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プロローグ
飢えを、知る。
王となった今、あまりに世間を知らなかった。
地獄は知れど上は知らぬ。皆の声を聞き入れ、全てを平等に収めたかった。
──死にません、死にませんよ。
長年共に戦った従者は、俺に愛想を尽くした。
掃き溜めで育った俺らじゃこの国を回すだなんて出来なかった。ただ、殺して、奪うだけの話じゃないのはわかっていた。
それが身に染み付いてしまっていた。戯言に過ぎないかもしれない。
──全てを、喰らい尽くしてくださいね。
──そうね。星でも食べれるの?
──これが「甘い」だよ!
──王さまァ〜?いきなり現れて変なの!
そうだ、俺は変なんだ。いくらでも笑ってくれ、お前に笑われるのは嬉しいんだ。
熱が全身を支配する。
ロベールにはもう、手段が無かった。
「絶対だ。」
果たせぬ約束はしないぞ。
俺は王だ。
「俺は、この世界で、この世界の、」
──王様になってよ。