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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第二章 神界と箱庭の世界
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第八話 アデスと亀レオン④

お読み頂きありがとうございます。


アデスと亀レオンの二人時間の裏で……


『しっかし暑いなぁ…。何か海の水も温くなってないか?心做し水も減ってる?

……まぁ、こんだけあったら無くなる事はないか。』


『………………』


独り言を呟きながら、せっせと亀レオンに水をかけるアデス。


アンゼスの太陽改造により、神界全体が暑くなりその影響がジワジワと広がる。


熱を持った太陽に照らされた神界は、あちこちで少しずつ水分の蒸発が起きていた。アデスの言う、海の水が減ってるというのもあながち間違いではない。


広い海では気付かれ難いが、湖や川は目につきやすい。

湖は水位が下がり、そこに住む魚達は徐々に行き場を無くしつつあった。



『なぁ、最近やたら暑くないか?』


『そうだな。今までこんな事なかったのに…』


『此処の水も前は冷たくて気持ち良かったのに、最近は何か温いし、水面近くには上がれないよなぁ…』


『一体どうなってるんだ?』


こんな会話があちこちで聞かれ、巡回に来たイネスは眉を顰める。


『何が起きてるんだろう…それにあの太陽。今までは明るい光を照らすだけだったのに…。』


とりあえず湖の水を浄化し、イネスはアンゼスを探した。


アンゼスは熱を持った太陽にご満悦で、神界で起きている事には気付いていなかった。


『ん〜暑いっ!何か新鮮!月はどうしようかなぁ〜』


ふんふふ〜♪と呑気に散歩していた。


イネスと入れ違いに湖に来たアンゼスは、ふと湖に目を向けた。


『あれ?何か湖が小さくなった?』


するとアンゼスに気付いた魚達がワラワラと水面に上がってくる。


『『『アンゼス様!!』』』


『ん?ご機嫌よう、魚達。どうした?』


『あの、太陽なんですが…』


『うん。良いでしょ、あれ!』


『『『え?』』』


『太陽はやっぱり熱くなきゃ!熱を持たせたんだ!』


どうだ!と得意気に言うアンゼスを見て、魚達は犯人はコイツか!と怒りを覚える。


『全然良くないですよ!暑さのせいで体がおかしくなりそうです!』


『そうですよ!あまりに暑いから僕達水の底にしかいられなくて困ってるんです!!』


『何とかして下さい!それか、元に戻して下さいよ!』


魚達は口々に文句を言い始めた。


『…………何で?暑いのが嫌なら水底に居れば良いじゃん?何で態々上がってきたの?』


『『『……は?』』』


『だから〜暑いのが嫌なんでしょ?それで水底に居たんでしょ?ならそれで良いじゃん。何で元に戻す必要があるの?意味分かんない。』


『だ、だってそれじゃ僕達、ずっと水面に上がれないじゃないですか!』


『上がらなければ良いじゃん。』


『そ、そんなっ!!』


『それも嫌なの?わがままだね〜。


じゃあ、他の方法考えたら?

……水底に居る以外の方法を。』


何でもない様な顔して言うアンゼスに、魚達は怒りが爆発してしまいそうだった。そして、更に文句を言おうとしたその時…


『……君達さぁ、自分でそこに生まれる事を選んだんでしょ?なら、自分達でその先の事も考えなよ。

そのまま何もしないで水底で暮らすのか、湖以外の場所に行くのか…方法なんて幾らでもあるでしょ。

……私のせいにしないでくれる?』


『『『……そんな…』』』


『じゃあね〜』


魚達をチラリと一瞥して背を向け、立ち去るアンゼスを呆然と見る魚達。


『何て言い草だよ!』


『ヒドイよ…』


『湖の外に………』


『あんなのが神様なんて、やってらんない!!』


『イネス様の方が優しくて頼りになる!あの方の方がよっぽど神様だよ!!』


『ホントだよ!』


『あ〜暑い!もう行こうぜ!』


魚達はブーブー言いながら、水底に下りていった。


『……湖の外に…か。』



一方湖を後にしたアンゼスは川に居た。


『折角「意思」を持ったのに、何で誰かに委ねるのかなぁ?自分がしたい様にすれば良いじゃん?

……私にはよく分からないや。』


『アンゼス様。』


『あ!イレス!!』


『どうされました?何かお悩みですか?』


『う〜ん。悩みって事ではないけど……』


アンゼスは、先程の魚達とのやり取りをイレスに話した。



『なるほど…。魚達の言い分も多少は分かりますが、アンゼス様が言いたい事も分かります。

……ですが、魚達はまだ生まれて間もないので、考える事に慣れてないのではないでしょうか?

そもそも「考える」という事自体、よく分かってないのかも知れませんね。』


『そうなの?でも「考える」のが分からないって…それこそ私には分からないよ。』


『そうですか?アンゼス様も一人ぼっちだった時は、考える事を放棄していたと仰ってませんでしたか?』


『あぁ〜、確かに…。でもそれは、真っ暗で何も無かったから…イレスもいなかったし…イネスもイデスも…誰もいなかったから……』


『……そうですね。アンゼス様に比べたら、私達は初めから自分以外の誰かがいましたから幸せですよね。

でも…だからこそ弱いんだと思います。誰かを頼ってしまうのは、アンゼス様からしたら甘えてる様に見えるかも知れませんが、誰かに教えてもらう事でやり方を知るのではないか…と私は思うんです。

「答え」ではなく「ヒント」ですかね?』


『そっか……。』


『それに……

私達はアンゼス様の様に「創造」は出来ないのです。「想像」は出来ても「創造」は出来ないのです。それはアンゼス様か思うより、ずっと…とても大きな違いなんです。


ですから、私達が出来る「想像」をアンゼス様が「創造」で実現して下されば、皆とても喜ぶと思います。勿論、私もです。』


『……「創造」と「想像」の違い…か。

イレスの言いたい事は分かった。じゃあ、皆がどんな「想像」してるのか聞いてみないとダメだな。』


『はい。先ずは、皆の言葉を聞いてあげて下さい。

それ等全てを叶えるのではなく、アンゼス様が面白い、良いなと思った事から少しずつ叶えて差し上げれば良いのではないでしょうか?』


『うん。そうだな。人の話を聞くのは嫌いではないから…やるかどうかは別にして色々聞いてみる。

ありがとう、イレス。』


『少しはお役に立ちましたか?』


『少しどころじゃない!大助かりだ!!』


『ふふ…それはようございました。』


『……イレス。最近其方…話し方が…何て言ったか…あ〜、そうだ!「執事」ってやつに似てきたぞ!』


『執事…ですか?』


『そう!執事!!ほら、地球の人間達の中でそう呼ばれてた奴等が居ただろ?』


『あぁ…はいはい、あの執事ですね。確かに…ふふ。

私もいつの間にか、地球の影響を受けてたのかも知れませんね。これはこれで…なかなか興味深いですね。』


『な?そうだろ?なら、また腹の中に…『いけません』……はい。』


『それより、太陽の影響は少し考えた方が良いのではないでしょうか?そもそも、アンゼス様が考え無しに熱を持たせたんですから、責任はありますよ?』


『う〜、そう言われるとそうなんだが…ごめん。』


『次からは、後の事も考えてからやりましょうね?』


『はい……』


『では、一緒に方法を考えましょうか?』


『うん!』



かくしてアンゼスはイレスの助言とお小言を受け、太陽の熱問題に取り組んだ。


結果……


雨を降らせた。


御神鳥に変化し羽ばたく事で、熱が籠った上空を風で冷やし雨を降らせたのだ。

その雨のお陰で、干上がりかけた湖と川、水位が下がり始めた海、ひび割れた地面…そして、アデスと亀レオンにも恵みの雨が降り注いだ。



『わ〜!雨だ!!良かったですね、レオン様!

あ〜気持ちいい〜っ!雨最高!ヒャッホ〜イ♪』


『………………』


……ピキピキ……


ザーザー降りの雨の音で、レオンの体から発した不穏な音にアデスは気が付かなかった。




そして、湖でも…


『あ…雨だ…助かったぁ……』


一匹の魚が陸に上がる決意をし岸に向かって飛び出したものの、思いの外遠く迄飛んでしまい戻れなくなってしまっていた。

何とか水辺にとパタパタ体を動かしていたが、限界を迎え力尽きそうなところに雨が降ってきた。

正に恵みの雨だった。



アンゼスの考え方は間違ってはいないけど……

言い方が…って思いますよね( ̄ω ̄;)

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