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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第三章 新たな創造神
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第十四話 再会


私は岩山で今起きている事に驚いた。


『……消えた?…え…何がどうなってるの?あの人達は誰?……いえ、それよりあの子は?気配はまだするのに……あ!あの子はまだ実体が無い…?どうやって見つければ…』


近くに気配は感じるのに実体がないあの子を見つける事が出来ない。もし、さっきの出来事にあの子が関わっていたらと思うと、恐ろしくなってくる。



『見〜つけた♪』


『……っ!!』


姿は無いけど確かにあの子の声がした。声の方に振り向くと、黒っぽいモヤがゆらゆら揺れている。


『……貴方なの?』


『やっと見つけた。何よ…暫く見ないうちにそんな姿になったのね?狡いわ、貴方だけ。私も貴方と一緒がいい!!』


そう言うと、目の前のモヤが形を変えていく。

そして人型になったと思ったら、私に似た姿の「女性体」が現れた。


『ヤッター!成功したわ!これで私達はお揃いね♪』


自分の姿形に似た彼女を見て、気持ち悪いと思ってしまった。

しかし幸いだったのが、全体的に似てはいるが色や細かい部分は違っている。


髪色は赤ではなく濃い青…群青色に近い?黒が混ざったような…少し陰気な感じがする。瞳の色も自分が金色に対してあの子は髪色と同じ濁った群青色。

体つきも私より細身で華奢…儚げな印象を受ける。色味は違えど顔つきだけは私とよく似ているから、双子若しくは姉妹と言っても誰も疑わないだろう。


『…相変わらず私の真似するのね。……変わってなくてある意味安心したわ。』


『ねぇ…私達やっぱり一つに戻りましょうよ。私、貴方がいないと寂しいの。ね?お願い!』


『……嫌よ。そんなの絶対に嫌!!』


『……何でよ…ねぇ、何で?何で私を拒むの?私の何が気に入らないの?今までずっと一緒にいたじゃない。仲良くやってきたじゃない?それなのに…どうして?ねぇ、どうしてなの?!』


『はぁ?仲良くやってきた?そうね、始めはそうだったわ。でも、途中から私は貴方に嫌気が差してた。それに気付かなかった?ホントに気付いてなかった?』


『……何か途中から機嫌が悪いなぁとは思ってたけど、そのうち元に戻ると思ってたもの。』


『……だからダメなのよ。貴方はいつもそう!考えようとしない。疑問に思っても聞かない、考えない、諦めて放り出す…最後は私の言いなり。それの何処が楽しいと思える?』


『だって私が意見して貴方と違ったら…貴方は私の事嫌になるでしょ?嫌いになるでしょ?そしたら私…悲しいもの…だから私は…』


『いつ私がそれで貴方を嫌いになると言った?私に聞いた?いいえ、貴方は私に何も言わなかった。喩え喧嘩になっても、話し合えばいいじゃない!私達は二人しか居なかったんだから!!

意見も言わない、喧嘩も出来ない、ただ言いなりの貴方と居て何が生まれる?何も生まれないわ。』


『……そんな…私はただ貴方とずっと仲良く…』


『だから、その仲良くって何なの?貴方が思う仲良くと私が思う仲良くは違う!少なくとも私は!

……私は喧嘩してもいつの間にか仲直りして、またお互いの気持ちや考えを言い合える…そうゆうのが仲良くなの。』


『……そんなの言ってくれなきゃ…あ…』


『そうよ…言わなきゃ分からないわよ!なのに貴方は…一人で勝手に決めつけて、放り投げた。だから私は…一人になりたかった。貴方が私に対して決めつけたのと同じように、私も自分の思う通りに…一人で好きに考えて行動したかった…それだけよ。』


『……じゃ、じゃあ、今こうしてお互いの気持ちを話したから、これからは上手くやっていけるでしょ?だから私達また…』


『……嫌よ。今更ね。それに私…一人になって自由に行動して分かったの。考えて行動する事の楽しさが…だからもう、貴方とは居られない。』


『そんな…これからは私も、貴方と一緒に考えるわ!それに一緒に行動もする!そしたら楽しさも二倍でしょ?素敵だと思わない?ね?だから…』


『……無理よ。』


『どうして?』


『……貴方は寂しかっただけ。一緒にいたいのは「私」だからじゃなくて、傍にいてくれるなら誰でも良かったのよ。現に貴方…彼処にいる彼に擦り寄ったでしょ?私の「代わり」を彼に求めて、彼に何かしたでしょ…彼から「孤独」と「怒り」が溢れてる。それと…「哀しみ」もね。』


『私は何もしてないわ!彼が勝手に怒っただけで、私は何も言ってない!!』


『そう……何か言ったのね…だから彼はあんな風に…』


『そ、そんなの、私には関係ないじゃない!彼が何で怒ったのか知らないけど、私は寂しそうにしてたから声をかけただけよ!それで急に比べるなー!って怒り出して…』


『…比べるな?貴方、彼に何て言ったの?』


『…え?私は彼にどう思う?って聞いたら知らんって言って全然考えてくれないから、それで腹が立って…貴方ならもっと考えてくれたのに…って、だから、貴方じゃダメねって言ったの。それの何が悪いの?

そうよ!私はあの時貴方の大切さに気付いて、確信したのよ。やっぱり貴方がいなきゃダメだってね。』


『……そんな事…それで…あぁ、何となく彼の状況が分かったわ…辛かったでしょうね…』


私はあの子の話しを聞いて、彼が何故我を忘れる位激怒したのか何となく状況を理解した。


『誰かと比べられるのは、誰だっていい気はしないわ。しかも、落ち込んでいる時なら尚更ね。

貴方は本当に何も考えないのね…もうウンザリよ…』


私は膝を着き茫然と地面を見つめ涙を流す彼の傍に行き、思わず抱きしめた。


『…辛かったわね…悔しかったわね…』


「大丈夫」や「元気出して」なんて、そんな言葉は何の慰めにもならない。彼の「哀しみ」と「後悔」と「虚無感」を受け止め肯定してあげる事しか思いつかなかった。


彼は徐々に正気に戻っていき、顔も見ていない私に縋るように泣き崩れた。

彼の「哀しみ」が痛い程伝わってくる。


彼が泣いてる間、私はずっと抱きしめ背中を摩った。

すると段々彼の腕から力が抜けてきて、泣き疲れた子供のように眠った。


眠った彼をそっと地面に寝かせ頭を撫でてやると、私の手からほんのり赤みがかった白い光が浮き上がり、彼の体を包んだ。


彼の苦痛の表情が次第に解れて、穏やかな顔つきに変わる。私は彼の目尻から流れる涙をそっと拭い、額にキスを落とした。


『……ゆっくり休んでね…』


そう願って…。


すると何故か、彼の体からキラキラと白い光の粒子が溢れ出した。体全体をその光の粒子が覆うと、金色に光りだし突然空へ一直線に放たれた。


上空を覆っていた暗い雲を突き抜けたその光は、雲の上で弾けたように見えた。

暗い雲が徐々に流れ消え、空から金色の粒子が降り出した。その光景は酷く幻想的で厳かに感じ、突然の事にも関わらず見蕩れてしまう。


暫くボーッとその光景を眺めていると、目の前の大きな穴がゆっくり塞がっていくのに気付く。


『……あぁ…彼の心の憂いは晴れたみたいね…』


何となくそんな気がした。


穴が完全に塞がると、穴の向こうに聳え立つ一際大きな山の頂上から「何か」が飛び出した。


『ギュェーーーーーーーーーッ!!』


ドラゴンだ。突如、真っ黒い巨大なドラゴンが噴火口から飛び出した。


ドラゴンは上空を旋回し、私を見つけるとゆっくりこちらに向かって降下してくる。


私は不思議と怖いと思わなかった。

私の後ろにいたあの子は、恐怖のあまり悲鳴を上げて逃げ出した。


私は無意識に両手を広げ、ドラゴンが降りて来るのを待った。


ドスンと砂煙を上げ私の目の前に降り立ったドラゴンは、じっと私を見つめゆっくり頭を下げる。

そして、私の顔の前に自分の顔を寄せ目を合わせる。


ドラゴンの瞳は黄色に近いオレンジ色で、瞳孔は黒い。口は大きく牙も鋭いが、表情は優しい。

グルル…と喉を鳴らし、大きな体に似合わず猫のような愛らしさを感じ、思わず大きな顔を撫でてしまった。


ドラゴンは私の手に自分の顔を擦り付けるように差し出し、グルル…グルル…と気持ち良さそうだ。


『『……ありがとう…』』


二つの声が聞こえた気がした。

ドラゴンの顔を見ると、目に涙を浮かべていた。

その涙はとても綺麗で、思わず手を伸ばす。すると、その涙はキラリと光ったと思ったら、一粒の宝石に変化した。


『……これは…』


まるで私にあげるとでも言うように、自分の鼻でクイクイと私の手を押すドラゴン。


『……くれるの?』


コクンと頷きもう一押しする。


『…ありがとう。大事にするね。』


私はその宝石を両手で握りしめ自分の胸の前に持ってくる。すると、突然宝石がオレンジ色に光りだしたので、慌てて手を開くとその宝石は光を帯びたままフワッと浮かび、私の胸の中に吸い込まれた。


『…えっ!!』


ドラゴンはそれを見届けると、硬く大きな翼をゆっくり動かし飛び立った。


『……え…何がどうなったの…?』


よく分からない状態に頭は混乱したが、ドラゴンが消えた彼等だったのだろう…という事は何となく察した。そして、消えたあの宝石は彼等のお礼なんだろうと。


何だか胸の奥がホッコリする。

彼等は姿は変わってしまったが、きっと分かり合い一つになれたのだろうと思うと、我が事のように嬉しい気持ちになる。


『……よし!あの二人はきっと大丈夫ね。

私は私の事を解決しなきゃ…』


私は、逃げ出し姿を晦ました「あの子」を探す事に意識を戻す。



『あの子がまた何か仕出かす前に捕まえなきゃ…』



ドラゴンになった二人のような結末は望めないが、出来ることなら穏便に解決したいと願う。




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