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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第二章 神界と箱庭の世界
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第十話 アデスと亀レオン⑥

お読み頂きありがとうございます。


アンゼスの怒りにより、神界に変化が訪れます。


海で一悶着あった頃、イレスは湖に来ていた。


『おや?あれは…』


『……えいっ!』バシャッ!

『ふぅ……よし!』ペチャペチャペチャ…

『もう一回っ!……えいっ!』バシャッ!


一匹の魚が湖岸で何やら独り言を言いながらもがいていた。溺れているのか何なのか分からなかったが、助けた方がいいのかとイレスは岸に上がった魚に手を差し伸べた。


『あ!イレス様!触らないで!!』


『え?でも、大丈夫ですか?』


『大丈夫です。もう何度もやってるので!』


そう言うと、その魚は自力で水の中に戻った。


『……凄いですね。貴方はずっと一人でこれを?』


『はい。そうです!まだまだ時間掛かっちゃうんですけどね…ハハ』


『……どうしてこんな事を?』


『以前、日照りで暑くなって湖の水が減ったんですが、その時丁度アンゼス様が此処に来られて…お叱りを受けたのです。

でも、アンゼス様の言葉がずっと頭に残ってて…』


『……どんな言葉だったのですか?』


『湖面に上がりたくないなら底に居ればいい。嫌なら別の場所に行けばいいと言われて…今までそんな事考えた事もなくて…水が無いところで暮らすなんて…って思ったんですけど…。

空を飛んだり地面を歩く鳥や虫を見て、実は羨ましかったんです。僕は水の中…湖の中しか知らないなぁ…もっと違う場所も見てみたいって思って…それで…』


『……そうでしたか。』


良かったですね、アンゼス様…と呟き、イレスは微笑んだ。


『貴方の頑張りはきっと何かの「きっかけ」になる筈です。体を壊さない様…頑張って下さい。


それから……考えるのも想像するのも自由です。それが「きっかけ」となり、新しい「何か」に繋がると私もアンゼス様も知っています。自分の気持ちを大事にして下さいね。』


『あ、ありがとうございます!!頑張ります!!』


僕は陸に上がろうと決めてから、ずっとこれを続けてきた。でも誰も理解してくれなかった。皆、僕が暑さで頭がおかしくなったとバカにして、今では口もきいてくれなくなった。それでも僕はずっと一人でこれを続けてきた。


そんな僕のやりたい事を初めて認めてくれた。頑張れと応援してくれた。それがこんなに嬉しいだなんて…。


『僕は絶対陸に上がってみせる!』


その魚の目に光が宿り、体がキラキラと光る。

決意を新たに、その魚は湖水から陸へ飛び出した。


暫くしてその魚の念願は叶い、彼は陸に上がり水の中以外の場所でも生きられる様になった。


鰭を上手く使い這いつくばっていた事で、鰭が強化され変化しやがて手足となる。顔は魚のままだが真っ直ぐ前を向いている。水から陸へ、魚から陸上の生物へ…強い意思が齎した「生物の進化」の始まりであった。


そんな彼の努力をこっそり見ている別の魚がいた。


彼等も陸に憧れていたものの、無理だと諦め行動を起こさずにいた。が、手足を手に入れた彼を見て、自分もやってみようと奮い立ち後を追った。途中で諦める者、時間が掛かっても諦めず彼に続いた者…結果は様々だが、彼の頑張りは確かに周りの意識を変える「きっかけ」になっていたのだ。


最初に陸に上がったあの魚は、その後も考える事を止めずに想像し努力を続け、いつしか顔つきも魚ではなく人のようになったとか。


アンゼスの思いが実を結んだと、イレスは自分の事の様に嬉しかった。




そして、海でも少しずつ変化が見られた。


湖の魚達同様、海の魚達にも鳥や陸に憧れを持つ者はいる。


ある魚は鳥に憧れた。

そして、鰭を力一杯使い海面の上に向かって勢いよく泳いで飛び出した。一瞬だけだったが体が浮いた。

鳥の様に飛ぶ自分の姿を想像し、何度も何度も繰り返す。徐々に鰭は伸び長く大きく変化し、遂に数メートル先迄飛んだ。

その魚はトビウオと呼ばれ、いつか空を飛んでやると今も海の中から空に向かって飛び続けている。


陸に憧れた魚もいた。

湖の魚同様陸を目指したが、こちらは波がある為陸に上がるのは容易ではない。浅瀬迄辿り着いても波に戻される。諦めずに何度も挑戦するが何度やっても波に戻される。

とうとう諦めかけたその時、一際大きな波が沖から来て飲み込まれそのまま浜に打ち上げられた。


何が起きたか分からなかったが、自分が波に乗る事で此処(浜)まで来れたのだと気付いた。その後は湖の魚と同じ方法で、鰭を使い海に戻っては波に乗るを繰り返した。

陽射しで熱くなった体を海水で冷やすを繰り返した為、体の表面は徐々に硬くなり、また尾鰭より胸鰭を駆使した事で硬い二本の腕に進化し、海と陸を波を利用しながら自分の意思で行き来出来る様になった。



陸に上がれる様になったその魚は、浜辺に転がっていた石に目を向けた。頑丈になった腕を器用に使い、穴を開けその中に自身の軟らかい下半身を隠した。


結果、バランスを取りやすくなったが、重量が増えた為一度波に攫われると戻るのに時間が掛かる。

それは彼の次の課題となった。



こうしたこれらの変化が、水中の過密問題を少しずつ解消し、また新たな進化にも繋がる。




そして遂に……




『なぁ、レオン様。』


ピキ…ピキピキ……

ピカーーーッ!!


レオンの硬い背の表面がパラパラと剥がれだし、全てが剥がれ落ちたその時、強い光を発し目の前が真っ白になる。それは、以前イデスが半覚醒した時の状況に酷似していた。


あまりの眩しさに目を閉じたアデスだったが、レオンの身を案じ直ぐ様目を開ける。



『レオン様っ!!』



アデスの目に写ったのは、キラキラと金色に輝く粒子を帯び一回り大きくなった亀レオンだった。



とうとう亀レオンが動き出すのか!!

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