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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第三章 新たな創造神
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第九話 各々の思い


『イアレス!お前、いい加減にしろよっ!!』


『何だよ、いきなり怒鳴って。』


『何で直ぐ壊すんだよ!アンゼスが言ってただろ。

壊す為じゃなく創る為に想像しろって!想像する前に壊したら何にも創れないじゃないか!!』


『はぁ?お前、俺じゃなくてアンゼスの言う事聞くのかよ…』


『……はぁぁ。そうゆう事言ってんじゃないだろ!

折角創ったもんを、次の段階にする前に壊すなって言ってんだろ?アンゼスは関係ねぇ!!』


『……此処に来てから思ってたんだけどよぉ…お前…俺の事見下してんだろ。同じ創造神なのに、アイツと比べたら俺は大した事ないって…そう思って見下してんだろっ!!』


『はぁ?被害妄想も大概にしろよ!!何だよ、それ?俺がいつお前を見下したんだよ!!』


『うるせぇっ!いつもお前が俺を見る度、その目が言ってんだよ!コイツは大した事ないってな!!』


『………んだと…もっぺん言ってみろよ!俺がいつそんな事言ったんだよっ!!』


『うるせぇうるせぇうるせぇーーーっ!!』


イアレスが怒りを爆発させる。すると、イアレスの体から黒い光が放たれ城を吹き飛ばした。


「怒り」という感情が、イアレスの破壊の力を覚醒させてしまったのだ。元々持っていた「破壊力」が底上げされ、ブルート以外のものを消し去った。


幸いアンゼスが張ったバリケードのお陰で他の区域は無事だったが、バリケード内部は何も無い更地と化してしまった。


『お前…何やってんだよっ!!

……俺達の家が…無くなっちまったじゃないかっ!!』


ブルートも怒りが爆発した。が、体から放たれたのは黒ではなく白い光だった。


ブルートのその感情は「怒り」ではなく「悲しみ」だった。そしてブルートの体から光が収まると、ブルートの黒かった髪が深い青色に変わっていた。

瞳の色も髪と同じ深い青色に変わり、その目には涙が溢れている。


イアレスはブルートのその姿を見て驚き、視線を逸らす。そして、わなわなと体を震わせ拳を握りしめ雄叫びをあげた。


『ア"ァァァーーーーーーーーーーーーッ!!』


イアレスの足下がドカンッ!!と大きな音と共に、深く抉れる。大量の砂煙が舞い上がり、ブルートの視界を塞ぐ。

砂煙が収まりブルートが目を開けると、そこには深く底の見えない大きな穴が空いており、イアレスの姿は消えてしまった。


『…っ!!イアレス!イアレス!何処だイアレス!!イアレスーーーッ!!』


ブルートの呼びかけに返事は無い。

ブルートは目の前の大きな穴の側まで歩き、膝を着いて一人項垂れる。


『……イアレス…イアレス…俺を一人にするなよ…イアレス…何処だ…イアレス…ぅぅぅ…』


ブルートは自分があんな事を言ったせいでイアレスが居なくなったと思い、自分を責め悔やんだ。




一部始終をアンゼスとイレス、イデスとアデスが

見ていた。


『……アンゼス様、イアレス殿は何処に…?』


イデスが訊ねる。


『……暗闇に籠ってしまった…』


アンゼスはとても悲しそうな顔で答えた。


『……暗闇…まさか!』


『……そうだ、イレス。始まりの場所…とでも言うのかな。私が…一人ぼっちだった…あの真っ暗な暗闇の中だ…。』


『……そんな…』


イレスは、彼はもう出て来ないかも知れないと思うと同時に、もしアンゼスが似た様な状況になったら…と考えてしまい恐ろしくなる。


『……アンゼス様、どうしたらイアレスは出てきますか?』


イデスはお目付け役として、陰ながらイアレスとブルートを見守っていた為、少なからず情が湧いていた。それだけに、こんな形で居なくなるのは寂しいと感じていたのだ。


『…………本人が出たいと思うしかないだろうな…』


『『 …………………。』』


イレスとイデスは言葉が出なかった。多分そうだろうと予想はしても、あの状況からして出てくるとは思えなかったからだ。


『…………え?じゃあ、出てきたいって思わせればいいんですよね?あの穴の周りでどんちゃん騒ぎでもして、外に興味持たせればいいんじゃないです?』


なんでもない事の様にアデスが軽口を叩いた。


『……アデス、其方……ありかも知れないな、それ。

其方はホントに偶にいい事を言うな。』


『『……えっ!!』』


『…偶にって…まぁ、俺だったら外が楽しそうだと気になって見てみたくなるし、大抵がそうじゃないですか?』


『……いやでも…あのイアレスが?』


『……結構意地っ張りで捻くれてますからねぇ…』


『…簡単ではないけど、根気強くやれば可能性はゼロではないと思う。ただ、ブルートの協力も必要だけどね…。』


『『『……あぁ…』』』


『彼を立ち直らせる事が先決ですね…』


『そう。さすがイレスだね!』


『え!アンゼス様、俺の事は褒めてくれないんですか〜!?』


『何で其方を?』


『だって、イアレス救出作戦提案したの俺じゃないですか!!』


『アアソウデスネ…』


『うわっ!何その言い方、酷いっ!!』


『其方の真似しただけだ!』


『まぁまぁ…その辺にして、一先ずブルート殿をどう説得するか相談しましょう?』


『さすがイレス〜♪』


『……アアソウデスネ…』


『何だ!アデス!!』


『ナンデモアリマセン…』


『…フンッ!!』


アンゼスとアデスのやり取りは相変わらずだが、そこに互いへの信頼が感じられイレスとイデスは微笑ましく思う。



ブルートは膝を着いたままで、穴の中を茫然と見つめていた。するとノロノロと立ち上がり『イアレス…』と呟きながら一歩踏み出した。


それに気付いたアンゼスが、ブルートの元へ瞬間移動した。ブルートの腕をガシッと掴み、フラフラな状態の体をアンゼスに向けさせる。


『……何してんの?この穴に飛び込んだってイアレスは居ないし、そんな事しても会えないよ。

イアレスが創ったその体、そんな簡単に捨てるの?』


『……っ!!…………イアレス…』


『……悲しいのは分かるけど、其方がやろうとしてる事は無駄な事だし、それこそイアレスを馬鹿にしてるのと同じじゃない?

……ブルート、其方を創った時のイアレスの気持ちが分かる?私には分かるよ。其方が初めて話した時の事、自分以外の存在がいる…それがどれだけ嬉しいか…どれだけ救いだったか…其方に分かるかい?』


『…ぅぅ…イアレス…ぅぅぅ…』


『……彼に会いたければ、其方が願えばいい。戻って来いと強く想えばいい。そしたらきっと…イアレスに届く筈だ。其方がイアレスを必要とすれば…彼は必ず戻って来る。』


『……イアレス…俺にはお前が必要なんだ…だから…戻って来い…二人でまた城を創ろうぜ…なぁ、イアレス…』



ブルートはその場で蹲り、泣きながらイアレスを想った。それは、ずっと続いた。



『……イデス様、どんちゃん騒ぎは…』


『……今じゃないだろ。』


『……アデス…』


『………あの程度では…届かないだろうな。

……ただ悲しむだけでは…届かないし響かない…』


アンゼスの言葉は重く、そして切なかった。



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