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触手さんは今日も這いずる  作者: トイレの花子
一触・触手さん魔大陸編
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触79・触手さん光の神殿を目指す

 お陽さまが顔を出し始めたころに目が覚めてベッドからモソモソと這い出る、窓から外を見るとやや曇り、雲の間から薄っすらと光が差している。身体を伸ばしていると、部屋入口の扉がノックされメイドさんが食事を乗せたカートを押して入ってきた。

 前日に時間を指定して部屋にモーニングを運んで来て貰うように頼んでおいたのだ、声で返事が出来ないから勝手に入っていいよと通達済み。テキパキと料理を並べていき、一礼すると部屋を出ていった。


 今日のメニューはサンドイッチ一式と紅茶、あと色鮮やかなサラダ。


 席に着いてティーポットからカップ’へ紅茶を注いでいざ実食。紅茶のゴールデンルールとかあるがめんどいし、んな拘んないのでカップを温めるとかはしない。メアリーは何時もやってるけど。

 サンドイッチは、タマゴ、ハム、きゅうりのシンプルな三種。とはいえ此処はサターニャちゃんが手配した宿屋、中途半端な物は出てこない。どれもが格段に美味い、正直ここまでの物は前世でも味わったことがないくらいだ、サラダも新鮮で味も濃い、かかっている白いドレッシングもサッパリした酸味にコクもある。

 そしてこれらに合わせられた紅茶、砂糖を入れてないんだが仄かに甘い、あんまり紅茶は知らんが相当な上級品だということは伺い知れる。


 パクパク口に運んで紅茶を飲み干しフィニッシュ、ごちそうさまでした。

 腹も満たして部屋の時計をちらりと見るとボチボチ出発の時間に迫っている、準備を済ませて宿の前に行って皆と合流、ほんじゃ行きますか〜


 南に馬車で3日つってたからコンテナなら1日もかからんかな、途中に宿場町あるらしいけど。街から真っ直ぐに伸びた街道を皆が乗ったコンテナは進んでいく。

 最初は周囲に何もなくひたすら荒野が広がるばかり、かなり殺風景で枯れた木々が所々ぽつんと生えてるだけ。歩いてる人々もあまり見受けない。

 こっち方面は寂れてんのかねえ、途中荷馬車何台か追い抜いたから宿場町と往来はしてると思うけど賑わってはなさそうだなぁ。


 さて街を出てから小一時間くらい経っただろうか、前方に木製の壁が見えてきた、あそこが宿場町か。てか道中何事も無く来たけど、まあ魔獣出てくるのときたまつってたしなあ。

 それから10分程して町に辿り着き、入口の門番に入場許可を貰って中に入って行く。

 町というか村に近い規模、幾つかの建物と大きめの広場があるくらいで、広場には何台か荷馬車が停まっており物資を運び出しているのが見える。


 私達もコンテナをそこに停めると、物資をチェックしている鎧を着た衛兵が1人此方にやって来た。虎の顔に鎧から出た尻尾、獣人か。


「おはようございます、えーっと⋯」


 彼は手に持った紙に視線を落とし何か確認をし始める。


「⋯リストには無いな⋯ああすいません、旅のお方でしたか」


 紙を畳むと頭を下げた。


「この先にあるっていう光の神殿へ行こうと思っててね」


 クオがコンテナから降りて説明をしていく、こういうときクオ居ると助かるわホント。


「成る程成る程、光の神殿はこの宿場を南に出てだいぶ先の所にありますが、此処から先はここ数年人もあまり行かないので街道も舗装の修繕が放置気味な上に、最近は凶暴な魔物も彷徨いてると目撃情報が有りますのでどうぞ気をつけてお進み下ださい」


「ふむ、そうかどうも有難う、注意するよ」


 クオは手を振って戻るとゆっくりコンテナを走らせ私達は南の門から宿場町を出ていく、物資足りない訳でもないから補給も今は要らないしな。


 さて町を出て数10分くらいだろうか、徐々にだが街道に雑草がチラホラと増えてきている、どうやらこの辺りから手入れがされてないっぽい。地面も小さな石が転がっていてコンテナがガタガタと結構揺れる、これは尻痛くなりそうだなぁ一応クッションあるけど。


 時折有る大きい石等を避けて慎重に進んでいると、コンテナの走行音に混じって遠くの方から何やら聞こえてくる。何だこれ、どっかで聞いたような⋯⋯


 オ⋯⋯⋯エー⋯⋯

 オ⋯⋯エー⋯⋯ッ⋯⋯


 それは段々と近づいてきて⋯⋯


 オエーッ!オエーッ!!オエーッ!!!


 後方からコンテナの右真横まで走って来た。


 ギャー!!オエー鳥じゃねえかああああ!!!

 しかもこいつ只のオエー鳥じゃねえ、頭3つも生えてんじゃん!!


 正式名称グラスランナー、オエーッ!オエーッ!と叫びながら首をブンブン振り回して、口から何かを盛大に吐き出しながらダチョウよりも長い脚をガニ股で走り回る、訳が分からん奇鳥。


 頭一つでも多いのに3つもあるせいで更に大量の何かを吐き散らしている、ここまでくると最早怪異そのもの。

 クオが慌ててハンドルを左に切って離そうとするも、オエー鳥は此方に幅寄せしてきてコンテナに体当たりをし、車体が激しく揺れる、と共に嘔吐物が飛んできた。


 うぎゃあー!!シールド!!シールドぉぉぉ!!!


 慌てて私が乙女汁シールドで間一髪浴びせられるのを防ぐ、今までの敵でも最悪過ぎるわ!!

 アクセル全開で街道をコンテナが爆走して行くがオエー鳥は尚も並走を続ける、こいつ脚速えぇぇ!!ガニ股残像見えてんぞマジかよ。

 迎撃したいところだが絶え間なく吐き散らしてくるんでシールドが解除出来ない、風魔法でブーストして離したいんだが口から出る性質のせいで私だけ飛んで行っちゃうんだよなあ⋯⋯


 ⋯⋯む、閃いた!シールド毎こいつ吹っ飛ばしちまえ!


 シールドを維持しつつ口から思いっきり風を噴射、強烈な風圧でシールドが射出されるとオエー鳥に直撃して一緒に地平線の向こうへと飛んでいった。


 ⋯⋯酷い目にあったわ、全く。


 気を取り直して移動再開、通常速度に戻して荒れた街道を突き進む。

 それ以降は運が良かったのか何とも遭遇せずにコンテナは走り続け、空に星が昇り始めた頃、遠方で白い光が天に向って数本伸びているのが見えた、もしやあれが光の神殿か?


 近づいていくと何か建物の上の方から光が照射されてるんだが⋯⋯城っぽい形してんなぁ⋯⋯段々と迫ってくる神殿と思われる物、ん〜すっげー既視感あるんだけど⋯⋯ってこれ⋯⋯


 眼の前に到着してそこにあったもの、それは⋯⋯煌々とライトアップされ、数ヶ所の塔っぽい所から上空へ放たれ左右に揺れるレーザービーム、そして入口の門には赤い垂れ幕に『休憩銀貨1枚、宿泊銀貨3枚』と書かれた電飾付き看板⋯⋯


 ラブホテルかよ!!!

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