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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第一章 動き出す神界
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第1話 私は神様…創造神だった

短編版を一話としていましたが、長編版として書き直しました。短編版を一部抜粋してほぼ書き直したので、世界観は同じですがアプローチが変わっていると思います。

改めて第一話をお読み頂けると、これまでの一話より違和感なく二話へ繋がると思います。


以前の方が良かったと思われた方は、すみません(>_<)



『はぁ……』



「私」は気が付いたら此処に()る。


此処が何処なのか、自分は何なのか、何故自分は此処に()るのか…


何となく口に出して言ってみても…答えはない。


そんな時間を繰り返すうちに、「私」は何も考えなくなった。




どれ程の時が経ったのか…


やることも無く、考える事もなく、ただボーッとしていた「私」の真っ暗な視界に、何かぼんやり光るものを見つけた。


ん?と思ったものの、それをボーッと眺めていた。すると、その光がゆらゆらと揺れ始め、そのうちふわふわと動き出した。


ゆっくりだった動きが徐々に早くなり、上下左右に行ったり来たりしたかと思ったら、次は飛び跳ねる様に小さくピョンピョンと動く。


「私」は段々その光に興味が湧いてきて、見るだけでなく触ってみたいと思った。


『触ってみたい?……触る?……どうやって?』


知らない言葉が次から次へと浮かんでくる。


その間も「光」は目の前を動き回る。


『追い掛けなきゃ……追い掛ける?……どうやって?』



目の前の「光」は止まらない。


「私」は無意識に色んな事を考えていた。


『あれは何だ?』

『近くで見たい』

『触ってみたい』

『匂いするのかな?』

『次はどっちに動く?上?下?右?左?』

『重いのか?軽いのか?』

『熱いのか?冷たいのか?』



これまで考える事を放棄していた「私」。


突然現れた目の前の「光」に興味を持ち、それについてあれこれ考えた事で「無」だった「私」が「有」に変わった。


これは……「好奇心」……?


『好奇心って何だ?』


新たな言葉が浮かんだ。


それからは「考える」のが楽しかった。


「光」を追いかけながら色んな事を考え続けた。


ふと立ち止まる。


すると「光」も止まった。


ゆっくり「光」に手を伸ばし、あと少しのところで小さかった「光」が目の前いっぱいに広がった。


あまりの眩しさに目を閉じた。


ゆっくり目を開けると、目の前は真っ白だった。



『え…此処は……何処?』



さっき迄は確かに真っ暗だったのに、何故真っ白に?


「私」は訳が分からなかった。


『……何が…どうなってるんだ……?』


辺りをキョロキョロと見ても、目に見えるのは「白」だけ。


『……真っ白だ……ん?……白?……白って…色?』


また新しい言葉が浮かんだ。


『じゃあ、さっき迄の真っ暗は……黒?』


また新しい言葉が浮かんだ。


『って事は……さっきの真っ暗なとこで見た「光」は「白」って事?』


そう言って目をパチパチ瞬かせた。


『……ん?今一瞬…黒がチラついたような…?』


もう一度目を瞬かせる。


『っ!!やっぱり今黒が見えた!!

……目を閉じると……っ!!…黒だ!!』


目を閉じたまま「私」は叫んだ。

そして「白」と「黒」を認識した。


それから何度も目を閉じたり開いたりしてみたが「白」と「黒」以外見当たらない。


何だかガッカリした気分になり下を向く。


『ん?何だこれ……?』


初めて見るそれは「足」だった。


『……ああ、追い掛けなきゃって思った時に浮かんだやつだ。って事は……』


次に目に入ったのは「手」だった。


『やっぱり……あの時思い浮かんだやつ。

……なら…これは……「目」…?』


「私」は先程認識した「手」で、あちこち触ってみる。


真っ暗な中で「光」を追い掛けている間に思い浮かんだものが「私」の「形」となった。


そして「形」となった「私」自身にも「色」がある事に気付いた。その「色」は自分で思い浮かんだものではなかったが、自然と頭の中に言葉が浮かんでくる。


でも、自分の顔は見れなかった。触った感触で「目」「鼻」「口」「眉」「耳」…と部位の言葉…名称は分かるのに、「色」だけは分からなかった。


自分の顔は見る事が出来なかったから。


『どうすれば私の顔が見れるんだろう……』


目を閉じ考える。自分を映す何かがあれば良いのに…と思ったその時、足元が冷たく感じ慌てて目を開ける。


すると足元には水溜まりが出来ていて、何だろうと覗き込むと水面に自分らしき顔が映っていた。


『……これは……「私」の「顔」…なのか?』


それで初めて自分の「顔」を認識し、自分の顔の「色」を見る事が出来た。


澄んだ金色の瞳にスっと整った鼻梁。厚くもなく薄くもない薄桃色の唇。眉毛や睫毛は髪色と同じ白。

輪郭は細めの卵型で、肌はスベスベで白に赤と黄色を少し混ぜた…薄い肌色。


「私」は水面に映る自分の顔を見ながら、ポツリポツリと頭に浮かんだ言葉を発する。


その言葉がどうして浮かんでくるのか、何故聞いただけで理解出来るのかは分からない。ただ、そうゆうものだとしか思えない。


誰も正解を教えてくれないから仕方の無い事だ。



「私」はこれまでの経緯を思い返し、一つの仮説を立てた。


『考えた事…想像した事が「形」になってる?』


試しに足元にある「水溜まり」を見ながら、もっと大きく…と想像してみた。


しかし、何も起こらない。


『……あれ?……違ったのかな?』


う〜んと考え目を閉じる。

すると足元からコポコポと音がして、ハッと目を開け足元を見ると、水溜まりがどんどん広がっているではないか。


『わぁ〜!コレコレ!!』


驚きよりも「想像した事が形になった」事の喜びが勝り、手をパチパチ叩いてはしゃいだ。


『……ん?何が違ったんだろう?

……違いというと……目を開けてたか開けてないか?』


ならば…と、もう一度目を開けたまま想像してみる。やはり何も起こらない。今度は目を閉じて想像してみる。


すると、想像した通り頭上が水色に変わった。


『っ!!やっぱり仮説は正しかった!!目を閉じると出来るんだ!!』


仮説を立証し満足気な顔で、頭上を見上げる。


何処までも広がる頭上を見ながら「空」という言葉が頭に浮かぶ。


『……「空」か。うん。良いね。これから、この「水色(あおいろ)」は「空」と呼ぼう。綺麗な色だな…。』


こうして「私」は「想像」と「創造」の違い…法則を認識した。


その後は、空の色が水に反射して水の色が変わって見える事から、他の色はどうかとあれこれ創造しては確認するという事を繰り返した。


その結果、真っ白だったそこは様々な色が溢れ、混ざり、綺麗な場所とそうではない場所が出来てしまい一言で言うなら「ぐちゃぐちゃ」だった。


更に、水溜まりの水は広がり続けており、色が混ざって何とも言えない濁った色の水が辺り一面に広がっていた。


『あーあ。最初は綺麗だったのに…どうしよう、これ……』


目の前の惨状に愕然とし、目を閉じ「初めからやり直したい」と呟いた。


すると足元の水の感触がなくなり、え?っと思い目を開けると、以前と同じ真っ白な世界に変わっていた。


『……は?何これ?』


驚いたものの、こんな事も出来るのか…とまたしても喜びが勝る。


それからはまた、創っては消し創っては消しを繰り返し、他にどんな事が出来るのか色々試す。

目を閉じて想像すれば、大抵のものは創れると分かった「私」は、思い付くまま何でも創った。


それは楽しかった。とても楽しかった。


でも、ある時ふと思った。


『……誰かに伝えたい。』


楽しかった事、嬉しかった事、大変だった事、難しかった事…それ等を誰かに話したい…聞いてほしい…そう思ったのだ。


それからは徐々にやる気が起きなくなり、いつしかまた考える事を放棄してしまった。


目を閉じ真っ暗な中に引き篭ってしまったのだ……。



どれくらい目を閉じていたのか……

一瞬だけ目の前が光った…と同時に、ある考えが浮かぶ。


『創ればいいじゃん……』


「私」は目を開けた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「私」は先ず「鏡」を創った。

水面の反射を利用して、足元ではなく目の前を映せるように縦に水面を創った。

そして自分の姿を映し、自分とそっくりな「(からだ)」を創った。



次に動ける様にするには…と、あれこれ考え、植物をイメージして器内(たいない)に光と水と少しの熱を入れてみた。


結果は…器内(たいない)に根が張っただけで動くには至らなかった。それどころか根がどんどん広がってしまい、器外(たいがい)にまで伸びてきてしまった。


一先ず光を抜き取り、根の成長を止めた。が、それ以外の変化は無く暫く考える。


根が伸びるという事はある意味動いているという事なのではないかと考え、動かすには動力となるものが必要で、これらを動かす為の動力は別のものでは?若しくは何か足りないのではないかと思い至る。


そして試行錯誤しながら辿り着いたのは、熱の温度と水分量の比率と、それらを器内(たいない)に循環させる事だった。


その後、循環させる事には成功したが、一定時間経つと綺麗だった水分は徐々に濁り始め、所々根が詰まってしまい循環が止まり、そこから根が腐ってしまう。


水分を浄化する場所が必要だと思い、体の上と下の方に配置してみた。が、上の方で浄化して下迄辿り着いても下で浄化された水分が上に戻るにはかなり時間が掛かり、またその量も上から下りてきた量の半分にも満たない。


同じ量の水分を押し上げるには、追加で上から水分を流し…追加…どうやって?

押し上げる…力…自力……………あれは?…これは?…………水分の循環…体を動かす…常に動かすには…自力…動力…植物の養分は……


こんな感じで、あれこれ試行錯誤を繰り返し、器内(たいない)に色んな機能を創り、何とか出来上がった。


ただ、見た目はそっくりでも動かない。動かせる要素は揃っているのに動かない…。


『う〜ん…後は何が必要?』


自分そっくりなその「(からだ)」を見て、動かない理由を考えた。


『何で動かないんだろう……動きたくないのか?


……ん?……動きたくない?………………っ!そうか!!』



「私」は自分そっくりなその「(からだ)」の頭の中に「脳」を創り、これまでの自分の体験、知識を植え付けた。それはとてつもなく膨大な量の為、定着させるのにかなり時間がかかった。


それでも「私」は、これまでを振り返る…復習のつもりで「脳」に記憶を流し込んだ。


何とか定着に成功し、「私」は「(からだ)」を上から下まで異常がないか確認する。

そして、改めて自分とそっくりな顔に目をやり視線を合わす。


『本当にそっくりだな…今更か…はは』


そう言うと、突然顔の前でパンパンッと手を叩いてみた。

すると自分とそっくりな目がパチパチと瞬きをした。


次に顔の前で指を立て、右左に動かしてみる。

自分とそっくりなその目は、指の動きに合わせて右左に動く。


『成功……か?』


言葉こそ発さないが、小さな動きは確認出来た。残るは自分で動き出す事か…。何かきっかけがあれば…。


きっかけをどうするか考えたものの、なかなかいいアイデアが浮かばず思わず目を閉じてしまった。


真っ暗な中で、自分はどうだったかと思い起こす。


「光」に興味を持ち…追い掛け…掴もうとして…

…………自分で…思う…考える…自分の……「意思」…?


ハッとして目を開ける。


『これまで「私」が自分でやろうと思ったから、それが行動に繋がった…そうだ。自分で動きたいと思わなければ……動かない…多分、そうゆう事だろう。』


そう結論付けた瞬間、自分の体から眩しい光が放たれ、胸の奥が熱くなる。

光が収まり掌から熱を感じる。ふと自分の手を開くと、掌の上で小さな光の塊がキラキラと光っている。


それが「意思」なんだと漠然と思った。


そしてその「(いし)」を自分のそっくりさんの胸に当てると、すぅっと吸い込まれた。


少しして、自分のそっくりさんは目をパチパチ瞬かせ、首を右左に動かし、手を握ったり開いたり、立ったり屈んだり…と動き出した。



「私」は一連の動きを見て、両手を広げ「ヤッター!」と叫びながらその場で飛び跳ねた。


そんな「私」をそっくりさんはじーっと見つめ、次の瞬間「私」と同じ様に「ヤッター!」と叫びながらその場で飛び跳ねた。


こうして新たな領域に達した「私」は、「神様」と呼ばれる存在、正確には「創造神」という存在なのだと認識した。



この時「私」は「創造神」になった。


そして「神様」である私のそっくりさんは……


『ぅ〜ん……「神様もどき」でいいか……』


何とも雑な名付け方だった…。




「神様」こと「創造神」の「私」と、その「神様のそっくりさん」こと「神様もどき」と二人での生活が始まった。





如何でしょうか?

本編が進むにつれて、短編版を一話とするのはちょっと違うな…と思い、書き直しするに至りました。


修正と言うより書き直しになってしまった事、お詫び致します……m(_ _)mごめんなさい

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― 新着の感想 ―
孤独な神様が好奇心から世界を創造して寂しさから意思を持つ存在を生み出す過程が興味深かったです
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