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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第三章 新たな創造神
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閑話 空への憧れ④


ザッ…

イデスを抱えたアンゼスは浜辺に降り立ち、イデスを下ろした。


『アンゼス様、ありがとうございました。』


『どういたしまして。イデスはこの後何か予定ある?』


『いいえ、特には…』


『そ?じゃあ、私と少し歩こうか。散歩に付き合ってよ。』


『はい!』


アンゼスはにっこり笑って歩き出す。イデスはその後に続く。



『イデス、空を飛んだ感じはどうだった?』


『……実はあんまり覚えてなくて…おかしいですよね。せっかく飛べたのに魚の動きに夢中になってしまって、肝心の空を飛ぶ感覚を覚えてないなんて…はぁ…』


『まぁ、残念に思う気持ちは分かるけど、あの時はそれよりも魚の方が気になったんでしょ?初めて見るものに興奮しちゃったってとこかな?私なんてしょっちゅうあるから、イレスにいつも叱られちゃうんだよね。』


『そうなんですか?意外です…アンゼス様はいつも冷静で、見落としの様な事はないものかと…』


『イデスは私の事、そんな風に見えてたんだね。ありがとう。でも、残念ながら違うんだよね。一つの事に夢中になると周りが見えなくなるみたいでさ。


…でもね…イレスが傍に居てくれるから、私は好きな事を好きな様にやれる。イレスは…私と私の周りをよく見てるからね。無茶すると凄く叱られるし、上手くいくと私以上に喜んでくれる。イレスは私にとってなくてはならない存在なんだ。


…イデスにとっても、アデスはそうゆう存在なんじゃない?』


『……そう…ですね。でも今は何でもアデスに頼ってた事に気付いて…それは良くない事なんじゃないかと思ってて…』


『……う〜ん。確かに頼り過ぎは良くないと思うけど、助け合うなら良いんじゃない?』


『……助け合う?』


『そう、助け合い!だってさぁ、出来ない事は出来る者に頼むのに何の問題があるの?火を扱えないイネスに火を出せって言っても無理でしょ。逆に水を扱えないイデスに水を出せって言っても無理。だから出来る者がやる。努力して出来る事をやらないのと、どうやっても出来ないからやらないでは全く意味が違うじゃん。イデスに創造神になれって言っても無理でしょ?要するに、出来る可能性があるなら努力をしつつ、足りない分は手伝ってもらう。それだけの事。あんまり難しく考えなくていいと思うよ。』


『……そうなんですかね…頼り過ぎにはなってないんですかね…』


『ないない。だってアデスだよ?アデスだって何とも思ってない…いや…寧ろ、頼られないのは自分がその程度なのかと落ち込みそう…プププ…』



…クシュン!

『……んあぁ…誰か俺の噂でもしてるのか?』

アデスは一人歩きながら、首を傾げずずっと鼻をすする。



『……確かに…アデスなら言いそうですね…ふふ』



…ぁぁ…クシュッ!!

『……何だ?風邪か?……いや、きっとあちこちで俺の噂をしてるんだな。俺って有名〜♪』

フフン…フフン…と鼻歌を唄いながらご機嫌で歩くアデス。


……残念っ!!




アンゼスとイデスは、その後も何でもない話をしながら只管歩く。


『……ところでアンゼス様、どちらに向かわれてるんですか?』


『あぁ、特に目的は無いよ。偶にはイデスとゆっくり話したいと思ってね。』


『そうなんですね。でも、アンゼス様と二人っきりでお話しするなんて初めてですね。』


『そうだね。イデスは私も含めて、他の者とあまり関わろうとしなかったからね。』


『……はい。私はそれについては反省しています。そのせいで、随分視野が狭くなっていたと気付きました。』


『確かに視野が狭くなってたね。

イデス。視野が狭いと思考も狭くなる。結果的に可能性も狭まり、出来る事も出来なくなる。それは覚えといて。』


『はい…今回の事で、私もそう感じました。』


『うん。でもね…自分で自分を強制するのは間違いだよ。イデスはイネスみたいに大勢と関わるのは苦手でしょ?それなのに無理して関わろうとする必要はないからね。少しずつでいいんだ。自分の出来る範囲で…視野も関わりも広げればいい。』


『…少しずつ…自分で自分を強制しない…』


『そうだよ。空を飛びたいって気持ちも同じ。

さっきは無意識だろうけど、腕に纏った炎が翼の代わりになってたよね?アデスだって鳥の姿の時は、翼が腕でしょ?そして、人型の時は翼が腕になる。因みに、イレスは飛ぶ時翼使わないけどね〜』


『……腕に炎を纏わす…腕が翼…翼が腕………?

………………え!?イレス様は翼使わずに飛ぶ!? 』


『そうだよ。私は翼が生えてる方がカッコイイから背中に翼創ったけど、イレスは邪魔だから翼は無い方がいいんじゃないかって言うんだよね。でもさぁ、背中に翼があるってカッコ良くない?ロマンって言うのかなぁ〜バッサバッサと翼を『アンゼス様!!』…え?何?』


『イレス様は翼が無くても飛べるんですか!?』


『そうだよ。あれ?知らなかった?』


『知らないですっ!!どうやってやるんですか!!』


『……教えない。』


『アンゼス様!お願いします、教えて下さい!!』


『え〜、ヤダ〜。自分で考えなよ。イレスも自分で考えたんだから、イデスも自分で考えな。』


『…そんな……いや、そうですね。私も自分で考えてみます。ただ、一つだけ教えて下さい。』


『……何を?』


『それは、イレス様だから出来る事なのか、私でも出来る事なのかです。』


『……なるほど。全く同じは無理かもね。イレスはイデスの能力もイネスの能力も使えるから、イレスが考えた方法では無理だろうね。』


『……では…別の方法なら出来るという事ですか?』


『そうだね。』


『分かりました。自分なりに考えてみます。』


『うん、頑張って♪じゃあ、私はそろそろ行くね。』


『はい。アンゼス様、ありがとうございます。』


『どういたしまして〜』


アンゼスはそう言うと、バサッと翼を出して颯爽と飛び去った。


『……翼が無くても飛べるのか…でも…いつかは翼を…』


イデスはそれから翼を頭の片隅に追いやり、考え方を改めた。


「飛ぶ」ではなく「浮上」に思考を変え、観察の範囲を自分の管轄区域外に伸ばし、海や湖や森と至る所に足を運んだ。


顰めっ面で歩くイデスの姿を、神界の至る所で目撃され一時は「ヤバい奴がいる」と噂になった。


そんな中、その顰めっ面のイデスに話し掛ける猛者がチラホラいて、話してみると別にヤバい奴ではないという事が分かり、次第にその噂も無くなった。


ある時イデスは、風に舞う葉を見て何かを感じる。


『……風………風圧……ジャンプ……勢い……』


イデスは閃いた。自分の体を持ち上げる程の風圧があれば、高く飛び上がる事は出来る。そして、飛び上がった状態を維持し続ければ「飛ぶ」と同じ。


『あの時腕に炎を纏って飛んだ…んだよな。』


イデスは自分の掌を広げてじっと見る。


『……手から炎を出せるなら、足の裏からも出せる?』


イデスは手から炎を出す感覚で、足の裏に意識を集中させる。


ボッと炎が出て、一瞬足が浮いた。


『……なるほど…では…これなら…』


今度は先程より強く炎を出してみる。

すると、地面から10センチ程体が浮いた。軽くジャンプした様な感じだった。


『……ジャンプだな………あぁ…アデスがジャンプした時、飛んだと言った気持ちが分かった。そうか…こんな感じだったんだな…バカにして悪かったな…ごめん、アデス。』


それからは早かった。ジャンプのタイミングに合わせ炎を出し、滞空時間を延ばし、高く飛び上がる。

徐々に飛び上がる高度が上がり、数十メートルは飛び上がれる様になった頃、強い風が吹き体が少し流される。


『……おっと………あ…風………あぁ…風か…』


イデスは再度飛び上がる。自身の最高到達点迄行くと、体を少し前に傾け再度足裏から炎を出す。

すると炎の勢いで前方に体が進む。何度か炎を出し勢いを着けるとどんどん前に進む。


翼がない状態で「飛んだ」瞬間だった。


『……こうゆう事か…「形」に拘り過ぎ…確かにそうだな……ハハ…何だ…ハハ…アハハハ…』


それからイデスは炎の強さを色々試し、方向転換の感覚や飛距離に対しての体力消耗はどの位か等、実証実験を繰り返しとうとう自在に飛び回る事が出来る様になった。


『……飛べる様になったけど、やっぱりアンゼス様みたいに翼が欲しいな…』


イデスが一人呟く。そこへアンゼスがひょっこり顔を出した。


『イデス〜随分飛ぶのが上手くなったね。』


『…っ!アンゼス様!!』


『どうした?まだ何か悩んでるの?』


『いや…悩みと言うか…その…』


『何?言ってごらん?』


『……飛べる様にはなりましたが、やっぱり私はアンゼス様みたいに翼が欲しいなぁ…と思って…』


『翼?作ればいいじゃん?』


『いや、私には創れないですよ…』


『何で?炎で作ればいいじゃん?』


『……え…炎で…?』


『うん。炎で。』


『イデスはさぁ、柔軟性が足りないな。炎の形を変えれば良いだけ。そんなのイデスにとっては簡単でしょ?』


『……炎の形を変える…そうか…なるほど!!』


『でも、背中と足裏同時に炎出し続けると消耗も早いから気を付けなよ。集中力も散漫になると危ないしね。』


『はい!ありがとうございます!!』


アンゼスのアドバイスを受け、イデスは嬉々として飛ぶ訓練を始めた。


『炎の翼か……それもカッコイイな…』


アンゼスは自身の白い翼を見ながら呟いた。



イデスはその後、炎の翼を使いこなし優雅に大空を飛び回った。




『あ〜疲れたぁ……………え…イデス様?』


一人で鍛錬をしていたアデスが、何気に顔を上げると視界に炎の翼をはためかせ優雅に大空を舞うイデスの姿を見つける。


『えーーーっ!!空飛んでるーーーっ!!』


互いに一人で鍛錬していた為、アデスはイデスが空を飛べる様になった事を知らなかった。


『……人型になって少し近付けたと思ったら、また先に行かれた…はぁ…さすがです…イデス様…フフ…』


敬愛するイデスの進歩に、益々敬意を持つアデスだった。





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