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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第三章 新たな創造神
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第十五話 二人の神


『イレス…』


『…此処はお任せ下さい、アンゼス様。』


『……頼んだよ。』


アンゼスは事の一部始終を見ていた。「人型」に分類される三人と一羽と一頭と共に。


イアレスとブルートの顛末は、彼等にとって他人事ではなかった。創造神のイアレスは違うかも知れないが、イアレスが創ったブルートは自分と同じ「人型」であり「創造物」だから…。


アンゼスが立ち去った後、誰も言葉を発する事が出来ずにいた。

思う事は各々違えど、自分も何かのきっかけで消滅するのだと、その事実を目の当たりにしたばかりだから尚更だ。


最初に口を開いたのはアデスだった。


『ドラゴン…カッコ良かったですね…』


それでも、これが限界だった。

いつもなら、何かしらの言葉が返ってくる筈が、誰もそれに続けない。アデスもそれはよく分かっているので、皆の無反応に対して何も思わない。


『……皆さん、レオン殿は暫く動けないので私が此処に残ります。貴方達は…自分の神殿に戻りなさい。』


『『『……はい…』』』


皆、それしか言えない。寧ろ、戻れと言われ内心有り難かった。このまま此処にいたら、悪い事ばかり考えてしまい動けなくなりそうで、動けるうちに戻れと言われて助かったと皆が思った。



イネスとイデスとアデスは、トボトボと下を見ながら歩いていた。

ドラゴンに生まれ変わった事より、二人が消えてしまった時の状況が頭から離れない。


自分が消える時もあんな風になるのだろうか…

あんな風に綺麗に終われるのだろうか…

直ぐに生まれ変われるのだろうか…


そんな事ばかりが頭を占め、普段のように前向きな…次の事を考える気になれなかった。


それはイレスもまた同じだった。


『……私もいつかは…その時はせめて、悲しませたくはないですね…』


皆が皆、辛くともこれが現実だと受け止めてはいる。ただ、信じたくない…消えたくない…と、心は拒否していた。




アンゼスは彼等とはまた少し違う気持ちだった。


『……私も消える時はああなのか?

……私が消すのとはまた違うという事か…私が消した時はあんな風にはならなかった。

……もしかして、あの「女性体」の力なのか?』


アンゼスは、消える事への悲しみや恐怖は無く、起きた現象に対して考えていた。

「創造神」たるアンゼスには、まだそこまでの「感情」が育っていないとでも言うか、二人がいなくなって寂しい気持ちはあるが、それよりも疑問の解消に興味が向いていた。


そして、イアレスを鎮めた「女性体」の存在にも興味が湧いた。


逃げ出した方の「青い女性体」には、やり取りを見ているうちに興味が無くなっていた。彼女の根本がアンゼスの最も嫌う「考えない」「自分の意思を持たない」性質だったからだ。


それとは逆に「赤い女性体」は、自分の意思がハッキリしていて、考え、行動を起こす…アンゼスにとってとても好ましいものだった。


その「好ましい」という気持ちがどういったものかは分かっていないが、少なくとも彼女とじっくり話し合いたいとは思っている。


それと…「好ましい」という気持ち以外にも気になる部分があった。


何処から現れたかは分からないが、赤い女性体は「体内箱庭」からこの神界に入って来た事は確かだった。


アンゼスは箱庭内部の状況も神界全体の事も、全て勝手に情報が流れ込んでくる為、赤い女性体が宇宙を彷徨い地球に辿り着き、そこで実体化した事までも知っていた。


その後箱庭の亀裂から神界に入り込んだ事は分かっていたが、地球に居た彼女がどうして箱庭の亀裂に触れる事が出来たのか…それが分からない。



そして、あの瞳の色。アンゼスと同じ金色をしていた事も、アンゼスにとって不思議だった。


イレスは自分がそのように創ったからだが、彼女は違う。そうすると、もしかしたら自分と同じ「創造神」なのでは…と思ったのだ。


イアレスは金色の瞳をしていなかった。初めからそうなのかは分からないが、恐らくブルートに力を半分譲渡したからだろうと思っていた。それも、あくまで仮説であって証明には至らなかった。


それ等を思うと、アンゼスは早く赤い女性体と話しをしたくて堪らなくなる。


アンゼスは、意識を赤い女性体に集中して現在地を探る。


『…………見つけたっ!!』


アンゼスは瞬間移動した。




『……おっかしいなぁ〜。こっちに気配は感じるんだけど、何処行ったんだろうあの子。』


『何か捜し物かな?』


『……キャッ!!誰!!』


『あ〜、驚かせてごめんね。私はアンゼス。

……創造神だよ。其方はだぁれ?』


「あの子」の気配に集中してキョロキョロしながら歩いていたせいか、その他の事に意識が向いておらずアンゼスが近くにいる事に全く気付いていなかった。


『びっくりした〜。こちらこそ、ごめんなさい。

えっとぉ、アンゼスさん?初めまして。私は…』


『其方は創造神なの?』


回りくどい言い方があまり好きではないアンゼスは、直球で聞いた。


『え?創造神?何それ?』


『う〜ん、想像したら創造出来ちゃう、凄い神様かな?』


『ふはっ…自分で凄いって言っちゃう?随分と自信家なのね、貴方。

私がその創造神とかいうやつかどうかは分からないけど、ちょっと前にそれっぽい事が出来るようになったのは確かね。待って……って事は、やっぱり私神様だったりする?その創造神?とかいうやつなのかしら!』


『ハッキリとは分からないけど、可能性はあるね。

…そうだ!試しに何か創ってみてよ!』


『何かって言われてもなぁ…』


『じゃあ、こうゆうの創れる?』


アンゼスはお気に入りの翼を背中から出した。


『わぁー!凄いっ!!何それ、どうなってるの?

見せて見せて!……ふ〜ん、背中から翼が…どうやれば出来るんだろう?』


『それじゃあ、自分の背中に翼が生えるイメージして…「うーーーってしてバンッ!!」みたいな感じに!』


『何それ…ふふ。いいわ、やってみる!

…えっと……うーーーってしてバンッ!!』


すると彼女の背中から、アンゼスのものとそっくりな翼が生えた。


『キャーーーーッ!!凄いじゃん私!出来た!

アンゼスさん、見てよ!翼が生えた!!』


一発で翼を創れる時点で「創造神」なのは確定だろう。アンゼスは無性に嬉しくなった。


『凄い凄い!!其方、本当に創造神なんだね♪

他にも色々創ろうよ!』


『あ〜、ごめんなさいアンゼスさん。

私やる事があって、今はそんな時間ないのよ…。

残念だけど、また今度に…』


『ええ〜、やる事って何?手伝おうか?

あ、もしかしてさっき逃げた「青い女性体」捕まえるとか?それなら場所分かるよ。一緒に行く?』


『えっ!!ホントに?……ってか、何で全部分かっちゃうかなぁ…ハハハ』


『だって私は創造神だよ?少なくともこの神界の中の事で分からない事はないよ!』


『何で?』


『何でって、う〜ん…神界は私が創った…から?』


『ぅええ〜!ホントに?此処アンゼスさんが創ったの?凄いっ!!』


『でしょでしょ?私って、凄いでしょ?

それなのにアデスときたら、全然私を凄いと思ってないんだから…ブツブツ』


『いやいや、ホントに凄いよ!……ってか、アデスって誰?アンゼスさんの他にも神様がいるの?』


『神様は…いないかな。でも、私以外にも「人型」は三人いるよ。あ、アデスは黒大鷲だけどね♪』


『え?三人いる?黒大鷲?

……あ、そうだ!さっきのドラゴン…じゃなくて、めっちゃ怒ってた人はその三人のうちの一人なの?』


『あぁ、イアレスは違うよ。あとブルートも違う。その二人以外に三人って事だよ。後で紹介するよ♪』


『わぁ、ホント?嬉しい!!……じゃなくて、私は自分の事先に済ませなくちゃ…』


『いいよ!手伝うから、さっさと終わらせよう♪』


『え〜!あぁ…うん…まぁ、そうね。お願いしようかな…何か…ありがとう…?』


若干不安ではあるが、一人より第三者がいた方が良い気がして、初対面だけど甘えてみようと思った。


『よーし!それじゃあ、出発〜!!』


『えっ!!ちょ、ちょっと〜!!』


予告無しにアンゼスは瞬間移動した。



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