第二十七話 新たな創造神の誕生
オアリスと半身の彼女は、真っ暗な場所から急に明るい場所に出た事で、眩しさのあまり目を瞑る。
先に視界を取り戻したのは…半身の方だった。
彼女の深い青色の髪がしゅるしゅると伸び、オアリスの体を縛りあげる。
『…くっ…何するのよ…』
『言ったでしょ。私は私のやりたい様にすると。
だから貴方ともう一度一つになる。貴方が私から離れない様に…私に取り込めば良いのよ!そこの嫌な奴の言う通り、遠慮してたのがいけなかったのよ。初めからこうして繋ぎ止めておけば良かった。
…ムカつくけど、ソイツの言う通り…不毛な時間だったわね…ハハ…アハハハ!』
『…やめて…私は…もう…嫌………貴方とは…一緒には…いられ…ない…………』
『足掻いても無駄よ。さっきは貴方なんて要らないって思ったけど、訂正するわ。私の中に貴方が入れば、体も一つになれる…素敵じゃない?あぁ、でも体は貴方の方が素敵ね。私のはちょっと…地味ね。やっぱり貴方の中に私が入るわ!私達が一つになるのは同じだものね♪』
『ふざけ…ないで…私は…私よーーーーーーーっ!!』
オアリスの体から白い光が放たれ、一瞬で体を縛っていた髪が霧散し解放される。
そして、その白い光は半身を直撃し弾き飛ばす。
『キャーーーーーーーーーッ!!』
バンッ!!!
弾き飛ばされた半身は、アンゼスの創った異空間の壁に叩きつけられる。
オアリスの体はキラキラと光を纏い、金色の瞳の瞳孔が黒くなっていた。
『……オアリス…「独立」おめでとう…』
アンゼスの瞳と同じ、金色の瞳に黒い瞳孔となったオアリスは「創造神」へと進化を遂げた。
ピンと背筋を伸ばし、強い意思を持った目で真っ直ぐ前を向く。背中の白い翼が動く度、特徴的な赤い髪がふわりと広がる。
体全体がキラキラと光る様は正に…女神だった。
叩きのめされた半身の方は、辛うじて息をしているが宙に浮いているにも関わらず、まるで跪く様に両手を着いて頭を垂れる。
ハァハァと苦しそうに息を吐き、ゆっくり顔を上げる。
髪と同じ深い青色の目には涙が溢れ、止めどなく頬を伝い流れる。
『……私は…結局…何者にもなれないのね…貴方にも捨てられ…力すら持てない…もう…どうでもいい…』
彼女は感情を爆発させる事で「自立」しかけたが、オアリスの力に圧倒され生気を失った。
「存在する事」を手放そうとしている。
『………ここまでか…』
アンゼスは存在する事を諦めた半身に、ある程度予想はしていたが…ガッカリした。
半身の気持ちを表すかのように、彼女の体の線が少しずつ薄くなっていく。
『…っ!!ダメーーーッ!!』
オアリスは消えかける半身に手を伸ばし、無意識のうちに瞬間移動し彼女の体を抱きしめた。
『…ごめん…酷い事言ってごめん。お願いだから…居なくならないで…諦めないで…貴方が嫌いで一人になりたいんじゃないの…私と貴方…一人ずつになって…二人で一緒に色んな事したかったの…』
『……一人ずつ?』
『…そう。一人ずつ。二人で一人じゃなくて、私と貴方の一人ずつ。何でも一緒じゃなくて、お互い違うものがあって、その違いを楽しみたかった。何でも一緒じゃ私達の世界は一つしかないじゃない?そうじゃなくて、私と貴方…各々の世界。二人なら二つの世界を楽しめるわ。二人で一人だと一つの世界しかない。
…そんなの勿体無いじゃない?』
『……違いを楽しむ…私と貴方の二つの世界…』
『そうよ、二つの世界。それに、私と貴方以外の誰かにも世界がある。アンゼスだってそう。ここはアンゼスの世界。ここには私達以外にも沢山居たでしょ?彼等にも彼等の世界があるはずよ。それって凄くない?皆が自分の世界を持ってる。ワクワクしない?全部楽しもうと思ったら、あの暗い場所でじっとなんてしてられないでしょ?』
『……自分の世界………そう…そうね…見てみたいかも…』
『ね?消えちゃったらそんな楽しそうな世界を見れなくなるわ!』
『……それは…嫌…だわ…』
『でしょ?だから消えたいなんて思わないで!
先ずは貴方の世界を教えて?貴方が想像する世界を。そして、私の想像する世界も知ってほしい。
私と貴方の世界は違ってて良いの。貴方の想像は貴方だけのもの。誰を気にするでもなく、貴方の自由に…思う様に想像出来るのよ。どう?考えただけでワクワクしてこない?』
『……違っててもいい…気にしなくていい…そうね…少しワクワクする…かも…』
『うん!ワクワクするね!』
『……ワクワク…する…貴方に教えてあげたい…消えたくない…私の世界を…貴方の世界を…見たい…』
『うん…うん…私達の世界の話をしましょう…ぅぅ…
だから…消えないで!!』
『…私は…消えたくない』
パァーっと二人の体を白い光が包む。
半身の消えかけた体がハッキリと輪郭を取り戻し、生気を失っていた目に光が宿る。
ボロボロだった体が綺麗になり、表情も明るくなる。
半身は漸く「自立」を果たした。
『…あっ!ねぇ、貴方…名前付けたのね。オアリス?だっけ?それは貴方が考えたの?私も名前欲しい!』
『私のオアリスって名前はアス…アンゼスが付けてくれたのよ。貴方にも名前がいるわね。アンゼスに考えてもらおう!』
『え〜、アイツが考えたの?』
『そうよ。なかなかいい名前でしょ?私も気に入ってるの。貴方もアスに付けてもらおうよ!』
『う〜ん…どうしよう…』
『名前欲しいの?私がいい名前付けてあげるよ!
其方はよく泣くからぁ………うぇ〜ん…うぇ〜ん…
よし!じゃあ、其方は今から「ウェネス」だ!
…ウェネス…うん…いい名前だ!』
『『…ウェネス』』
『どうだ?良いだろう?』
『…意味は?』
『意味?そうだなぁ…うぇ〜んって泣くし、二人は元は一つだからその繋がりを残すには同じ文字があれば良いかと思って「ス」を最後に付ける…それでウェネス…どう?良いでしょ?』
本当は…うぇ〜んと泣く=哀しい…それにネス(ness)を付ける事で「哀しみ」とした。
ネスの部分だけそれっぽい理由に変えたのだ。
『…うぇ〜んからのウェネスってどうなのって思うけど、まぁ…オアリスとの繋がりで最後にスってとこは気に入ったわ。貴方はどう思う?』
『……ウェネス…ウェネス…うん、良いと思う。最後のスがお揃いね♪』
『…お揃い…素敵…ウェネス…オアリス…ス…ふふ』
『お気に召された様で何より。では、改めて…
ウェネス、宜しく!』
『……よ、宜しく…』
『ウェネス!私からも宜しく!!』
『…オ、オアリス、宜しく…何か照れるわね…』
『ふふ…照れてるウェネス…カワイイ♪』
『か、からかわないでよ!』
『からかってないわ!ホントにカワイイんだもん。
う〜ん、ウェネス〜♪』
『ちょ…ちょっと、やめて、恥ずかしいじゃない!』
『恥ずかしくな〜い♪……チュ』
『…っ!!ちょっと!!』
『う〜ん…カワイイ!!』
『や、やめなさいよ!!』
オアリスの半身は「ウェネス」として「自立」した。今後「独立」を果たした時にどんな変化が起きるのか…新たな創造神が生まれるのかは分からない。
それでも…「自立」を果たした事で「創造神」ではないが「神」に相当する力を持っている事は確かだろう。
それが、イレスと同等かそれ以上かは分からない。
これで、青い髪の女性体…ウェネスの件は一先ず決着が着いた。
彼女達の今後については、また改めて話し合う事になるだろう。
一連の騒動を見ていた神界の者達は、この出来事をどう思い何を感じたか…それは彼等の今後に大いに影響する…とアンゼスは見ている。
『今後が楽しみですね…』
やっとウェネスの名前出せた〜!!青い髪の女性体って長いから早く名前出したかったのに、流れ的に最後になってしまった。長かったぁ…(T^T)
※sadnessにしなかったのは単純に響きと言い易さ…と、神様達の名前には一応の拘りがありまして…(^∀^;)ゞ
アンゼス イアレス ウェネス …… オアリス
お察し頂けましたでしょうか…( *´艸`)
これで第三章本編は一先ず終了です。第四章に入る前に閑話を幾つか挟む予定です。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
今後もどうぞ宜しくお願い致します(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)




