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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第四章 もう一つの神界〜ラボ〜
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第二話 アンゼスと仮面の子供②


『パパ、僕此処飽きちゃったよ〜。此処ではもう新しい事思い付かないもん!そろそろパパが居るとこに連れてってよ。』


『…そのうちな。』


『え〜、いつもそれじゃん!』


 エンゼスはブーブーと不満を言いながら、アンゼスが「仕方ないなぁ」と言ってくれるのを待った。

 が、どれだけ不満を言っても望む言葉は出なかった。これ以上は無駄だと思いエンゼスは諦めた。


 アンゼスはエンゼスが諦めたのを見て、ラボを見に行くと言ってその場を離れた。


 その背中を見つめるエンゼスの目には、寂しさと僅かな怒りが含まれていた。


『何で僕に隠し事するのさ…』


 エンゼスの口から出たその言葉は、アンゼスに聞こえていたが、彼は気付かないふりをした。


 部屋に一人残ったエンゼスは、アンゼスとの出会いから今までの事を考えていた。






 気が付いた時には暗闇の中で一人だった。

 そこは、音も光も無い「無」の世界だった。

 その世界に只存在するだけの自分がいた。時間の概念も無く、どれ位の間そこに居たのかは分からないが、ある時ぼんやりしていた視界に何かキラキラするものを見つけた。


 ぼんやりそれを眺めていると、その光はふわふわと動き出し、自分の方へ近付いてくる。

 そして目の前で止まったと思ったら、光が小さくなったり大きくなったりして、まるで自分に触ってくれと言ってるかの様だった。


 僕は何となく触れてみたいと思った。


 すると一瞬にして目の前が眩しく光り、次に意識を取り戻した時には目の前には真っ白な世界が広がっていた。


 初めて見る「白」と、今まで居た「黒」が何処にも無い事に、僕は暫く呆然とした。


 そこへ先程見たキラキラ光るものが現れて、僕の周りを何周か飛び回ると、着いて来いと言わんばかりにゆっくりある方向へ動き出す。


 僕は無意識にその光の後を追った。

 光は徐々にスピードを上げ距離が開く。僕はまた無意識に追い掛けるスピードを上げ、見失わないよう必死で追い掛けた。


 その光は僕が追いつきそうになると方向を変え、巧みに躱す。

 その様子は傍から見たら追いかけっこでもしている様で、目的もなく只走り回る行為に僕は何時しか高揚感でいっぱいになっていた。


 そして初めて「楽しい」と感じた事に気付く。


『…楽しい?楽しいって何だろう…。まぁ、何でもいっか。楽しければいいや!』


 一頻り追いかけっこを楽しんだが、徐々に飽きてきた。

 すると光はそれを察したかの様に動きをピタリと止め、また僕の周りをふわふわと飛び回った後、ゆっくり動き出し道案内でもする様にある方向へ真っ直ぐ飛んで行った。


 僕はその光の動きに「何か新しい事がある」と思い、期待に胸を膨らませ後を追い掛けると、その光はピタリと止まった。


 真っ白なだけで何も無い世界なのに、目の前の空間に不思議な亀裂があり、光はその中へ吸い込まれていった。


 一瞬「え?」と思ったが、直ぐにワクワク感に変わりその亀裂に手を伸ばした。


 その時視界に入った自分の手に「何だこれ?」と思ったが、同時に光同様体が吸い込まれ疑問も打ち消された。


 次に見たのは今居るこの世界…ラボだった。


 当時は今とは様子が少し違い、ここまで工場や実験室等は多くなかった。


 「黒」と「白」しか無い世界以外知らなかった僕は、その光景に興奮した。


 あちこち見て回り、手当たり次第触れてみた。

 何を見ても触っても「面白い」「楽しい」という感情が、体の奥から溢れて僕を刺激する。


 そして、見て触れたものの情報がどんどん頭の中に流れ込み、新しい「思考」が生まれる。それはやがて「想像」に変わり「創造」した。


 僕は「創造神」だと漠然と理解した。


 パパは僕がこのラボに入った時から気付いていたみたいで、暫く様子を見ていたらしい。

 楽しそうに創造する僕を見て、漸く声を掛けてくれた。


 それからは、パパと色んな話しをして一緒に創造もした。一人でも楽しかったけど、パパと一緒はもっと楽しいって気付いてからは、心が満ち足りていた。


 パパの創った箱庭(宇宙)も見せてもらった。地球や他の星の事も一通り見た。

 パパのお気に入りの地球も興味深かったけど、人間の愚かさや脆さには少しガッカリした。


 折角の知識を楽する事に使って、結果土台である地球を壊す…愚かとしか言いようがない。


 でもパパは、そんな愚かな人間を面白いと言い、そいつらの作った文化と感情によって起こる現象に興味を持った。


 僕が楽しいと感じる事も感情の一つだと言われたら、多少は気になるけどパパ程の興味は湧かなかった。僕の興味は「パパと新しい事をする」にしかない。


 このラボもパパと色々相談して、あれこれ改良して今の様な状態になったけど、正直飽きてきた。


 パパは創造したものを堪能した後、分解して再構築するのが好きみたい。

 それで再構築する過程で新しい「発見」や「想像」が生まれるんだって言ってた。


 正直、僕にとってはどうでもいい事だけど、パパが楽しそうにしてるのを見ると、自分も何だか嬉しくなる。それに、二人でお喋りしながら作業するのは楽しいから、仕方なくパパに付き合ってるってのが本音。


 でも、最近のパパは僕に秘密にしてる事がある。


 いや、秘密と言うより教える気がないんだ。

 ラボとは違う世界を創ったのは知ってる。此処で実験して作ったものの一部を、そこに持ち込んでる事も何となく知ってる。


 そして、僕がそれらを知ってる事に気付いてるのに、何も言ってくれないし、さっきみたいに直接言っても顔色一つ変えずに受け流す。


『…気に入らない』


 エンゼスはアンゼスが好き過ぎて、何でも共有したいと思っていた。

 イレスのアンゼス至上主義とイアレスとブルートの共依存、ウェネスのオアリスへの執着、それらが合わさった上で、エンゼスの楽しければいいという楽観的な部分が抑え込んでいるという感じだ。


 アンゼスはエンゼスのそうゆう部分に何となく気付いている為、神界に連れて行く事を躊躇っているのだ。

 また、エンゼスは「創造神」だ。

 能力としてはイレス以上になる。そんな彼を神界に連れて行く事は、アンゼスにとっては賭けに近い。

 最悪、神界が壊れる事も予想される。


 その為、神界の存在に気付かれた以上は下手に隠すより、存在を認めた上で敢えて連れて行かないという意思表示をする方法を選んだのだ。


 アンゼスもまた、最近は「感情」による思考の混乱が時折現れており、自分の判断に自信が持てなくなりそうな気がして、少し不安になっていた。

 此処に来たのは、「想像」と「創造」の楽しさを思い出し、初心に還ろうと考えたからだった。


 エンゼスは今のところ、アンゼスを煩わせる様な事はしないが、神界への興味が強くなればどうなるか分からない。


 それらを考えるとアンゼスは憂鬱になり、いっその事全て消してしまおうかとすら思ってしまう。


 エンゼスの「気に入らない」という一言が、アンゼスを大いに悩ませている事をエンゼスは知らない。


 何でも見通せるアンゼスも、エンゼスの心の中の感情迄は分からない。

 今は、エンゼスがイアレス達の様に何らかの影響で突然神界に入り込む事が無いのを願うしかなかった。



 アンゼスは自分が創造したものについては全て把握出来るので、創造物であるラボ内の事も全て把握しています。それはエンゼスの呟きですらも。

 只、感情だけは把握出来ないので言葉に出さない心情については、状況判断するしかない…とは言え、アンゼスも感情に関しては未知なもの。経験の無い感情は対処が出来なかったりするんです。

 相手の心情って想像するしかないですよね(^_^;)

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