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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第一章 動き出す神界
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第12話 イネスの能力②

お読み頂きありがとうございます。


前回の続きです。


「クジラ」が創造されてからというもの、イネスの仕事は大忙しだった。


イネスの仕事は…

①水面、水中、あらゆる水周りの点検(廃棄物収集)

②廃棄物の仕分け→浄化

③クジラの健康診断(怪我や不調の確認)


一見そんなに大変そうには見えないが、イデスの対象物と違いイネスの対象物は動くものが多い。

特にクジラ…。

川も流れはあるものの、その流れは緩いので余程の事が無ければ問題ない。

湖は広さと深さはあるものの、流れが無いのでこちらもそれ程困難ではない。


しかし「クジラ」は別だった。


何しろ広大な領域を縦横無尽に動き回り、大小様々な「波」を起こすので、近付く迄が一苦労。

更に、漸く捕まえて背に乗ってボディチェックをしようとすると、突然潮を噴き上げイネスの体ごと浮き上がらせ遊ぶ(傍から見ると遊ばれてる様に見える)。


しかもそれを、一体ではなく合計五体分熟さなければならない。


イネスは体力気力共に限界だった。


アンゼスもイレスも、初めこそ「楽しそうにやってるな」と笑って見ていたが、イネスの表情が徐々に曇り元気が無くなり始めた事に気が付いた。


『アンゼス様……そろそろ…』


『そうだな…少し考えるから、その間イネスを頼むよ。』


『畏まりました。』



アンゼスが対策を考えている間、イレスも助けに入りイネスの肉体的疲労は多少軽減されたものの、元来の責任感から「与えられた仕事を熟せていない」と自責の念に駆られ、心は疲弊していった。


『イネス。少し休もうか?』


『いえ、まだ大丈夫です。』


『イネス。休もうか?』


『いえ……はい。』


イレスはイネスの気持ちが痛い程分かる為、強制的に休ませる事にして話をしようと思った。


『イネス。クジラとは仲良くなれましたか?』


『……え?仲良く……ですか?

どうでしょう……仲良く……はないかもです。』


『そうですか。私から見ると、十分仲良くなれてる様に思えますが?』


『……そうでしょうか?

クジラ達は……全然協力的じゃないし、寧ろ私をバカにして楽しんでる様な気がします……。』


『う〜ん…そうでしょうか?

バカにしてる…かどうかは分かりませんが、少なくとも仲良くなりたくない相手に対して自分の体を触らせるでしょうか?

イネスなら、どうです?』


『……私なら…嫌です。』


『でしょう?なら、どうして協力的じゃないと感じるのですか?

イネスはクジラ達にどう協力してほしいか、伝えたりしましたか?』


『…伝える?

でも、クジラ達は喋れないじゃないですか…?』


『確かに、私達の様に「言葉」は発しないかも知れませんが、伝えてみないと分からないのではないですか?』


『でも、話し掛けても返事がもらえなければ会話にならないから…どう伝えればいいか分からないです。』


『私も初めは会話出来ませんでしたよ。

そして、イネス。貴方やイデスも、初めは会話出来ませんでしたよね?』


『あ……そう…ですね。』


『私も貴方達も、そしてクジラも同じだと思いませんか?

クジラもイネスが話し掛け続ければ、言葉を理解し、いつか話せる様になるかも知れない…とは思いませんか?』


話し掛け続ければ……


確かに、ぼんやり覚えてる。

初めはアンゼス様の言葉をそのまま復唱しただけ。

その後は…イレス様が只管私達に話し掛けてくれてた。黙って聞いてるか、復唱しかしない私達に…何度も何度も…。


しかも、私達には知識を定着させる為の時間もちゃんとあった。でもクジラ達は?


あの子達は…水に関する知識と意思を与えられ…それから…それから…

そもそも、あの子達に与えられた知識って、水に関する事だけなんじゃ……だとしたら…言葉なんて…。


ああ……私は自分が大変だって思うばっかりで、あの子達の事全然考えてなかった。


勝手にイラついて、勝手に決めつけて…

勝手に疲れてた……


『イレス様。

クジラ達のとこ行ってきて良いですか?』


『うん。行っといで。』


『はいっ!!』


『気が付いたみたいだね……。』



私って、ホント目の前の事しか見てないな……。

だからイデスにももう少し落ち着けって言われちゃうんだよな……って、なんでここでイデス思い出す!!

……まぁ、いっか。



『クジラちゃ〜んっ!!

出ておいで〜〜〜っ!!』


『………………クゥーーーーーーーーーッ』


ザバーンっと水中からクジラ達が浮き上がる。


確かに「言葉」はないけど、自分の言葉を理解している…だから、今の呼び掛けに応えて出てきてくれた…。

それに気付いたイネスは、何か込み上げるものがあり、思わず泣きそうになった。


クジラ達は自分達が来られるギリギリの浅瀬迄近付き、イネスも慌てて近付く。


『あーーーっ!そんなにこっちに来たらダメじゃないっ!!私がそっちに行くからそこで待ってて!!』


イネスはバシャバシャと海上を走り、クジラ達の元に着くと五体それぞれに抱きつき頬擦りをした。


クジラ達はつぶらな瞳をイネスに向け、笑った…様に見えた。

イネスは胸の奥がほっこり温かくなる気がした。




それから暫くして……


『コラーーーーーーっ!

アンタ達いい加減にしなさいよっ!!』


『クゥーーーーーーーーーッ♪』


『なんですってっ!誰が太ったよっ!!

アンタ達の世話で寧ろ痩せたわーーーっ!!』



イネスとクジラ達は「念話」が使える様になっていた。特に、最初に創造された「クジラ」は五体の中でも一番付き合いが長く、他の四体が来るまでは「クジラっち」と勝手に呼んで接していた。


しかし、当初イネスは愚痴ばかり零していたので「クジラっち」は、口の悪い言葉を真っ先に覚えてしまっていた。


後々それが他のクジラ達にも影響するとは、今のイネスは知らない……




『イネスの素直さは可能性でもありますね…』



直感型のイネスは失敗も多いが、勘の鋭さがそれを補い更に好転させる能力がある。

そんなところもアンゼスによく似ていると、イレスは嬉しく、そして愛おしく感じるのでした。



クジラを創造したせいで、でイネスに負担を掛けてしまった事を反省したアンゼス。

作業効率をあげるには…と考えた末、水の中を自由自在に動ける力をイネスに与えました。

「泳ぐ」「潜る」「歩く」「走る」「話す」

これら全て水中で自在に出来る様になります。

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