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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第一章 動き出す神界
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第7話 私はイデス

お読み頂きありがとうございます。


今回はイデスの回です。



『黒いのっ!其方は「イデス」だ!』


敬愛するアンゼス様から名前を付けて頂いた。


……嬉しい


それが先ず始めに浮かんだ気持ちだ。

じんわりと胸が温かくなり、不思議とストンとハマった気がした。そして、とても大切に感じた。



イレス様からアンゼス様のお話は散々聞かされた。

初めは特に何も感じなかった。ふーん…と思う程度だったのが、いつからだろう…その話を聞くのが楽しみでワクワクする様になったのは。



ある時、いつもの様にイレス様から指導を受けながらアンゼス様の話になった。

正直、またか…と思った。

でも、その時の話は何故か興味が湧いた。理由は今でも分からないが、その時の話は胸の奥が苦しくなる様な…そんな感じがした。



『アンゼス様は、今でこそいつも楽しそうにしておられるけど、初めからそうだった訳ではないのです。


あの方は頭で想像したもの…創造と言った方が正しいのかな。思い浮かんだものが自分の意思に関係なく、具現化してしまうのです。しかもそれは「無」から「有」を創り出すのです。凄い事だと思いませんか?』


話初めはそんな感じだった。

確かに凄い力だと思う。現に自分もアンゼス様が創ったのだから。生みの親って感じ?でも、それだけだ。頼んだ訳ではない。


『でもね……』


そう言ってから、イレス様は少し悲しそうな顔をして目を閉じた。


『でもね、あの方は一人ぼっちだったんです。私が生まれるまで…ずっと……そう、ずっと……』


言葉が途切れたのでふとイレス様を見ると、目に涙が溜まり零れそうだった。

イレス様のその姿がとても美しい…と思った。

表情は悲しそうで、涙を零さないようにしているのか少し上を向き視線は遠くを見ている様。

そんなイレス様を美しいと思うのは変な気がしたが、目が離せなかった。


『アンゼス様はね…初め…気が付いたら自分がいて…いつ、誰が、何の為に自分を創ったのか分からなかったそうです。自分がいるそこがどこで、何の為に自分が存在しているのか分からない……聞きたくても、自分以外誰もいない。誰も答えてくれない。そんな中にずっと一人…たった一人で長い時間、想像も出来ない位長い時間一人だったんです。


貴方は…貴方なら耐えられますか?

私には無理です。でも…あの方は耐えた…そして乗り越えた……本当に凄い方です。』


自分の傍にはいつもイレス様かイネスがいる。生まれて直ぐは今の様な感情もなく…動ける様になってからも、言われた事を言われた通りに熟すだけ。それが当たり前だった。


それが徐々に何かしら思う様になり、面白いつまらないとか、面倒臭い、うるさい、しつこい…余り良い感情ではないけど、無関心ではなくなった。


でも、それらはイレス様やイネスがいたから芽生えたもので、二人がいなければ自分は今もまだ無関心のままだっただろう。


それって楽しいのか?

……楽しいって何だ?


あぁ……そうか。

楽しいはよく分からないけど、分からない時はいつもイレス様に聞いて、イレス様がそれに答えてくれてたな。そうゆうのが当たり前だったけど、アンゼス様にはその当たり前が無かったのか。


ずっと一人で……


「孤独」だったんだな…………


『アンゼス様は貴方達を創る時、最初は私と同じものを創ろうとしたんです。でも、全く同じでは見分けがつかないからと、私ではない貴方達を創ろうと言ったのです。まぁ、実際の言葉は違いますが、それと同じ意味合いはあったと思います。


それで好きな色は何かと聞いたら、イレスの色だと仰って…ふふっ』


何だ?惚気か?


『なので、私の色以外は?と聞いたら白と黒だと仰ったんです。その二つの色は自分にとって特別、始まりの色なんだと。』


『ぇ……白と黒……特別……始まり……』


『そうです。思わず嫉妬してしまいました…ふふっ』


あ…今のちょっと本気だ。


『ですから…貴方達は特別なんです。

貴方達は「意思」が定着してまだそんなに時間が経っていないから、よく分からない話かも知れませんが、覚えていてほしいんです。


貴方達が誕生したのは、アンゼス様が望み、特別で大切な存在なのだと。

…勿論、私も同じですよ。


ですから、先ずは自分を好きになって下さい。

そして、自分以外にも興味を持ち、目を耳を傾けて下さい。そうしたら、貴方の貴方達の世界はどんどん広がります。


楽しいの意味も分かる様になりますよ♪』


あ、バレてた…。


それから私は、イレス様の話を真剣に聞くようになり、沢山質問もした。

分からない事は何でも聞いて、イレス様でも分からない事は一緒に考え答えを探した。


『なるほど…そうゆう見方もあるんですね。とても興味深いです。』


私の質問に対してイレス様がそう仰って、嬉しそうに笑った時がある。

何故嬉しそうなのかと聞いたら…

アンゼス様と二人だった時、イレス様の質問にアンゼス様が嬉しそうに笑った事があり、アンゼス様の気持ちが分かったと。

その時の気持ちが今の自分と同じだったんだろうと、余計に嬉しく思う…と言われた。


イレス様と話すのが楽しかった。

イネスは…うるさいし面倒臭いと思うけど、嫌ではない。イネスと話した後にイレス様と話すと、楽しさが倍に感じるから、あいつの喧しさにも意味があるんだろう…多分?



とにかく、私はイレス様もアンゼス様も大好きになった。尊敬もしてるし、お二人の役に立ちたいと強く思う。少なくとも、イネスよりは役に立ちたいし近くにいられる様になりたい。


頑張ります!!




『ちょっと!イデス!!

聞いてんの?

何とか言いなさいよ!!』


『……ッチ

……ソウデスネ』


『あっ!またその言い方!!ムカツク〜ッ!!』




こうして、仲良く(?)賑やかに作業は進んでいくのでした……




イネスとイデスは結構仲良しです(笑)


白のイネスは外見こそ女性でイレス似の美人さんですが、性格は明るく元気。黙ってたら慈愛の女神に見えるのです。

黒のイデスは口数が少ない事も相まってクールガイ。

内面はなかなかアツい奴なんです。但し、物言いはクールです(笑)

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