触81・触手さん光り輝く
『いや〜負けちゃったね〜オタク君やるじゃ〜ん』
光の大精霊がポンポンと拍手をしながら声をかけてくる、いや誰がオタク君やねん。
『んじゃ約束通りこれをアゲちゃうよ〜』
何処からともなく光る珠を取り出すと手渡してきた、はいはい何時ものやつね、んじゃ早速⋯
ごっくんと珠を飲み込みまして〜キタキタキター!!
ぐぇぇぇぇぇぇっぷぅ
口という口から色とりどりの光の奔流が溢れ出し、さながらステージのレーサービームの様に周囲にばら撒いた。
『ヒュー、オタク君パネェー』
今までで一番派手なゲップが出た、ここまで目立つゲップなんて世界初だろうよ、色付きだぞ。
『そんだけ光れば暗いとこでもアゲアゲっしょ〜バンバンテンションあげてこ〜☆』
確かにこの光量なら暗闇を照らし出すことも出来るか、ただ明るくしたところであのブラックホールなんとかなるんか⋯?ホワイトホールこれで作って打ち消すとか?いやでもホワイトホールって出口だしなあ⋯
まあここで考えても仕方ないか、ダメなら他の方法探そう。
『あ、そうだ。テンションあげぽよついでに、あ〜し双子の姉が居るんだけど、もしどっかで見かけたらしこよろ〜』
姉いんのか、姉もこやつ同様ギャルなんかね⋯一緒に居たらさぞやかましいだろうて。さて目的は果たしたし戻って再度八層目攻略といきますか。
外で光の大精霊達に見送られながら私達は来た道を引き返し、途中特に何もなく街に戻ってきた。もうすっかり日も落ちて空も暗くなっているので迷宮に行くのは明日にするとしようかね。
各々部屋に戻り、私は晩飯を平らげるとそのままベッドにイン、すやーっと熟睡して次の日。
七層目までは踏破済みなので取り立てて特に何もなく、まあ機械どもは相変わらず邪魔くさかったがすんなりと降りてくることが出来た。さて問題の八層目だ、謎の宇宙空間にブラックホール。前回は為すすべ無く撤収と相成ったが⋯⋯当然の様に身体が引っ張られ始める、
そこに間髪入れずに乙女フラーッシュ!!全部の口から放たれる眩しい光が周囲を煌々と照らす。
すると闇が払われ一変、辺りがキラキラと輝く壁や天井が現れた、なるほど元々はこうなってたのか、ぶっちゃけかなり眩しくてあんま目に優しくない。
んで目の前には黒い球体が一個ぽつーんと浮いている、ブラックホールだと思うがもう吸い込まれはしないようで、身体が引っ張られる感覚もない。
念のためそーっと近寄って確認しようとしたそのとき。
『⋯⋯ひ、ひーちゃん⋯⋯?』
キャアアシャベッタアァァァァ!!
いきなり喋った黒球は収束すると人の形になっていった。
全身真っ黒でカラスの濡れ羽色のような艶がある、うーんこれ大精霊だよなあ⋯であればここがあの状態だったのも頷ける。
『⋯あれ⋯ひーちゃんじゃない⋯』
【待て待て待てー!!】
大精霊から黒いのがもやーっと出て周囲が暗くなり始めたので慌てて止めに入る、また宇宙にされたら非常に困わ。
『⋯誰?⋯ひーちゃんの力感じるけど⋯』
【えーっと実は⋯】
今までの経緯を説明するともやを収めて話を聞いてくれた、やれやれ⋯
『⋯そう、ひーちゃんに会ったんだ⋯ふーん⋯』
抑揚なくぼそぼそと喋る大精霊、なんつーかすっげー陰キャだなあこやつ。
ひーちゃんってのは光の大妖精のことらしい、んでアレの姉がコレ、属性もそうだが性格も完全に真逆、体型は変わんないんだけどなあ。
『ウチ明るいの苦手だから離れたんだけど⋯ここも明るすぎたから住みやすいように暗くしたんだよね⋯』
明後日の方を見てこっちを見ようとしないんだが⋯まあいいか、恐らくここにずっと引きこもってたなコレは。
『⋯⋯んじゃこれあげる、必要になるよ⋯多分⋯ね』
なんかだるそうに黒い珠を手渡してきたので、んじゃ恒例の儀式を⋯
ごっくん、ぐええええええっぷ⋯⋯ん?
⋯⋯アレ、ゲップでないな⋯⋯つかなんか気持ちわっるうううううう!!!
ぐええええええええええええっぷ!!!!!
急激に胃がむかむかしたと思ったら今までで一番でかいゲップが出た、つか思いっきり吐き気するんですげええええっぷ!!
暫く嘔吐感とゲップが止まらず悶絶する様を大精霊以外の皆が心配そうに見守る中、数分してようやっと収まった、昔牡蠣に当たったときのこと思い出したわ⋯⋯
『⋯⋯落ち着いた?降りる階段は向こうにあるから⋯それじゃあね⋯⋯』
階段があるらしい方向を指差すと大精霊は闇をばらまき始めたので慌てて全員その場から離れると、5Mくらいの真っ黒なドーム型の半球が大精霊を包みこんでいた。
引き込もり続行ってとこか、まあブラックホールじゃないみたいだしこれなら実害もないし⋯まあいいか、放っておこう。
示された方に行くと直ぐのとこに階段があったので降りていく、遠回りになったけど九層目、さて次は何があるんかね〜
下りきるとそこは狭い空間、丸いテーブルが一つにそれを挟むように木製の椅子が一対、休憩用の個室ってわけじゃなさそうなんだが⋯⋯
んでテーブルの横にはスーツ姿に目も口もない真っ白な仮面をつけた⋯多分男、が立っていた。
「ようこそお客様、一勝負いかがですかな?」
大仰に手を振り頭を垂れる。
「まあ、勝負に勝たないと先には進めませんがな、ささ、どうぞどうぞ」
言って男は此方側の椅子を引く、座れってことか。
つっても椅子小さすぎて私じゃ座れんから椅子は避けてもらった。
「宜しいですかな、それでは⋯ゲームを始めましょう」




