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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第二章 神界と箱庭の世界
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第五話 アデスと亀レオン①

お読み頂きありがとうございます。


『まだ当分動きそうにないわね…』


『そうだな。アデス……』


『大丈夫です。お二人はそろそろ行って下さい。私は大丈夫です。』


『アデス……』


イネスは心配そうにアデスを見るが、イデスに肩を叩かれ仕方ないと小さく頷く。


『それじゃ、アデス頼んだぞ。何かあれば念話をくれ。何かなくてもいいが、無理はするなよ。』


『はい。お気遣いありがとうございます。』


アデスはペコリと頭を下げ、亀レオンの横にちょこんと座る。

イネスとイデスも後ろ髪を引かれる思いでその場を後にする。


『さぁて、レオン様。暫く二人きりですね。』


『…………』


『返事がない…か。』


イデスといっしよの時も、考え事を始めると返事が返ってこない事はよくあったが、一時的な事だと分かっているからなのか、然程気にならなかったのに今はどうだ…何故か寂しいと感じてしまう自分が不思議だった。


『さっき初めて会ったばかりなのに…何でだろう?』


アデスはこれが「寂しい」という感情なのか、よく分からないでいた。


『なんて言うか…「虚しい」…うん。寂しいより虚しいの方がしっくりくるな。はは…どっちも大して変わらないか……』


それからも亀レオンは動く事はなかった。

金色の目は開いているのに、じっと前を見ているだけでそこに感情等は感じられなかった。

空の明るさが変わらない神界では、日にちという概念がなく漠然と時間が過ぎるだけ。


アデスの中で徐々に何もかもがどうでもいいと思う様になっていた。


ボーッと時間だけが過ぎていたある時、アデスはふと呟いた。


『どの位時間が経ったのか解れば良いのに…。

せめて景色が変われば退屈しないのになぁ……』



『アデスッ!!それいいね!!』


『ゥワッ!!』


『アデス、たまにはいい事言うじゃないか!!

よし!それ採用〜!!』


『アンゼス様!ビックリするじゃないですかっ!!』


『様子を見に来たら其方の呟きが聞こえてな!

それにしても、思い付きとはいえ、なかなか良いアイデアだ!!褒めてつかわそう♪』


ビックリして心臓がバクバクしているが、同時に何とも言えない嬉しさが鼓動を早くする。


いつもちょっと小馬鹿にしていたアンゼスなのに、ずっと一人ぼっちだったアデスにとって、アンゼスの登場がこんなに嬉しいものだとは思えなかったから驚いた。


『イレス様が生まれた時、こんな気持ちだったんですか…』


『ん?何か言ったか、アデス?』


『いえ…何でもないです……』


『…?そうか?まぁ、いいや。

アデス、其方の案を形にして来るから待ってろよ!』


そう言ってアンゼスは何処かに行ってしまった。


たちまち寂しくなったアデスは、何だか泣けてきた。また一人ぼっちになってしまう…と。


アデスが「寂しい」を自覚し、どんなに寂しいと思っても、誰かと話したい、会いたいと思っても、誰も傍には来なかった。

()るのは…何も言わない亀レオンだけ。



アデスはそれからも一人ぼっちだった。そして、そのうち独り言を言う様になった。

誰に聞かせるでもなく、唯これまでの出来事や感じた事、楽しかった事、腹が立った事…何でも呟いた。


そろそろ喋りたい事もなくなってきた頃、辺りの色が少し変わった気がした。


『ん?何か…暗くなった?』


ほんの僅かな違いだったのか、気のせいかと思い視線を亀レオンに戻す。


ジーッと亀レオンを見つめる。


『はぁ…レオン様、ずっと目を開けっ放しで疲れませんか?』


『………………』


『……返事は無し……か。

ま、分かりきった事だ。今更だな。はは…』


返事が無い事は分かっていても、アデスはレオンに話し掛け続けた。何度も何度も。

独り言で話した事を、今度はレオンに話し掛ける様に、何度も何度も…。


夢中で話していたアデスは、ハッとする。


辺りが暗くなり、空は真っ暗になっていた。


『な、何だこれ!いつの間にこんな事に…』


アデスはキョロキョロと周りを見るが、どこも暗くて殆ど何も見えない。分かるのは、すぐ隣に()るレオンの気配だけ。


真っ暗な中で唯一感じるレオンの気配が、不安なアデスの心の拠り所になった。

大きくて硬いレオンの体に寄り添い、心を落ち着かせる。すると少しずつ不安が和らぎ、また独り言の様な話を始めた。


どれだけ時間が経っただろう。気が付くと辺りが徐々に明るくなっていく。


『っ!!明るくなってきた…』


少しずつ明るさを取り戻した目の前に、キラキラ光る海が見えた。

そして、その海の遥か遠くに一際大きな光の塊が徐々に浮かび上がってくる。


『っ!!眩しい……』


強く明るいその光が、海面よりも上に上がり姿を見せた。

それは、以前空にずっと浮かんでいた「太陽」と呼ばれる球体だった。


『…あれは…太陽?』


でもあれは、光を放っているだけで、こんなに眩しくなかった筈なのに、今は何だか眩しさと熱さ…熱を感じるのはどうゆう事だ?太陽ではないのか?


そんな事を考えていた時、背後から声がする。


『アデス、正解!あれは太陽だ!!』


『っ!!アンゼス様!!』


嬉しさと驚きで…今回は驚きの方が勝ったが、それより聞きたい事があった。


『あ、あれが太陽ですか?それに、暗くなったのは…何か関係があるのですか?』


『あると言えば、ある!

其方が時間経過が分かれば良いのにと言っただろ?

だから、太陽を一定時間沈めた!』


ドヤ顔で胸を張るアンゼスに、思わず「は?」と不遜な声をあげたのは致し方ない。


『太陽を沈めた…?え?どうゆう事?』


『だから〜、明るい時間と暗い時間が交互にあれば、分かりやすいだろ?』


『いや…まぁ…そうかも知れませんが、真っ暗になるのは危なくないですか?真っ暗なうちは何も見えないから、何も出来ないですよね?何かに躓いたりしたら怪我するかも知れないじゃないですか!』


『っ!!確かに…。

其方、最近よく気が付くな!

よし!待ってろ!それも採用だ!!』


『え?あ!ちょ……行っちゃった…』


言うだけ言って、また何処かへ行ってしまったアンゼスに、ホントあの方は……と半ば諦めた様な気持ちになる。

でも、そのほんの僅かな会話が「次」を期待するものである事も確かで、アデスはそれを嬉しく思い心待ちにするのだった。



それからまた一人ぼっちの時間が暫く続き、その間も暗くなったり明るくなったりが繰り返された。

ただ違うのは、真っ暗になる事はなかったという事。

明るさは毎回違って、少ししか暗くならない時もあれば、ほぼ真っ暗になる時もあったりと、それはまるで微調整をしているかの様だった。


その事が、アデスは嬉しかった。自分の言った事をアンゼスがちゃんと形にしようと、あれこれしてくれているのだと思うと、擽ったい様にも感じて…嬉しかったのだ。



アデスのアンゼスへの印象が変わり始めました。

アデスは何故あんな態度をしていたのでしょうか……

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