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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第二章 神界と箱庭の世界
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第一話 イネスの悩み①

お読み頂きありがとうございます。


神界が動き出してから暫くは、あちこちが賑やかで目に映るものが新しく楽しかった。

初めのうちは私達の様に話せるものはいなかったけど、私がクジラ達と海の巡回(浄化確認)の度に声を掛けていたせいか、徐々に言葉を覚えて話しが出来るものが増えた。


話せる様になったもの達は、他のものに言葉を教え、教わったもの達がまた他のものに教えを繰り返すうちに、海の中はどこに行ってもお喋りが聞こえてくる。


『ねぇねぇ、アンタいつから此処にいるの?』


『え?アタシは少し前からよ。前はもっと遠くに居たんだけど、何か息苦しくなっちゃって逃げてきた。』


『逃げてきたの?嫌な奴がいたとか?』


『う〜ん、嫌な奴も居ないこともないけど、それより密度が高いと言うか、狭い?って言うのかなぁ…。

ぶつかりはしないけど、何か泳ぎにくい感じがしてさ。もっと自由に泳ぎたいって思って、他の子達が居ない方へ向かって泳いでたら此処に辿り着いたんだ。』


『アンタもなの?最近そうゆう話よく聞くのよね〜。此処もそのうち密度上がるかもね…』


『え〜っ!じゃあ、また別の場所探さなきゃいけないって事?せっかく広い海選んだのに〜。』


『そうよね。アタシも陸にすれば良かったかも…ってちょっと後悔してる。』


『とりあえず、他の子があんまり居ないところを今のうちに探した方がいいかもね。』


『そうね。じゃあ一緒に行かない?』


『うん!そうしよう!さすがに一人は寂しいもんね。』


『そうよ、折角お喋り出来る様になったのに、ひとりぼっちじゃ唯の独り言だもんね。』


『行こ行こ〜』


『ねぇ、あっちに行ってみない?』


『良いね!よし、行こう〜♪』



最近、こんなやり取りを目にする事が増え、海を窮屈に感じる子達がそこかしこに見られる。

自分の管轄である「海」が居心地悪くなっている事が悲しい…。



海だけじゃなく湖や川でも似た様な事があり、イネスは落ち込んでいた。


そして、イネスはその原因が御海産(ごかいさん)にあると考えている。


『止まることなく魚が生まれているからよね…。

でも、あれは意思があるから生まれるのであって、誰かが止める訳にはいかないし…どうすればいいの…』


イネスは御海産から生まれるもの達が「意思」を持っている事で、自分がアンゼスに頼んで止めてもらうのは魚達の意思を無視する事になると考え、どうする事も出来ずにいた。


クジラ達もまた悩んでいた。

自分達の体の大きさを考えると、もっと小さければ…と考えずにはいられなかった。


クジラ達はイネスをベースに創られたもので、性格や思考はイネスに似ている。

その為、イネス同様優しさが全面に出てしまい、自己犠牲の方に思考が陥りがちだった。


イレスはイネスの悩みに気付いてはいたが、自分から声を掛けることはしなかった。それこそ、イネスの意思を尊重したかったからだ。


アンゼスもまたイレス同様、自分からは何もしなかった。そこには、イレスとは違う考えがあった。



イネスが悩んでいる間も、どんどん魚達は増え続ける。そして、海の中は魚達の不満でいっぱいになった。


『イネス様…』


『…クジラっち…どうしたの?』


『もう、魚達は…海は限界だと思います。

アンゼス様にお願いした方がいいですよ。

このままじゃ、海が…』


『分かってる!

…でも…もう一度御海産に行ってくる。』


『奴らは変わりませんよ。今まで何度も相談したじゃないですか!』


『それでも、もう一度話してくる…』


『分かりました。でも、今回駄目ならもうアンゼス様にお願いすると約束して下さい。』


『分かった。約束する…』



イネスは自分の不甲斐なさに情けなくなり、俯き唇を噛んだ。


御海産の下に着くと、彼等はまたかと言わんばかりにイネスを無視した。


『御海産殿!海産物の生成を止めろとは言わないわ。せめて、速度を落としてほしいの!

このままでは海が魚達で溢れ、皆が暮らせなくなってしまう!それでも良いの?!』


『……はぁ〜。何度も言いますが、これは我々ではどうにも出来ないのです。魚達は自分の意思で生まれる事を望んでおる。それを止めたり、制限するというのは、どうゆう事か分かっておいでか?

アンゼス様のご意向に背く事になるのではないですか?』


『でも…このままでは…』


『どうしてもと言うなら、アンゼス様にお願いしたら良いのではないですか?我々はそう何度も申し上げてますよね?』


『そんな…でも………分かりました。』


イネスはこれ以上の説得は無理だと判断し、その場を後にした。


海底をトボトボ歩くと、魚達の不満の声が耳に入る。魚同士がお互いを避ける様に泳いでおり、とても快適そうには見えない。

中にはぶつかって喧嘩になる魚もいる。


イネスは限界だった。

初めはクジラ達以外の存在が出来た事に、喜びと期待をして…先の事を想像すると楽しかった。

それなのに…魚の数が一定数を超えた頃から、あちこちで好き勝手に泳ぐものや「自由」を盾に注意を無視するものが増え、無秩序な世界になり始めた。



イネスがその場にいれば渦を作りお仕置きする事も出来るが、そうゆうもの達程上手く隠れてやるので、イネスはなかなか対処出来ないでいた。


イネスは眠れない日々を過ごしていた。



『アンゼス様にお願いするしかないのかなぁ…。

イレス様ならアドバイスして下さるだろうけど、失望されたくない…。

もう、どうしたらいいの……。』



クジラ達はイネスの苦悩を分かっていたが、自分達では解決策が見つけられず、陸に上がる事も出来ない為イレスやアンゼスに相談に行く事も出来ない。

だから、イネスにアンゼス達に相談に行くよう説得するしかなかった。



その頃……


海の様子がおかしな事になってると聞いたイデスは、どんな風におかしいのか見に行こうと思い、アデスと共に海岸に来ていた。


『……何だこれ?海が…ごちゃごちゃしてるな…。』


『ホントですね。何か…汚い?』


『そうだな。前はキラキラして澄んだ水色だった気がしたが、これは…もう…汚いとしか表現出来ないな。』


『魚が多過ぎる…若しくは、魚達の数に対して海が狭い…って感じですかね?

イネス様は気付いていないんですかねぇ?』


『さすがに気付いてるだろ。これに気付いてなかったら相当アホだぞ。』


『ですよね?』


『…………イネス』


イデスは海を見つめてイネスを想う。


イデスは海を見つめて何を思ったのか…


次回はイデスの弱点が明かされます。

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