第六話 アデスと亀レオン②
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体内箱庭がついに…
『う〜ん。何か違うんだよなぁ…』
『……何が違うんですか?』
『うん…太陽が沈んで月が出て、真っ暗じゃなくて綺麗な…夜空?になるはずなんだよ。』
『夜空…ですか?』
『そうなんだよ。あの地球とかいう惑星は、それはそれは綺麗な月と星空が……っ!!』
『地球とは…何ですか?星空とは?』
『えっと…その…イレス…それは…』
『隠し事ですか?アンゼス様?』
ニッコリ女神の様な笑みを浮かべ、少し声が高くなるイレスを見て「マズイ…声が…」と、アンゼスの背に冷や汗が伝う。
『何ていうか、その…ほら、本で見たんだ。そう!本で!!』
『……本?……本とは?』
『えっ!!ほ、本とは…あれ?えっ?本?本って何だっけ…はは……ははは…はぁ』
万策尽きたアンゼス。上手い誤魔化しと思ったその発言は、正に地球の…人間の間では通用しても、本がない神界で通用する筈がないのだ。
とうとう白状する時が来たか…と項垂れる。
『一先ず神殿に帰ろう?見せたいものがある。』
『分かりました。』
アンゼスは【瞬間移動】した。
言い訳を考える間もなく、神殿に着いてしまった。
瞬間移動してから「しまった…」と気付く。やはりアンゼスは微ポンコツだった。
『それで?アンゼス様は何を私に見せて下さるのですか?』
『あ…えっと…これ……』
モゴモゴと歯切れの悪い物言いで、アンゼスは自身の腹から体内箱庭を取り出す。
『っ!!ちょ、ちょっと、アンゼス様!何してるんですかっ!!』
『え?隠してた箱庭を出そうと…』
『は?隠してた?箱庭?腹の中に?一体何を言ってるんですか!!』
『だからその…以前こっそり箱庭を隠そうとして、見つからない場所が思い付かなくて…それでお腹の中なら大丈夫かなって思って…。』
『……いやいやいやいやいや!だからってお腹の中?
無いわ〜!無い無い、絶対無い!はぁ?腹の中?』
驚き過ぎてイレスの口調がおかしな事になる。
『……イレスの口調が…イネスに似てる…』
『何か言いました?!』
『いえ!何にも言ってません!!』
『そもそも、隠すならアンゼス様の能力で普通に隠せるでしょ?何で態々お腹に入れて隠そうとするんですか!体がおかしくなったらどうするつもりだったんですかっ!!』
めっちゃ怒ってる…と、直ぐにでも逃げ出したいアンゼスは逃げ道を探す…がイレスの目がそれを見抜いて許さない。
『ごめんなさい!!あの時はこの箱庭を廃棄処理したくなくて、それで何とか隠そうと思ったんだけど、箱庭追加創造しちゃダメって言われて、それで誤魔化しきれないと思ったから、それで焦って…此処しかないと…思っ…たけど、あ…透明にでもしとけば良かったのか…な〜んだ、バカだな私は。あはは…』
『何処から突っ込んでいいやら…はぁ。
とりあえず、もうお腹の中に入れるのは禁止です。いいですね!』
『えっ、ダメなの?何時でも覗けて便利なのに…
っ!!あ、はい!ごめんなさい!!やめます!!』
『それから…もしかして箱庭追加創造禁止って言ったのは、イネスとイデスが生まれて直ぐ位の頃の事ですか?』
『う〜ん、はっきりとは覚えてないけど多分そう。』
『かなり前ですよね?そんなに長い間そこに入れてたんですか?』
『そうだね♪』
『笑い事じゃありませんっ!!
はぁ…。もう今更ですが、本当に体に異常はないんですよね?』
『うん!大丈夫!!』
『まったく…『あ、でも…』な、何ですか!何処か痛いですか?』
『いや、別に何処も痛くないよ。ただ…』
『ただ…何です?』
『何ていうか…箱庭…特に地球っていう惑星で起きた事とか「感情」が、伝わってきて…偶に勝手に腹が立ったり、悲しく?なったりする事はあるかな…と。』
『大問題じゃないですかっ!!二度とお腹の中に入れないで下さいね!!
だから時々情緒不安定な時があったんですね…
何て厄介な……ん?もしかして、偶に出る変な言葉とかもその影響だったりするんですか?』
『変な言葉ってどれの事か分かんないけど…そうかも知れない。あ!じゃあさ、その地球って惑星見てみる?青くてすっごい綺麗なんだ。景色とかも綺麗で、そうそう季節って言ったっけ?それがあるから、景色も季節毎に変わって『あ〜はいはいはい。』綺麗…なんだ…』
『とりあえず、綺麗な景色の話は置いときましょう。それより、その箱庭の中…地球?の「感情」が伝わってくるという点でお聞きしたいのですが。』
『うん、なぁに?』
コテンと首を傾げるアンゼスを見て「クソ可愛いな」と思うイレス。でも、そこは冷静なイレス。アンゼスのアザと可愛さには流されない。
『それで、それは体の外に出してる時も伝わってくるものなんですか?』
アザと可愛いスマイルは効かなかったかと内心舌打ちするアンゼス。
『そ、外に出してる時は…感じないかな。そもそも蓋開けて上から観察してるだけだからね。でも、お腹の中に入れてる時はずっとじゃないけど、時々何か伝わってくる気がする。』
『……そうですか。
では、その箱庭の中私にも見せてもらえますか?』
『いいよ〜♪』
アンゼスの解説を聞きながら、イレスは箱庭の中…特に地球について詳しく知る。
『…………なるほど。色々と興味深いですね。何より、アンゼス様の言動に納得しました。……だから、やたら「御」を付けた名前にしたり、亀レオンなんて名前にしたりしたんですね。』
『え?そこ?』
『ええ、そこです。一番疑問に思ってましたから。』
『え〜〜そうなの〜』
『でもまあ、それはさておき…確かに月が昇り夜が訪れ空に星が輝く様は、本当に綺麗ですね。あれをこの神界でも見れたら…素敵ですね。』
『でしょでしょ?あれを再現するには、この宇宙の並びや地球みたいに自転とか色々条件があるから、ここでは難しいんだよね。
で、代案として何かないかと悩んでたんだ。』
『なるほど…最近空が明るくなったり暗くなったりするのは、そのせいだったんですね。』
『そうなんだ。アデスも時間の経過が分かればどうのって呟いてたから丁度いいなと。』
『時間の経過…ですか?』
『うん。亀レオン殿がまだ定着終わってなくて動かないだろ?景色も変わらない、話し相手もいないでアデスが退屈みたいでさ。せめて時間がどの位経ったか分かれば、景色が変われば…みたいな事言ってた。
……その気持ちはよく分かるからね。』
寂しそうに笑うアンゼス。
『……アンゼス様…』
『…って事だ!イレスも何か考えてよ。私一人じゃいいアイデア浮かばなくてさ。』
『はい。微力ながら私も何かお手伝いしたいです。』
『よし!じゃあ、箱庭の情報をイレスに流すから、二人で考えよう♪』
『はい!お願いします、アンゼス様。』
一方アデスは……
『レオン様〜、最近アンゼス様全然来ませんね。
太陽も前と違って何か熱いし。太陽の熱が広がってるせいなのかな…この辺迄暑い…。体の中の水分が徐々に減ってる気がする…。』
『………………』
『レオン様は大丈夫ですか?体大きい上にこんな硬くて重そうな岩みたいなの背負っちゃって、疲れないですか?』
『………………』
『ん?レオン様、心做しか体乾いてません?水飲みますか?…いや、飲めますか?』
『………………』
良いのか悪いのか分からないが、一先ず水でも…と思い、アデスは近くの木から大きめの葉を千切り海の水を汲んでくる。
それをレオンの頭からゆっくりかけてみる。
『やっぱ反応無しか…。まぁでも、少しは涼しくなったかな?』
そう言って、自分の水浴びがてら何度も水を汲んでは亀レオンの体に水をかけてやるアデス。
アデスとレオンの二人時間はまだまだ続く。
因みにアデスは、イデスの様に体が固まるという事は起きない。アデスはイデスの様に火に特化した訳でもなく、未だどんな能力があるのか自分も周りも分からないから。
強いて言えば、体中羽毛で包まれている為、暑さに弱く寒さに強い…それだけだ。
……バレましたね。色々バレましたね( *´艸`)
夜空は出来るのか、レオンは動くのか…
遅くなりましたが……
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