第二話 イネスの悩み②
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イネスとイデスの久しぶりの対面で…
神界全体が意思を持ち動き出してから、イネスもイデスも互いの管轄区域の事で忙しく、全然顔を合わせていなかった為、この状態になるまでイデスは気付かなかったのだ。
イデスはイネスに念話をしてみた。
『…イネス?
おーい、イネスー、大丈夫かぁ?』
『……イデス?』
『お、イネス。久しぶりだな。元気か?』
『…………ふっ。イデスは……気楽そうで羨ましいよ…』
『誰が気楽だっ!俺だって忙しいんだぞ!!』
『そう?なら仕事に戻りなよ…』
『……イネスお前、ちょっと陸に上がって来い。』
『……嫌よ…私も忙しいの…』
『……じゃあ、俺がそっちに行くわ。』
『……は?アンタ何言ってんのよ!アンタ水の中入って来れないでしょ!』
『やってみなきゃ分からないだろ!ちょっと待ってろ。今からそっち行くから。』
『え!ちょっと!イデス!!
アンタ水の中入ったら体が固くなっちゃうでしょ!!やめなさいって!!』
『……っく!……うるせぇ!
何処までいけるか…挑戦…っく……だ。』
『バカイデス!!何が挑戦よ!!』
イネスは慌ててイデスの下に向かった。
イネスとイデスは各々得意分野が違い、水属性が得意なイネスは水の中でも陸上と同様に動けるが、暑さや熱に弱い。
一方イデスはイネスとは逆で、火属性が得意分野。
暑さや熱にはめっぽう強く、炎の中にいても支障がない。代わりに水や冷気には弱く、体が冷えると徐々に体全体が収縮し固まってしまう。
イデスはそれを承知で海に入ると言ったのだ。
イネスの為に……
『バカ、バカ、バカイデス!!
固まっちゃったらどうすんのよ!!
……イデス、無事でいて!!』
『イデス様〜、大丈夫ですか〜?』
『……分からん!』
『……そうですか。
ほどほどにして下さいよ。貴方を運ぶの大変なんですから!』
『ああ。最悪固まってもイネスが何とかするだろう。アイツで駄目ならそれまでって事だ。気にするな!』
『あ〜もぅ、ホント面倒臭い!!』
一方イネスは早くイデスの下に行きたいのに、多過ぎる魚達のせいでなかなか進む事が出来ない。
海底を歩いたり隙間を見付けては泳いだりと、工夫はするものの一向に進まない。
『イデスの事だもん。ホントに限界に挑戦してそう…。早く、早く行かなきゃ…アデスは一緒じゃないの?一緒なら止める…事はないか。アデスはちょっと抜けてるから、大した事ないと放置してそう…。』
イネスの予想は半分当たっていたが、半分間違いだ。
アデスはイデスが水に浸かる事がどうなるかはきちんと理解している。場合によっては全身固まり動けなくなるという事も充分理解しているのだ。
イデスはイネスと会っていない間、ある可能性を見出し実験していた。
以前、たまたまイネスと共に湖に来た時の事…
『イネス、あれも魚ってやつなのか?』
『ん?あぁ、あれね。そうよ、魚。と言っても海にいる子達に比べるとかなり小さいけどね。』
『ふ〜ん。』
『あんまり覗き込むと落ちるわよ〜』
バシャーンッ!!
『イデス!!……ぷ、あはは!何やってんのよ〜。
ホントに落ちてる〜バカね〜あはは……え…イデス?
ちょっと、アンタ何してるの?早く上がりなさいよ!……ちょっと…イデス?』
『………………動け…ない…』
『え……何言って…冗談言ってないで、早くこっちに来なさいよ!』
イデスはしゃがんで湖の中を覗き込んでいたが、体を前に倒し過ぎてバランスを崩し、そのまま前に両手を着いて倒れ込んでしまった。
そこは立ったらイデスの膝にも届かない程度の深さで、イネスにしたら悪ふざけをしているようにしか見えなかった。
しかし四つん這いになったまま動かないイデスに、痺れを切らしいつまで巫山戯てるのだとお尻をパンッと叩いた。そこで返ってきた言葉が「動けない」だった。まだ言うかと怒りかけたが、様子がおかしいと思い自分も水に入りイデスの腕を持ち上げようとした。
すると、イデスの腕はカチコチに固まっており、肘が伸びたまま曲がらず、膝は曲がったまま伸ばせない。
顔にも水飛沫がかかって所々固まっている。
固まった箇所は黒ずんでおり、触るとヒンヤリとして冷たい。
『イデスっ!!』
イデスの四つん這い姿を見て、後方で笑っていたアデスもイネスの顔を見て只事ではないと察し直ぐ様駆け寄る。
二人がかりで何とか水から引き上げ、イデスの体全体を確認する。
怪我は無いようだが、殆ど動かなくなったイデスを見てイネスは震え出した。
『イデス、ねぇ、イデス?
……どうしよう、どうしたらいいの?
イデス、こっち向いて?ねぇ、イデス!!』
イデスは体は動かせなかったが、視線だけイネスに向け僅かに開く口で「大丈夫だ」と伝えた。
イネスはポロポロと涙を流し、イデスを抱きしめた。
『イデス…どうすれば元に戻るの?
このまま動かなくなるなんて事ないわよね…イデス』
泣きながらイデスを抱きしめ続けた。
暫くイネスに抱きしめられていたイデスは、徐々に体が温かくなりイネスの体が当たっている箇所から少しずつ動かせる様になっている事に気付く。
『イネス……お前の胸柔らかいんだな……』
『…………………………は?』
イネスはイデスの頭を抱える様に抱きしめていた為、イデスの顔がイネスの豊かな胸に押し当てられる形になっていた。
バッ!!と体を離しイデスの顔を覗き見る。
『イ…イデス…?
アンタ動ける…の?』
『お前に抱きしめられたら体が温かくなってきて、そこだけ動かせる様になった……っぽい?』
『……は?』
イネスはイデスの体のあちこちを触り、固くなっていた箇所が少し軟らかくなっている事に気付く。
『ホントだ…ここも…ここも…さっきより軟らかくなってる。……顔も…』
ぷにぷにとイデスの頬を掴み、押したり引いたりして確かめる。
『良かったぁ〜!!』
そう言って再びイデスの顔を抱きしめるイネス。
『…んっ!…………柔らかい……』
『そうね、軟らかいわ!』
『……ん……柔らかい……』
『…そう…軟らかい……ん?……軟らかい……柔らかい?』
自分の胸の谷間にイデスの顔が埋まってる事に漸く気付いたイネスは、猛烈に恥ずかしくなり……
バッチーンッ!!
『何してんのよ!こんの、どスケベーーーッ!!』
派手なビンタをお見舞いしたのだった。
『あーあ……』
静かに二人の後ろで成り行きを見ていたアデスは、ある意味ラッキーだったのでは?と首を傾げた。
イデスの言動は無意識です。
アンゼス同様、感情に疎いのです。
アデスはちゃんといますよ。
なかなか出番来ませんが…(;´∀`)…ァハハハ…ハハ…ハ…




