触75・触手さん迷宮六層目
逆関節の殺人ロボット達がこちらを発見すると、一斉に銃撃を開始してきた。無数の弾丸が先頭に居る私の身体に次々と被弾する。
イダダダダダダー!!クッソ痛えぇぇぇぇぇぇ!!!こんなん食らってられっか!!乙女汁シールド!!
身体を覆えるくらいのサイズにした乙女汁の盾を前方に構えてなんとか銃弾を防ぐ、取り敢えずこれで凌げるか⋯ちきしょーめ、ちょっと肌に傷付いたやんけ乙女の柔肌ぞ、もっと優しく扱えってんだ。
盾で防いでいるものの弾丸は止むことなく、続々出てくる殺人ロボットのせいで量がドンドン増えていく、ずっと防いでる訳にもいかんのでこちらも攻撃するとしようか。
さてどうすっかな〜金属製だろうから火は効果薄いか?超圧縮した水で射撃してもいいけど結構硬そうだしなぁ⋯あ、そうだ、アレ試してみっか。
研究熱心な私は色々魔法を開発しているのだが、こういう機械的な連中にはこれが効くんじゃなかろうか。
シールドの前で魔法を発動、それはバチバチと音を爆ぜながら形成されて放電を撒き散らす巨大な雷球となる、風魔法で生成した高電圧の雷の塊である。それを連中に向けて発射してやると高速で一直線に飛んで行き先頭の奴に被弾、刹那凄まじい轟雷とともに無数の紫電を放出する。
周囲の空気を激しく震わせて暴れ狂う電撃は次々に機械共を巻き込んで行き、十秒程すると放電しきったのか収縮して雷球は消滅した。
後に残るは大量の残骸たち、ショートしたのか関節等からプスプスと白煙が立ち昇っている、よしよし効果は抜群だ!念の為シールドを構えながら近寄って触手で突付いてみたが動く気配はなし、完全に沈黙したようだ。
んじゃ先進もうか〜
と思った瞬間、何か音がした。何だこの音?
「⋯何でしょうかこれ、聞いたことの無い音が段々近づいているような⋯」
ビノセが怪訝な表情を浮かべて周囲を見渡す、バララララという何か回転するような音なんだが⋯⋯いや待て、この音を私は知っている、オイオイオイ、まさか⋯⋯
私の予感は見事的中した、それはビル群の合間を縫って現れた、映画などでよく見た奴。
ヘリだー!!!
プロペラを回転させながら飛んできた一台の大きなヘリはいきなりこちら目掛けて何かを発射してきた。
げぇぇぇー!!ミサイル!!?うっそだろお前!!!
慌てて私は巨大な乙女汁シールドを形成して全員を包み込む、こんなん直撃したら皆纏めて吹き飛ぶ!!
これだけじゃ足りんかもしれん、更に土壁と水壁もセットじゃ!!
シールドの外に水壁、それを覆うように土壁も展開、これで耐えてくれぇぇぇぇ!!
三重の壁が皆を包むと同時にミサイルが着弾、盛大に爆発して衝撃と爆音がシールドの中にまで伝わってくる、うひぃぃぃぃ〜
衝撃波で周囲のビルのガラスが吹き飛び、熱波が吹き抜け、巨大な炎が着弾点に立ち上がる。
な、何とか凌げたか⋯⋯土壁は全部引っ剥がされ水壁はボコボコ沸騰している、乙女汁シールドもあちこちヒビが入っていた。
おっかねぇぇぇ⋯⋯これシールドだけじゃヤバかったよなぁ⋯⋯
魔法ならかき消せるがこういう物理兵器は直接守るしかねーからなあ、耐えれて良かったわ。
まだ熱気の残る中、ヘリを見ると空中で待機をしていた。クソ、残ってたか、どっか行ってて欲しかったんだが。
ミサイルで此方を倒せなかったのを確認したのか、ヘリは機体の底部を開けると何かを投下してきた、何だアレ?なんか人っぽいけど⋯
地面に着地するとこっちへ猛ダッシュして突っ込んで来る、全身銀色のそいつは拳を振り上げると私に殴りかかった。
思わす乙女汁シールドで防ぐと重い衝撃と金属音が響く、よく見ると全部金属の骨格で出来ている。
ロ、ロボだこれー!!!
硬質っぽい目は赤く光り、全身骨格だけで生物的な部分は一切見受けられない、なんか某ターミなんとかみたいなんですけど⋯⋯
ロボは立て続けに拳を叩き続ける、全部シールドで防ぎきりお返しとばかりに触手でぶん殴ると両手を顔の前でクロスしてこちらの攻撃を捌いて後ろへとバックステップ’で飛んだ。
こいつ見た目と違って素早いな。
距離を離すと今度は右手を開いて此方に向ける、すると掌の青い球体が輝きだして何かキュイーンって音がし始めた、あ⋯すっげー嫌な予感がする⋯
そして放たれる青い光線、私は思わず風クイックブーストで真横へ緊急回避!外れて飛んでいった光はビルの壁に当たると貫通して隣接するビルを次々貫いて行った。
⋯⋯なんすかあれ、ビームっすか、冗談じゃねーぞ⋯⋯何あの威力、でっかいビル五塔くらいぶち抜いてったじゃん、殺意高すぎんだろおまい。
あんなん防げる自信ねーわ、絶対避ける。
他の皆も今のビームに警戒して迂闊に動けないでいる、さてどうしよっかな⋯と思っているとヘリが動き出して両脇に搭載されているヘビーマシンガンで私を攻撃し始めた。
うお、あっぶね!ロボに気を取られててこいつ忘れてた、飛んでくる弾丸を乙女シールドで防ぐと今度はロボが突っ込んできて無数の蹴りを叩き込んでくる、クソ、こいつら連携してくるか!!
蹴りを捌くとヘリが後ろに回り込んで銃弾をまたばら撒いてくる、うおぉぉぉ面倒くせぇぇぇぇ!!
ロボとヘリの猛攻に耐えていると、突如ヘリに向かって火炎弾が飛んでいきヘリが衝撃で揺らいだ。
「あの飛んでいるのはわたし達にお任せを!」
言ってイーラが立て続けに火炎弾を放ち、他の皆も加勢しヘリの対処にあたる、これで私はロボだけに専念出来る、よしさっさと片付けて次に行くぞ。
一対一になった私とロボは再度距離を取って対峙する、さてどうすっか、結構動き早いから魔法普通に飛ばしても避けそうだしなあ⋯⋯ならば。
風のクイックブーストで瞬間的に加速して変則的に動き間合いを詰めていく、ロボは間合いを離そうとするが此方ほどは速く動けないのか少しづつだが距離が狭まってきた、そしてビルの壁に追い込まれロボの退路が塞がれた、今だ!!
連続クイックブーストで魔力がかなり減っているが此処で決める!!
最大出力でブーストして全魔力を触手に集め、雷の剣を各々の口から展開、紫色に迸る電撃にて斬りかかる。
斬!!
四方八方からの雷がロボを細切れに断ち、バラバラになると爆発四散、衝撃で飛んでいった頭が地面に転がり赤く光っていた目も暗くなり完全に沈黙した。
と同時に離れたところから爆発音が聞こえてきた、そちらを見るとヘリが墜落して炎上している、どうやらあっちも終わったようである。
「いやはや何とも面妖な相手でしたね」
イーラ達が此方に戻ってきた、まあ機械の敵なんてこの世界じゃ普通見ないわな、ゴーレムならともかく。んじゃ先に進みますか。
散発的に出てくる銃座逆関節を蹴散らしつつ私たちは次の下り階段を見つけ階下へと降りていく、そして六層目。
⋯⋯何だここ。
そこは大理石の床と天井、そして壁が全て鏡の通路だった。
鏡は私たちを映していて、さながらミラーハウスの様である。警戒して歩を進めるが特段何か出てくる様子も無く、静寂が逆に不安を煽る。
何か薄気味悪いな⋯⋯
頻繁に現れる分岐路を進んで行き曲がり角を通過すると、そこは行き止まり、戻るしか無いか。
そう思って振り返ると後ろの鏡に映っている私たちがゆらり、と歪み⋯⋯
「それは」産まれ出た




