

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