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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第一章 動き出す神界
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第9話 イデスの能力①

お読み頂きありがとうございます。


今回はイデスの悩み相談?の回です。


少し前に山が噴火して、綺麗な景観が一部壊れてしまい、イレス様が大変気落ちしていた。


この神界の風景は、アンゼス様の大好きなもので構成されているらしく、何処もアンゼス様の気持ちの現れなんだとか。特に、アンゼス様の居住区でもあるこの一帯はかなり思い入れがあるそうで、以前からイレス様もとても大切にされていた場所だ。


アンゼス様は自分のせいだから気にするなと笑っておられたけど、あの時イレス様は号泣していたから相当ショックだったんだろう……大丈夫かなぁ。


イデスはそんな事を考えながら、いつもの様に回収作業を熟す。彼は難易度に関係なく、二つ以上の事を同時に熟せる器用なとこがある。

頭の回転が早く、脳内の整理整頓もちゃんと出来る天才気質。この辺はイレスの能力をしっかり受け継いでいる。


しかし、何でも器用に熟す天才に見えて、実は苦手な事もある。

それが「微調整」だ。


何でだよっ!!


っと思わずツッコミたくなるが、出来ないのではなく苦手なだけ…練習中…頑張れば出来る……そんな感じ?なのだ。




本日の回収作業を終え、イレスの元に戻る。


『イレス様、只今戻りました。』


『ああ、おかえりイデス。

じゃあ、早速始めようか。』


『…………はい…』


『あはは。大丈夫だよ、イデス。私だって初めから出来た訳じゃない。そのうち出来るようになるよ。』


そう言って毎回励ましてくれるけど、全然上達する気がしないのが悲しい…。


俺の担当作業の内容はこうだ。


①廃棄物の回収

②回収物の仕分け

③燃やせるもの→俺

燃やせないもの→イレス様

※正確に言うと、俺が燃やせないものは全部イレス様


基本的には火を使って燃やし(燃やしきる)無にするのだが、ものによっては残ってしまう。

それは単純に火力だけの問題ではなく経験が必要だから仕方ない事で、落ち込まなくていいとイレス様は言って下さるが、分かりました…とは言いたくない。


イレス様の仕事は多岐に渡るから少しでも負担を減らしたいのに、自分がこれでは逆に仕事を増やしている様なものだ。焦っても仕方ないのは分かってるけど、気持ちばかりが焦ってしまう。


ゴーーーーーーッ

ゴーーーーーーッ

ゴーーーーーーッ…プス


またやってしまった……。集中力が途切れると、いつもこうだ。特にここ最近は、よくやってしまう。


『うーーん、イデス。集中出来てないみたいだね。

少し休もうか?最近はずっと忙しかったから、私もそろそろ休憩しようと思ってたしね♪』


『いえ!!……いや…はい。

……少し休んできます…』


『ゆっくりしておいで!

……そうそう、裏の川岸にアンゼス様がいると思うから、お茶とお茶菓子出しといて貰えるかな?』


『はい。』



アンゼス様のお茶セットを持って裏の川岸に向かうと、アンゼス様が肘を立てて横になり川の流れを観察するかの如く無言で眺めていた。



『アンゼス様、イレス様よりお茶とお菓子をお持ちする様言付かって参りました。』


『ああ、そうなの?ありがとう、イデス。』


アンゼスはよいしょっと言いながら起き上がり、その場で胡座をかいて座った。

イデスはお茶をどこに置けば良いのか分からずオロオロしていると、アンゼスから声が掛かる。


『イデス、こっちに。』


『え?あ、はい…』


トレー毎アンゼスの元に持っていき、そこでまたオロオロするイデス。


『トレーをここに置いて。』


『ここに…ですか?

でもここは…地面ですが…。』


『うん、ここ。地面にトレー毎置いて。』


ニコッと笑いアンゼスが地面を指差す。

イデスはとりあえず言われた通りに、トレーを地面に恐る恐る置いた。


『ありがとう。

イデスも一緒に飲もう。』


『いえ、そんな…あ……はい、頂きます。』


断ろうとしたら、アンゼスからの無言の圧が掛かり承諾するしかなかった。


『ねえ、イデス。最近はどう?楽しい?』


『…えっと………………』


適当に楽しいですと言えばいいのに、どうしてか言葉が出なかった。まぁ、言ったところで見抜かれてるだろうけど…。


『何か悩んでるなら聞くよ?』


『…………それは……』


『何でもいいんだよ?素朴な疑問ってやつ?でもいいんだ。私はイデスと話したいだけだからさ♪』


アンゼスはそう言ってウィンクする。


あぁ…アンゼス様に気遣わせてしまった…情けない…。

でも、折角だし聞いてみようかな……。


『あの…ホントに何でもいいのですか?』


『うん!いいよ!話して!!』


あぁ〜、そのキラキラの笑顔が眩しいです…。


『実は…浄化作業の事で……』


ポツリポツリと悩みを打ち明けるイデス。その話をウンウンと嬉しそうに聞くアンゼス。


一通り話し終えると、アンゼスは開口一番言った。


『簡単だよ〜!

うーーーってやってバンッ!!ってすれば一発だ!』


『?????

うーーーってやってバンッ?

……えっと…すみません、よく分からないんですが…』


『だからぁ〜

そうだなぁ…私が言った言葉だけを頭の中で想像してみて。映像的なものは無しだよ。

言葉の響きとかイメージ?だけで、頭の中に想像してみて。』


『はぁ…とりあえずやってみます。』



うーーーってやってバンッ!!

うーーーってやってバンッ!!

うーーーってやってバンッ!!


……あれ?何か分かったかも……



『どう?何か掴めた?』


『はいっ!!具体的にどうとは言えませんが、アンゼス様の仰った「うーーーってやってバンッ!!」が何か分かった気がします!!』


『そ?なら良かった。


……イデス、其方は難しく考え過ぎなんだよ。

難しいと思った時程シンプルに!これがコツかな?』


『難しいと思った時程シンプルに……。』


『うん!

イデスは普段からよく考え慎重に物事を進めていくから、とても安心して仕事を任せられる…ってイレスが言ってた。』


『イレス様が?』


『そ、そうそう、イレスがね。

私もそれはとてもいい事だと思うよ。

でもね、時と場合によっては勢いだとか直感?みたいなものが大事な事もあると思うんだ。

まぁ、イネスみたいに何でも直感任せなのは、それはそれで困るけどね。』


『はは…アイツはそうですね。直感の塊みたいな奴ですよね。』


大きな口を開けて笑うイネスが頭に浮かび、思わず口端が上がるイデス。


『イネスは直感の塊…か。

上手いこと言うね、イデスは!アハハハ〜』


アンゼス様の「うーーーってやってバンッ!!」の例えはイネスの感覚?に似ている気がする…いや、イネスがアンゼス様に似ているのか?

…何かそれ、ちょっと羨ましいな。



『イデス。実は私も微調整って苦手なんだよね。

私の場合、イレスがいてくれるから安心して好きな様にやれるんだ。イレスも私が好きにやれる様にしてくれる。だから、私とイレスは二人で一人みたいなものだと私は思ってる。


イデスにとってイネスも、イネスにとってイデスも、其方達二人もそうなんじゃないかと思うんだ。

どちらかが優れているとかじゃなくて、互いに不得手を補い合える関係…それって凄いと思わない?

一人じゃ無理でも二人なら出来る、相乗効果だよね?相乗効果によって別の新しい事が出来るんだよ!

考えただけでワクワクしてこない?


一人じゃないっていうのは、凄い事なんだよ……』


アンゼス様には、俺の浅はかな考えはお見通しか…ハハ


でも……最後の言葉は来るものがあった。



気が付いた時には、イネスにイレス様、アンゼス様も傍にいた俺はそれが当たり前だけど、アンゼス様は気が付いた時もその後もずっと一人だったんだよな…。


その時どんな気持ちだったかなんて…寂しいなんて言葉じゃ表せない…経験したものにしか分からない「孤独」なんだろう。


正に「無」だろう……



『アンゼス様のお陰で、新しい何かが掴めた気がします。私の話を聞いて頂きありがとうございました!』


『こちらこそ、ありがとう。楽しかったよ♪』


にっこり笑うアンゼス様のお顔は本当に優しくて、俺を大切だと言ってくれている…そんな気持ちになる。


あぁ……好きだなぁ……


この方に包まれたい……


そう思ってしまった。

イレス様、ごめんなさい……

……?…何でイレス様にごめんなさい?

よく分からんが、本能?が謝罪してる……何故?


……まぁ、いいか…



冒頭辺りで「居住区」とありますが、イレスの提案でアンゼスが創ったエリアになります。

アンゼスの名前をイレスに初めて呼ばれた時の嬉しさから誕生した、二人にとっても思い入れの強い場所で、特別な場所なのです。

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